第39話 運命は偶然の要素ではなく、必然で出来ている。
ぢゅらおです。
宣言します。
次の話、第40話というキリのいい話を持ってこの話は完結します。皆様の中で解決しない細かな疑問があるかもしれませんが、僕が考えていた道からそれで修正した副反応的ものだと思ってください。申し訳ないです。
物語の進行に大きな問題は無いと思います。
「ま、待ってください! つまりそのあまさんは死んでないってことですか!?」
「紗奈花さん落ち着いて。別にあまさんは最初から死んではいないよ。ただ意識がない昏睡状態が続いているはずで、今も横たわっているはずなのにって意味だよね?」
「そそそそうっ!」
星名は晃太郎の意見をまとめ、本人に確認の意味で分かりやすく伝える手法に心の底から感心した。相手に寄り添い、相手を思いやる気持ちがなければ出来ないこと。
本当に来人はいい友達を持ったなぁ……
「みんなが思ってる想像通りってことだよ。私も起きた経緯は知らないけど、ただ今彼女は君たちのように学校に行き授業を受け、友達と遊び、家に帰るというそんな生活を送っているのは確かだよ」
「じゃあじゃあ! それを来人に伝えれば、生きてるって伝えれば! 来人に寄り添って上げられる?」
「うーん……ちょっと待ってね紗奈花」
「花? どうしたの? 来人に会う理由ができたんだよ? 今すぐにでも会いに行こうよ!」
「来人は、あまさんを殺したという責任から逃げている。だから殺してないと分かれば助けられる。そう言いたいの?」
「そう! だから──────」
「それは違うんじゃねぇーか?」
今すぐにでも飛び出しそうな紗奈花を手で制止し、呼び止める花とその意見に便乗する晃太郎。
星名は事実は全て伝えたが、あえて本当に来人が求めていることは隠して伝えた。その部分を理解できていない友達にはいくら、彼女らであっても大切な来人を任せることは出来ないからだ。
星名は3人が話し合おうとしている中、大人として出来ることをもう1人の協力者と共に準備を進める。
「来人は、きっとそこに囚われている訳じゃねぇーと思うんだよな」
「私もそう思うんだよねぇ〜」
「じゃあ何に──────」
「来人に必要なのは必要とされること」
「? それって……」
「あ〜なるほどな。来人のやつ俺らという存在がいながら。強欲なやつだなぁ全く!」
くっくっくと含み笑いを浮かべる晃太郎。花ももう理解しているようで、残された紗奈花だけがアセアセと右や左や落ち着かない様子でいる?
「しかもよりによってこれを伝えられる人物が理解してないっていうのもまたねぇー?」
「そうだよなぁー、このおしどり夫婦めっ!」
「ちょっと! 本当に分からないんだけどっ!」
「そりゃあ多分、あれだなマイガールフレンド」
「うんぜーたいっあれだよマイボーイフレンド」
晃太郎と花はお互いを見て、タイミングを揃え同時に紗奈花の方に人差し指の指先と視線を向けると
「「好きな人には弱さを見せないってやつ!!」」
と天高らかに叫んだ。
「……ぷすぅー」
「あ、紗奈花が完全にショートした」
「全く本当に手間がかかる夫婦だこと」
花はやれやれと言い、虚ろな目で虚構を見つめる紗奈花の頭をそっと膝の上に乗せた。
「全く本当に手間がかかるねっ」
「来人に必要なのは、過去を直してあげることじゃなくて、今を見つめさせて、未来を考えさせることだって言うのに……」
「ね? 来人はきっと寂しかったんだよ。今じゃなくて過去の自分じゃないと興味を持ってくれないのがね」
「あいつ、まさかビジネス鈍感じゃなくて、マジモン鈍感だったとは……」
「となれば、私たちは時雨ちゃんの方ですか……」
「どちらかっていうとそっちをどうしようかなぁなんだよねぇ〜」
うーんと首を傾げる2人を見つめていた星名は2通の手紙を渡す。
「これは?」
綺麗な封筒に入った手紙を受け取った花。表面にそれぞれ「トキへ」「来人へ」と宛名が書いてあるだけで、それ以外の情報はない。
「それはね……あまちゃんからふたりへの手紙だよ」
「え、えぇぇぇぇー!?」
花は驚きで膝にいる紗奈花を忘れて、席を立ちそうになり、慌てて座り直す。
晃太郎も声には出てないものの、口がポカーンと空いていた。
「な、なんで持ってるんですか?!」
「うーん、うーん、う──────ん……」
しばらく悩んだ末、星名は
「女のひ、み、つ♡」
「よし。花、お前は四肢を抑えろ。俺は羽を持ってくる」
「心得た」
「たんまたんまっ! 本当に言えないんだよぉぉ」
「むむむ……」
「睨んでも無理だよ?」
「……」
「えーと、般若の顔をしても無理だよ? でいいのかな?」
困惑した様子でコテっと首を傾げる星名。というのも、ふと目を向ければ、晃太郎がどこからか持ってきたのか分からない般若のお面を顔に付けていたからだ。
「この顔をしても無理か……」
「無理だよね? 普通に考えて」
「でしたら……」
「もういいって!」
パシーンっと晃太郎の持つお面を叩き落とした星名。晃太郎が拾う時に「あー、これ重要文化財なのにー」と言いながら拾っていたことは耳に入れたくなかった。
「……はぁ、もう紗奈花ちゃんも起きてるようだし早く行きな」
「紗奈花起きてたの?」
「そ、そりゃあ」
「いつから?」
「えーと「手間のかかる夫婦」みたいなところから?」
「割とすぐだな?!」
「そういえば、行くってどこに?」
晃太郎のつっこみを華麗にスルーし、単純な疑問を投げかける花。やるべきこともわかったが、単純に今ここにいる人物で来人または時雨と連絡をとれる人物がいない。かろうじて、家に帰ってくるのを紗奈花と一緒に待つしかないと考えていたが──────
「ノンノンノン。ここは大人の出番だよ」
星名は素早くスマホを操作し、数秒後晃太郎のスマホがピロリンピロリンてーてーてーてってーてってれーと音がなった。
「ピロリンの後の、その悪の帝王の出現音声はなに?」
「かっこいいだろ?」
無垢な瞳で問い返す晃太郎。
「ダサい」
一蹴する彼女。
「oh......」
撃沈する彼氏。
そんな彼氏のスマホを奪い、暗証番号のかかってないスマホのロックを開けると、星名さんの連絡先と思われるアドレスから位置情報が送られていた。
「そこにいるらしいよ今」
「いやなぜいるの!? なぜ知ってるの!?」
「……」
「なるほど」
「何も言ってナイ!?」
「どうせ女の秘密ですよね?」
花の疑問文。ちょっと間に紗奈花が答える。もはや、星名のことが一番よく分かってるのは紗奈花なのではないか。
星名はそうして再びかつての騒ぎを取り戻した3人を横目に自分は少し上に目線を向け、思考に走る。
「流石に、未夏があまちゃんの姉なのは必要ない情報だもんね〜」
星名はたった1つだけ情報を伏せていた。それは決して悪巧みではなく単純に伝える必要が無いから。そして、伝えることを本人が望んでないからである。
あの日、病院のベッドにあった名札に付いていた名前は更月朝舞。
来人や時雨が使っていた駅前図書館の図書館員、更月未夏の実の妹であったこと。これは私と未夏が知り合ってから知ったことで、彼ら、彼女らのこれからには関係ないことである。




