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第28話 誰にも話してないことをなぜこの人に?みたいなことってあるよね?

ぢゅらおです。

この話からいままでの執筆人生で初めてのことが起き続けます。これがヒントです。

なんやそれやと時間は少し進み、紗奈花さなか達御一行はまだ薄暗い山道を1列になって進んでいた。

先頭を歩く紗奈花の頭にはヘッドライトが装着されていて、辛うじて進めべき道を示してくれている。ちなみに、歩く順番は1人不参加のジャンケンで決めた。

結果的にはジャンケンで紗奈花が負け、みんなが嫌がる先頭を歩くことになってしまったのだが、


「普通こういうの出さなきゃ負けじゃない!?」


とごもっともな意見を唱えた。がしかし、晃太郎こうたろうが目の前で伸びている男に暗い視線を送ると大真面目な口調で言った。


「いや、俺らの命がかかってるこのライトをこいつに持たせるのはネタでも出来ないだろ」


こんな感じで「「「確かに」」」と納得した一行は先頭に紗奈花、間にバカップル、そして消えたところで問題ないという理由で1番後ろには来人が並ぶこととなった。


「というか、この道で本当に合ってるのか?」

「スタートの時に先生に聴いたら、見える道に沿って進んだら大丈夫とは言ってたけど……」

「見える道って……正直この道さっきも通った気がするんだがな」

「ねぇ晃太郎。もし私が方向音痴って言いたいなら、頭につけてるヘッドライト喜んで渡すけど?」

「いやそういう事じゃなくてだな? とても言いづらいことなんだが──────」


晃太郎はその場で行ったり来たり、何も無いのに周りを見渡したりとどこか落ち着きの無い様子。

(……え待って周りに何も無い?)

そう。周りに何も無い。言葉を変えたら、晃太郎以外見当たらない。


「え、はな来人くるとは?」

「いなくなった」

「ほぉほぉいなくなったのですか……」

「そうなんだよ、まじでいつからか……」

「「っていなくなったぁぁぁ!?」」


木々に反射して森の奥へと消えていった魂の叫び声。来人がいなくなることは想定してたが、花までいなくなるのは想定外である。

まして、ライトがあっても少し先が真っ暗なこの山の中で迷子になるのは誰がどう考えても非常にまずいことだった。


「どうするどうする!? 一旦元来た道戻って先生を呼びに行くか!? いや元来た道すら分からないからそれは危険か……なら大声で助けを呼ぶか!?」


どうするどうすると頭を抱えてしゃがみこむ晃太郎。紗奈花は、出る直前に聞いた注意事項の中から今取れる最善策を必死に考えていた。


「もと来た道を戻るのは晃太郎の言った通りそもそも保証できないから無理。かといってさっきの大声で誰かが反応した形跡もなかったから、多分期待しない方がいい。携帯は電波がないし、あれ……そういえば出発前に遭難した際の注意事項聞いてない──────」


そんなはずはないと紗奈花はもう一度長考に入るが、むしろそれを聞いてないという事実が確実になるだけであった。


「うぅ……もうどうすればいいのか分かんないよ──────」

「とりあえず紗奈花さんいっかい落ち着こう」

「……うん」


晃太郎の冷静な声とは真逆で、紗奈花の声はもうどうしようもないと言わんばかりに細かく震えていた。晃太郎は辺りを見渡して、腰を下ろせそうな小さな洞窟のような空間を見つけると、自ら先頭に立ち、紗奈花がはぐれないように貰い受けたヘッドライトを前後反対に装着する。


