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第27話 人は寝て夢を見るが、バカは夢の中で寝る

ぢゅらおです。

後期の授業が始まって悲しきです。

この物語も重要な章がやっと始まり、嬉しみです。

「くたばれよゴミがよ」

「わーお。来人くるとさんや。とりあえず落ち着きなされ。文字に怒ったって答えは出てきませんぞよ?」

「ぐるるるるる……」

「ただえさえ少ない知性がほぼ底を尽きかけている……」

「おい待てやこら。知能じゃなくて知性だと? 誰が文明後退してるって?」

「さっきからずっと『くたばれ』とか『潰すぞ』とか『呪ってやる』とか暴言しか吐いてないところ、『うっほ』だけで会話してるゴリラとあんまり変わりないよね?」

「……ゴリラっぽい性格してる奴に言われましても……」

「! 誰がゴリラっぽいじゃゴラァァ!?」

「んーそういうところとかだなあほんだらァ!」


仲良しこよし来人と紗奈花さなかは初日のドタバタ騒動など、なんやかんやの騒ぎはあったが無事に補講最終日を迎えていた。最終日の科目は、理科。詳しく言うと化学と物理である。


教科の特質上、実験を元に補講を進めていくため、2人とその他数人の生徒は化学実験室にて、そそくさと実験をしている最中である。


「え、間藤さんってあんなキャラだっけ?」

「あっ。んんっ!──────」


周りの視線に気付いた紗奈花はペシっと顔を切り替えるように軽く自分の頬をはたく。そうして見事に完璧な間藤紗奈花像を作ると、小声で紗奈花のことを喋っていた男子2人組に怖い笑顔で話しかける。


「2人とも、どこか困ってる場所とかあるー?」

「……!? あ、いや、えっとー……そのぉー」


来人にとってはこっちの紗奈花の方がイメージと違いすぎて吐き気がするくらいなのだが、多くの生徒にとっては紗奈花は完璧で欠点のない誰にでも親しみやすい少女としてのイメージが強い。もちろんそんなイメージの紗奈花のまま話しかけられたら、慣れてない生徒はもちろんこうなる。


「ふふっ、良ければこっちの席で一緒にやらない?」

「はいっ!! ぜひお願いします!!」


こっちから誘うのは無理でも誘われたら話は別だと言わんばかりに我先にと血色を変えて机を移動する本日のお客様方。元々4人で座るように設計されてない机では、頑張っても3人が限界だった。

紗奈花1人。お客様2人。じゃあ炙り出されるのは──────


「俺ですよねぇ……」

「三室くんはあと実験結果プリントに写すだけだもんねっ?♡」

「……とっとと提出して早く帰ろっと」


別にまったく終わっていなかったわけでもなく、本当にあとは写すだけだったので、素直にその場から去ろうとしたが、胸の奥で感じるズキンとした痛みに来人は首を傾げる。


(まぁ…疲れかな)

