アリス・フォン・ペイレス
13歳になる春、親父から言われて俺はどうやら天才たちが集まる学園に足を踏み込んでしまったらしい。行ってみればどうしてもオーラのあるやつらばかり俺の目につく。それにさっきから俺の顔をじろじろと見られて気味が悪い。ごまかすように目の前に座っていた少女の肩を軽くたたく。
「初めまして、俺アスメアって言うんだけど君は?」
「アリス。アリス・フォン・ペイレスよ」
「ねぇアリスも推薦状を貰ってきたの?」
「はぁ?あんた知らないの?ここは学園からの推薦がないと入学できないのよ」
「え、そうなんだ……」
「私は魔法の才能を認められてここに来たの。あなたは?」
アスメアはこの世界にも魔法があることに驚いた。家にあった本では魔法の魔の字も見なかったし、両親からもその手の話題が出たことがないからだ。
「俺は、たぶん剣術だよ」
「あなた剣使えるの?言っちゃ悪いんだけどあなた非力そうだし……」
そう言ってアリスは一人の少年に目を向ける。アリスの視線の先を追うと、少年というには体格の良すぎる人がそこにいた。筋肉もアスメアに比べれば何倍もありそうだ。
「剣士ってあんなのばかりだと思ってた」
「あれは……彼が特別なんだよ、きっと」
「そう?でもそうよね。彼を基準にしちゃうとみんな非力になっちゃいそうだもんね」
「そうだよ」
一通り話が終わったころ、タイミングよく教室の扉が開かれた。赤い瞳を持った背の高い女性の先生だ。出席簿らしきものを小脇に携えて教壇に上がるとクラスを一瞥する。意味ありげに頷いて息を吐く。
「君らには明日から当然授業を受けたもらう。その際、魔法組と武術組に分かれてもらう。前にプリントをはっておくから後で確認しておくように。私からは以上だ。この後は各自解散でいい。健闘を祈る」
女性教員はプリントを黒板に磁石で固定すると教室を出て行った。それから数分が経った頃に教室が喧騒に包まれる。今度はアリスが話しかける。
「ね、一緒に見に行こうよ。みんなが見終わったくらいにさ」
「今じゃダメなの?」
「ダメってことはないよ。でも人が少ない方がゆっくり自分の名前探せすでしょ?」
その日はアリスと雑談をしながら寮に帰っていった。
前回は地の文が多くて今回は会話文が多いですね笑
あと寮設定はもとからあったくせにうまく作品内で説明できないあたり才能皆無;;
それでは、また。はい。