「紗奈花さん、まだ歩ける?」

「う……うん」

「じゃあとりあえずあそこ向かおう。話はそれから」

「晃太郎はこういう非常事態に慣れてるの……?」


自分の焦り具合と比べて、表に出さず、いつもよりも確実な判断を下していく晃太郎に、紗奈花は涙でぐちょくちょの顔をコクンと傾ける。

晃太郎は紗奈花の質問に前を向きながら言葉のみで答えた。


「慣れてるというか、いなくなったのが来人だけならめっちゃ焦ってたよ正直ね。だけど、花もいないんだ。けどもし来人と花が一緒にいるなら大丈夫だと思ってさ」

「……晃太郎は花に信頼を置いてるんだね」

「──────んー、信頼と言っていいのか、どちらかと言うと、知っているという方が近いかな」

「何を?」

「紗奈花さんはさ、花のことを強いと思う?」

「強いなんて可愛らしいものじゃないけどね」

「そ。みんなが知ってる花と一緒なら来人は大丈夫って言いたかったんだよ」

「みんなが知ってる……?」

「花とお化け屋敷とか行ったことあるか?」

「うん何回か」

「そんとき、花が先頭歩いてただろ?」

「うん、背中にずっとしがみついてた記憶があるもん」

「あいつな、実はめちゃくちゃホラー苦手って知ってるか?」

「──────えっ!?」


晃太郎からの驚きの事実に紗奈花は思わず足を踏み外しそうになった。

「おぉ……ごめんごめん」と手すりにでも使えと言いたいのか、自分で背負っていたリュックを紗奈花に掴ませる。


「あいつに限ってそれはないだろと思うかもしれないけど、これまじなんだぜ?」

「私、結構花と一緒にいるんだけど」

「だからこそ、尚更紗奈花さんには絶対そんな姿見せないだろうな」

「なんで晃太郎はそんなこと知ってるの?」

「なんでって言われても、俺にとって花っていう存在は誰よりもか弱くて可愛い存在なんだよ」


へへへってとむず痒そうに鼻の下を擦る晃太郎。誰しもが花の強さを知っているはずなのに、晃太郎にとっては誰よりもか弱いという花。

夢と言われても信じれない事実だが、紗奈花はずっと花の友達だったからこそ、花が言わなかった理由も推測できた。


「花は……花でいたいんだね」

「そう。だからどんなに苦手なことでも絶対に自ら進んでやる。それがあいつだよ」

「──────それで晃太郎は」

「うーん……俺なんかはそんな花の愚痴の捌け口になってるぐらいのしょうもない人間だよ」

「! そんなこと──────」


「そんなことない」と言い切れる自信が、今の紗奈花にはなかった。それでも何か言い返そうと言葉を必死にかき集めるが、口に出せるものは何も無かった。

そうして生まれた沈黙の中、先程まで小さく見えていた洞窟も今ではだいぶ近くまで見えるくらい歩いてきたことがわかった。

(でも、私も来人にとってなんの存在でもない意味の無い人間なのかな……)

先程の言葉に言い返せなかった理由。それは、自分にとって来人が花だとしたら、自分もその程度の人間であると思ってしまったから。


「……紗奈花さんって来人のこと好きだよな?」

「──────へっ?」

「あ、いやごめん。忘れてくれ、何言ってるんだ俺は」

「いや違くて、私ってそんなに分かりやすいかな?」

「ごめんだけど、くっそ分かりやすい」


ヘロッと笑いながら言った晃太郎の背中をバシッと叩き、「そんなことないよ!」と言い返す紗奈花。


「……好きだよ。だけど、自信が無い」

「真面目な話に入る前に1回ごめんな。ちょっと下向いていいか?」

「えあうん?? どうぞ?」


意味のわからない要求に?マークを浮かべつつも自分の心に従った告白をする紗奈花に、晃太郎は下を向いて、ニヤつく己の顔をゴシゴシと落ち着かせる。

(いや、直球で聴いて、直球で帰ってくるとは思ってなかった……これ結構照れるなおい!?)

地面にしゃがみ、「うぉぉ!」と体をうねうねさせる晃太郎の様子に、紗奈花は後ろ指を指して答える。


「あの……非常に気持ち悪いので、やめて貰えます?」

「す、すいません。まさか、ついに本人の口から聞けるとは」

「認めるしかないよ。好きという気持ちに嘘はつけないもん」

「(何この生き物。こんな純粋な女子がまだいていいんですかね)」

「……晃太郎?」

「あーごめん、完全に自分の世界に入ってた」

「そ、そう?──────」

「……」

「……」

「にしても、あ、暑いなぁ、あはは」

「そ、そうだね、ちょっと汗もかいてきたよ……」


わざとらしく暑苦しい感じを出す2人。もちろん、お互いにその暑さが体の外からのものでは無いことは知っていた。

あまりにもこの先に進みずらい雰囲気、もはや最初からなかったことにもしたかった2人だったが、いつの間についたのか目的地の洞窟にたどり着くと、言葉も交わさずに荷物を床に置いて、盛り上がっている岩のところに腰をかけた。