本来休みの日に5連続登校を強制されていることを考えると、普通に学校に行くよりも精神的な疲れが溜まるのは仕方ないことである。

疲れを誤魔化すために、両手を上に伸ばし「うーん」と伸びをした来人だったが、それは座っていて凝っていた背中をほぐすことにしか役に立たなかった。


「……くるっくー?」

「? その呼び方、時雨さんか…って時雨さん!?」


先程とは違う机に伏していた来人は、自分のことを呼びかける声の主が時雨であることを知って、喉に空気を詰まらせる。


「けっほっけっほっ!」

「くるっくー!? 大丈夫!?」

「うん……大丈夫大丈夫。ちょっと呼吸止まっただけ」

「それ大丈夫って言えるの?」

「……いやそんなことはどうでも良くて!」

「良くはないよ!」

「なんでここに時雨さんがいるんだ?」


驚きで語尾が裏返ってしまった言葉を聞いた時雨はクスッと微笑を零すと、空いていた隣の席に丁寧に腰を下ろした。


「もちろんくるっくーがいたからだよ」

「理由になってない……」

「さぁって、どうしてだろーねぇ〜」

「なんでそんなに楽しそうなんだ?」

「そりゃあ夏休みだもん!」


来人と同じように机に伏せながらも、顔だけこちらに向けて、当たり前だよ!と顔を緩めている時雨。

補講のせいで夏休みの存在が薄まっていた来人は「あぁ……!」と目を大きく開ける。


「それに今年は夏休み中にハイキングがあるからねっ!」

「へぇー。家族で行くのか、楽しそうだな」

「? え? くるっくーもしかして知らないの?」

「いや、いくらなんでも間藤一家のご予定は知らないって」

「いやそうじゃなくて! ハイキング祭! 学校の行事だよっ」

「なんだそれ? そんな行事あったっけ?」

「なんでも、今年が学校創立100周年の節目だかららしいよ?」


ここで初めてこの学校にそこまでの歴史があることを知ったことは秘密。

にしても、待ち遠しいという気持ちが溢れている時雨とは違って、来人は面倒くさそうな表情を浮かべていた。


「えぇ……それって強制参加?」

「あ、あれ……? おかしいなぁー、くるっくーなら乗る気だと思ったんだけどなぁ〜?」

「もしそのイベントがを潰して! 開催されるのなら俺は喜んで参加したよ。けどな?──────」


一息置いて、わざと間を空ける喋り方。その意味とは──────


()を潰してまで参加しようとは思わん」


特に意味の無い、というか分かりきっていた答えを強調するための無駄な時間としか言いようがなかった。

それでも、名言を遺したと腰に手を当て、胸を張る来人の姿は、誰がどう見ても「休みの日くらい家で寝させろ」を公言したダサい男である。

時雨は高みから視線を下ろす来人を見て、うーん……と首を傾げ、至極真面目に言葉を述べる。


「……けど確かにこのイベント、好きな人達と学校公認でお泊まりできるという点はいいですけど、泊まるホテルとか場所までは徒歩で行かなきゃいけないんですよね、ピクニックなんて甘いものじゃないですよこれじゃ──────」


ピクンピクンと来人の眉が少し動く。


「ちょちょちょいのちょい時雨さんや。このイベントは、なんかそこら辺の丘に行って校長の長ーい話を聞いた後に帰宅するみたいなイベントでは無い?」

「それと全く逆だよ。どっかの山奥にある宿泊施設まで、歩きで行った後にみんなで自炊したりして3日間過ごして、何より帰りはまた歩きですよ……うぅ、そう考えたらなんだか嫌になってk──────」


※※※※※※


「しゃあああああああああああぁぁぁ!!!!」

「……俺はもうこいつにキレる元気すらねぇーよ」


朝4時。学校近くの山の麓で、三室来人は今日も元気に吠えていた。

膝を曲げ、両手を引き、空に向かって声を荒らげる来人に、眠過ぎて立ちながら目を閉じてる晃太郎は、親指で来人のことを指を指しながら続ける。


「なんでよりによって夏休み中にやるんだよ……ふぁあ」

「それは本当に晃太郎に同意だね。花、とりあえずあのバカ静かにさせてよ」

「……すぴぃー」

「花?」

「……! 寝てません寝てません! 立ちながら目を瞑ってただけだから!」

「やることなすこと、晃太郎と似てるね……」

「あーーー!! 来人を静かにさせればいいんでしょ!? 10秒プリーズ!!」


紗奈花の言葉を遮るように言葉を重ねる花。今更、晃太郎と比べられたところで何が恥ずかしいのやらと紗奈花は考えたが、早朝の影響で頭が上手く回らなかった。

そんな中、花は恥ずかしさを隠すように大股で来人の所に向かうと首後ろにチョップ1発、間違いなく対象の意識を刈り取る技を放つ。

が、来人はその場で倒れる気配を見せず、むしろ先程よりも声の調子が上がっていた。


「え? えっ? うーん……あはは、ちょっと当てる場所間違えたのかもぉ〜」


朝だからね〜と言い訳を作る花だったが、内心は焦っていた。いくら意識が朦朧としていても、人生で1度も技を外したことがなかったからである。

頬を1度強くパシンッ!と叩いた花は、意識が確実に覚醒したことを確認すると、再度目の前にいるターゲットの首に向かって、今度は腕をクロスに交差させ当てる、玄人級の技を披露した。


「うそうそうそうそ……」

「は、花? 今度もミスったのか……?」

「い、いやちゃんと当たったはず、なんで……」


ターゲットこと来人は、何事も無かったかのように今度はその場でサンバを踊り始めていた。

そんな来人を、ただ呆然と見つめる花の心情は嵐の日の波のように荒ぶっていた。

自分のひとつの、それこそプライドと同等の技を武術の心得のひとつもない素人ごときにヘラヘラとされては。

花は、今目の前にいるのが来人、概念的に言えば友達であることを忘れ、最大の敵をどう射止めようかとただそれだけを考えた。

ふと、横目に目を瞑りながら、「花頑張れ〜」と応援する晃太郎の姿を見て、あるひとつの疑念が脳内に浮かぶ。


「もしかして……」


と体をくねくねさせて「うぃ〜」と奇声を上げている来人重心のツボ。つまり、身体中の力が集まっているツボを軽く指で押すと、来人は抵抗することも無く、音静かに地面へ倒れ込んだ。


「え? 死んだ!?」

「いや死んでないよ。なんで来人に私の技が効かないか分かった……」


友達が倒れておいて第一声が「死んだ」である点はどうかと思うが、花が倒れ込んだ来人に背を向け、立ち去っていく時に言った一言に、一同は驚愕で開いた口を塞ぐことが出来なかった。


「来人は今日、一回も目を覚ましてないんだよ」

「「えぇー!?」」


好敵手と戦ったあとのヒーローのような空気を残して、ゆっくりと去る花。もちろん死んでいたという意味ではなく、来人は最初からずーっと寝ていたのである。つまり、寝言。最初から最後まで寝言である。

その証拠に、地面に倒れていた来人の鼻からは、見たこともないような立派な鼻ちょうちんが呼吸に合わせて大きさを変えていたのだった。





ぢゅらおです。

本当はまたくだらないことでも長々と書こうと思ったのですが、現在午前二時前、既に眠気がMAXなので、一言だけ。最近、小説を読む、書く、欲が戻りつつあって嬉しいです。ちなみにスランプは抜け出せてません。

では!また次のお話で会いましょう!!

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