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第37話 自分の知っている真実は他人の知っている真実と重ならない

ぢゅらおです。

久しぶりで色んな挨拶をするべきですが、残すところの話は数えられる程度に減ってきました。

悲しいようで嬉しいですね。

来人の過去を知るため、来人の再従姉妹に当たる星名せなが経営する飲食店Mi-kuを尋ねてきた、紗奈花さなか、花、晃太郎こうたろうの3人。店に入り、ピーク時間を過ぎていたのか、少し落ち着いた店内の1番奥の席に3人は案内された。

晃太郎はそこに向かう途中、「ここ、いつもうるさい人たちが座らされる席なんだよな」と小ネタを披露して、星名から「無駄なことを言うんじゃないっ!」と頭を小突かれていた。


「ふぅ。本当は色々世間話も混じえて話をしたいところだけど、単刀直入に話してくれて構わないよ〜」


といつものような能天気さで3人とは対面に座る星名は、自分で用意したお茶をズズズと音を立てて飲む。


「来人の昔について。……いや、あまという方について教えてください」

「うーん。その前に私から1つ質問なんだけど、トキちゃ……、いや時雨ちゃんと来人とあまちゃんが昔の知り合いだっていうのはもう知ってるよね?」

「はい」

「じゃあさ。昔、時雨ちゃんからそういう子と遊んでるってことを何も聞いてないわけなの?」

「……確かに。隠してる訳では無いので包み隠さずお教えしますが、実は私たちの親は1度離婚しているんです」


「えぇーーー!?」と大きな声で飲んでいたジュースを吹き出す花にきたなっ!?と言いつつ、机に常備してある紙で周りを拭いてあげる晃太郎。

実際、表には出てないが晃太郎も大きな衝撃を受けたに違いない。


「その時期は、ちょうど母に私が、父に時雨が着いて行った時で、私はその時雨が昔住んでいたという場所をよく知らないのです」

「じゃあつまり、お父さんお母さんが結婚してふたりが生まれてから、それぞれが1人ずつ連れていくように離婚して、その後再婚してまた姉妹になったってこと!?」


机に手をつき、前のめりで話す星名に通りすがった先程店前で星名を叱責していた店員さんが「はしたないし、デリカシーもない」と持っていた雑誌で頭をスコーンっと1発。


「はい。その通りです」


そうして話し終えた紗奈花は胸のわだかまりが少しだけ消えた感覚を味わった。対して気にしていなかったのかもしれないが、自分の中で無意識に負い目に感じていた部分があったのかもしれない。


「なるほどなるほど、そこの疑問がずっと不思議だったからやっと解決できたよ。では、少し脱線したけど、君たちが求める来人の話を教えようじゃないかいっ」


右手でガッツポーズをし、ドーンと来いっ!と胸を張る星名。その場にいないある人物が、かつて同じような仕草を学校でしていたのが脳裏をよぎり、少しうっと吐き気を催す紗奈花。

花はそれに気づいていたが、あえて大きくリアクションをとることをせずに、背中を優しくさすってあげるだけだった。

少し間を置いて、大きく深呼吸を吐いた紗奈花は知りたかったことを休む間もなく問う。


「時雨は、来人を恨んでいるんですか」

「うーん。他人の感情については私の知るところではないし断言できないけど、ただあの時病院に行った時、間違いなく来人に何らかしらの感情を抱いていただろうね」

「では、時雨は何故来人を恨んでいるのですか」

「それは前も言った通りだけど、来人が2人を見捨てたと思っているからじゃないからかなぁ?」


少し含みのある言葉に次の質問をしようしていた紗奈花は言い止まる。


「思っているとは……?」

「─────なるほど。これは前回の私の言い方、もしくはなにか時雨ちゃんから聞いてここに来たのかもしれないけど、それが間違っているという可能性があるねぇー」

「間違っている?」

「そうだねぇ。じゃ、せっかくみんなが時間をとってくれた事だし、その当日私が聞いたこと、確認したこと、そして今現在来人と時雨ちゃんの2人さえ知らないこと。その全てを君たちに話すよ。それをどうするかは君たちで決めな」


足を組んで、背もたれにだらーんと腰をかけていた紗奈花は、座り方を綺麗に改めると、先程の店員さんに向かって、目配せを飛ばすと同時に右手を挙手。その意図を察したかのように、店員さんは店にかかっている「open」の札を、「closed」に裏返した。


「私が話すのは、あの日記録的豪雨で川が反乱し、遊びに行って帰ってこない来人を傘を持って探しに行ったところからだよ──────」

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