「ふぅぅ……」

「ひゃあ、疲れたねぇ……」

「──────この話は心の奥にしまっておきましょう紗奈花さん」

「はい是非ともそうしましょう晃太郎」


ガシッとお互いの手を握り、固く約束を誓う。ここに紗奈花──晃太郎連盟の成立し、2人は、その印に先程までの話を打ち消すために、たわいもない話を繰り広げた。


「それでさ、来人のやつが──────」

「でねでね、花がこの間ね──────」


((うーん。話の内容を2人から離そうとすると逆にどんどん近づいて行くん(だが)(だけど)))

しかもよく考えてみたら、お互いが2人だけの状況でこんなに喋ったことなどない。仲が悪いわけでは決してないのだが、まぁよくあるだろう。グループでいる時は喋るのに、個人同士になった途端、喋れなくなる。あの状態である。


「(というか、なんで私晃太郎に自身の気持ち打ち明けてるの!?)」

「(いや、なんかもうそんなんだろうなぁーとは思ってたけど、まじでそうなのはなんか普通に……うん。言葉が出てこねーな)」


洞窟の中に流れる沈黙の雰囲気とは裏腹に、それぞれの心中ではいままでに類を見ないレベルで騒ぎに騒ぎまくっていた。


「あ、これってまさか」

「お気付いたか。多分これ」


何かに気付いたのか、ハッと顔を上げた紗奈花に、晃太郎は落ち着いた声で答える。


「「妖怪のせいだ!」」

「あのおふたりさん。2人でなにバカなこと言ってるの」


目を大きく開け、口角を上げた顔をお互いに見合っている2人。そこに居ないはずの3人目の声が聞こえ、紗奈花と晃太郎は思わず、体をビクッと震わせた。


「──────花っ!!!」

「ごめんよぉーっと。って晃太郎人前だって……」


いつからいたのか、洞窟の入口のところで壁にもたれかかって立っている花の姿が。

そんな体の前で手を合わせて謝罪をしていた花の言葉を遮って、晃太郎は思いっきり抱きついた。


「お前……こっちはまじで心配してたんだぞっ!」

「う、それは本当にごめんね」

「ごめんなさいじゃなくて、心配してくれてありがとうでいいんだよここは」

「心配してくれてありがとう晃太郎っ」


心配八割怒り1割その他1割の感情が混ざった声の晃太郎に花はふざけることはせずに、抱きついてる晃太郎の頭にポンポンと手を置いて、ゆっくりと感謝を伝えた。


「けど良かった……ほんとうにぃ、良かったよぉぉぉ」

「紗奈花まで、もう二人共抱きつくのやめてよぉ〜……」


前から晃太郎、後ろから紗奈花に抱きつかれている花はその2人を優しく剥がそうとするが、その顔にはほんのり涙が浮かんでいる。

それぞれが再会を果たしたことに複雑な感情が入り組む中、そこにいない男は洞窟のすぐ外の木の裏で完全に気配を消していた。

(なんか、この雰囲気に俺が入り込む隙なくないっ!?)

不憫な男、三室来人。晃太郎と紗奈花の想像通り、歩いている最中、足を滑らせて道から外れてしまった花のことを追いかけて道から逸れた来人。追いかける時に一言声をかけなかったのは確かにこちらの落ち度だと思うが、なんというか、一応俺も頑張ったんだけどね?と声なき声で訴えながら、来るはずもない割り込むタイミングを計る悲しい後ろ姿を見るものは誰もいなかった。


ぢゅらおです。

前書きでの匂わせ非常にすいません。

実はこのあとがきとまえがきを書いてる僕は実に2ヶ月以上離れております。

2ヶ月前の僕が何をしたかったのか説明しますと、最終回まで書き上げて「最後に1ヶ月間くらい毎日投稿してやるぜベイべぇー!!」とまぁこんな感じで意気込んでたんですが、この2ヶ月で書けた話数はなんと3です。終わりの出口すら見えません。終わってます。しかし新年を迎えたということや、単純に更新が止まりすぎるのもよろしくないということで、ここら辺で1話だけ更新させていただきます。大変申し訳ありませんでした。出来れば新学期からは新しい物語をスタートさせたいものですね……

では、新年最初の文字が私のような文字汚し作家のものになってしまった方、なってはないけどこの話を見てしまった方に深くお詫びを申し上げつつ新年の挨拶とさせていただきます。

では次のお話(出来れば予約投稿使いたいですわ)でお会いしましょう!あけましておめでとうございます。

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