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第34話 内容のない時間は過ぎたことさえ気付かない。

ぢゅらおです。

惰眠を貪るとプロフィールに書いておきながら、最近意外と執筆活動をしてることに矛盾感を抱いていて、変えた方がいいかもなと思う夜を過ごしています。

時雨しぐれから来人くるとについての衝撃の事実を聞いた、紗奈花さなかはな晃太郎こうたろうの3人。

3人は、それぞれの頭で受け止めた言葉を噛み砕こうと黙り込むが、とても素直に受け止められるようなものでは無かった。

その中でも、沈んだ表情で焚き火をボッーと眺める紗奈花の心情は同情するまでもなく、酷いものだと分かる。


「まぁ……どう考えて頂いても結果は変わりませんので」

「──────時雨ちゃん」

「はい? なんでしょうか花さん」


腕を組み難しい表情をしていた花は、意を決したかのように時雨に歩み寄ると、周りに聞かれない為なのか小声で時雨の耳元に呟く。


「いつしか言ってた事って、これに関係したりしてる?」

「? あー、あの事ですか。そうですね花さんには少しだけ喋ってしまいましたもんね」


重い雰囲気を嘲笑うかのように、くすくすと笑う時雨。そして、近くにあった丸太に飛び座ると懐かしむ声で話を始めた。


「ではせっかくの機会ですし、こうなってしまったきっかけの話をしましょうか」


我がペースで話を進める時雨に、さすがの晃太郎も「ちょいちょい……」と嫌気が出ていたが、「別に聞きたくないのであれば構いませんが?」という時雨の一蹴により、静かに話を聞かざるを得ない状況が出来上がった。


「……聞きたくないなら、あっちで寝ていて貰える? お姉ちゃん?」


紗奈花の方を見て、やれやれと呆れを見せる時雨。

視線を焚き火の方向に戻すと瞼を閉じた一瞬の間に目の前に寸前で拳を止める花がおり、思わず体がビクッと震える。


「……あんまり調子に乗らないで。紗奈花は私の親友なの。貶すのは誰であっても許さないよ」

「ふーん。かっこよく決めたつもりだと思いますが、ここで私を殴って話が聞けなくなって怒るのはその本人だと思いますよ」


花がその言葉にうっ……と一歩引き、紗奈花の方に視線を送ると小さく頷いたので、拳を渋々としまい、不貞腐れたように地面に座り込む。


「それでは、私は来人様を追いかけないといけないので、重要な部分だけを──────」


※※※※※※


幼い頃、私は自然が豊かな森のような場所で暮らしていたんです。お姉ちゃんは覚えてると思うけど、言ってなかった事がひとつだけあるんだ。

私ね、その時遊んでいた友達がいて、1人は朝に舞うと書いて、あまと読む女の子と、もう1人はもう分かると思うけど、来人です。

私たちは毎日のように森に入っては追いかけっこをしたり、かくれんぼをしたり、遊んでいました。

私もその時は……そうですね。とても楽しかったんだと思います。家に帰り、次の日が来るのが待ち遠しかった。

私達はいい関係でした。良くも悪くも親友でした。

しかし、私達の日常はあの日を境に何もかもが壊れました。

忘れもしない、雨が降っていたあの日──────


※※※※※※


「にゃはははは! 雨だぁぁぁぁ!」

「ちょ、あま! 今日は遊ぶのやめよーz……って口の中なんか入ってきた、うぇー」

「髪がベチャベチャだよぉぉ……」

「いやトキさん。ベチャベチャなんて優しいもんじゃねーよ。言うなれば……くちゃくちゃ?」

「「なんか汚いね!?」」


来人が零したジョークに私達は前のめりでツッコミを入れる。こうしてる間にも、私達に横殴りの雨が降りつけていたが、むしろそれは私たちの童心をくすぐるものだった。


「んんんん! 紳士淑女の皆様っ。本日はお集まり頂き誠にありがとうございますねん」

「まぁいつものことだがな」

「そうだね。それにしてもあま、喋り方どうしたの──────」

「よーくぞ聞いてくれましたねん!!」


場所を木が腐食して出来た洞穴のようなところに移した私達は、あまが1人雨に濡れながら外に立ち、来人と私が雨に濡れないように洞穴で座っていた。

そんな雨でずぶ濡れになっていたあまが私に飛びついて来たため、せっかく乾いてきていた私の服がまた濡れてしまった。


「……私が何を言いたいか分かる?」

「おおお!? ストップストップですぞぉー!? 痛いのは嫌だぁぁー!!」

「はい。よく出来ましたっ」


語尾が戻ったことを確認し、私は私に飛び付いているあまの肩をポンポンと二度三度叩く。

あまはそれに安心したのか、私から一旦離れると来人の服で鼻をかみ、話を続けた。


「まぁ言ってしまえば、そろそろ私も大人にならないとなと思いまして」

「おいちょっと待て、何さりげなく人の服で鼻かんでだこら?」

「そんな話、なんの本で読んだの?」

「なんか拾ったオカルト雑誌に「大人になるためには、自分の喋り方を変えないといけない。さもないと霊に取り憑かれる」って書いてあったんだよね〜」

「うわぁぁ……オカルトらしいオカルトだね」

「そんでその本に他人の服で鼻かめって書いてあったのかぁ!! アァ?!」

「でなんでその変な喋り方になったの?」

「それは最近見た、漫画の主人公っぽくってだけ」

「俺今、死んでるの?」


ずっと2人に無視され続けられた来人は、素っ頓狂な声で問うと、さすがに我慢出来なかったのか来人以外の2人はぶっと吹き出してしまった。


「あははははっ!!」

「来人は面白いねぇっ。あ、笑いすぎて鼻水出てきちゃった」


きゅるるんとした輝く目で、「おねがーい……」と無言で圧をかけるあま。

しかし来人はほうけた顔で


「いやもう貸さねーよ?」

「いや使いたくねーぞ?♡」

「んーと、ここはちゅーしちゃうぞ?とかかな?」


来人が手をあまの額に伸ばし、あまはその手を払い除け、私はなぜか前かがみになり唇を軽く尖らせる。

あまはそんな私に「ちゅーしてくださーいっ」と身をくねくねさせて悶えている。ちなみに来人はドン引き。


「ふぅ……」

「「ふぅ……」」


あまが一息つくのに合わせて、私達も軽く息を吐く。


「──────それで本日の遊びなんだけどね」

「もう終わりでいいやろうがいっ!」

「結構満足したねもう!?」


スっと近くにあった丸太に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきて話を進めようとするあま。

私達は「おいっ!」とペシッと裏手であまの額を叩き、ツッコミを入れるのだった。







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