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半端者故、飢乾する

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

自分で書いてて分からなくなったので、考察がんばります。

「おはよぉ、書生」

女はそう、蠱惑的に言い放った。それを見た僕は息を荒くしながら、地面を這い回る。角張った鼈甲色の宝石が辺り一面に散らばっている。まるで袋を開けたと同時に、発作が起きたように。

僕は半端者だ。半端者故、乾いて仕方がない。干上がって仕方がない。飢えて仕方がない。だから今日も地を這いずりながら、のたうつ。


薄暗い部屋の中、全ての惨事が終わった後、女は乱暴にされた衣類を戻しながら、僕を嗤う。

「来るなら時間通りに来てくれよ。言っとくけど僕は紳士なんだ」

毛量の多い前髪を掻き上げて、寝言を述べる。何処が紳士だ。容赦なく胸倉を掴んで、首元に噛み付いて、満ちるまで血を吸う獣の何処が。そんな自虐を見て、女は細めた目を僅かに見開く。

「えぇ、知ってる。だから時々こうやって揶揄いたくなる。

……ねぇ、飢えていると、それがどんなに不味いものでも、甘露に思えるでしょう?」

それはそうだとも。飢えていたら、それが腐ったものでも、乾いていたら、それが泥水でも、甘露に思えて仕方がない。それでも……それでもだ。全く違うんだよ。本物と偽物は。

べっこう飴は、お嬢さんの生き血と似た味だと思って舐めている。でも実際に吸い付くと雲泥の差。月とすっぽん。彼女達の血には遠く及ばない。あの味を知っているからこそ、手放せない。

「何時しかその味に慣れて、本物が見えなくなってしまうのかもね」

「……そんな事はないんだよ」

本物を知ってしまったら、もう偽物では我慢出来なくなる。本物に飢えて、乾いて、干上がって、のたうち回る事になる。さっきの醜い僕のように。

髪と髪の間から、彼女の表情を見ると、少し驚いている様だった。目を丸くして、黙り込む。

「本物が欲しくて堪らなくなる」

そう言って、彼女の指を口に含む。それを彼女は僕のしたいようにさせた。満足のいくまでしゃぶらせた。極上の甘露の味がした。

「そう。じゃあ、指を切った甲斐が有るというものね」

私が書く物語で書生と指したら、彼のこと。

隠れ目ロングヘアの、黒眼鏡かけた、吸血鬼です。


普段は余程のことがない限り、こうはなりません。

彼女の指から血が出ていた事が発端。

あと、抑制剤である、べっこう飴を口に含んでいない事が原因。

時間通り通りに来ていれば、書生はべっこう飴を食べていたので、もっと理性的でした。

ぶっちゃけ、彼女の自業自得です。


此処での議題はこれです。

飢乾状態の生き物は、多分何でも美味しく思えます。

そんな事を繰り返していたら、本物を忘れて不味くても満ちる様になるのではないか?

不味くても、上手くても、違いが分からなくなるのではないか?


書生が出した答えはNOです。

絶対に満ちない。

むしろ飢えが酷くなる。乾いて仕方がない。

本物が欲しくて仕方がなくなる。

一時の娯楽にはなるけど、絶対に何処かで乾くよ。


です。

違いが分からなくなる訳がない。

その、欲しかった答えを得られたから、

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