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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第七章 聖十字アドラメルク神国とはずれ能力者

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S級冒険者の指導④


 ハイセは困っていた。


「うーん……」


 非殺傷性の弾丸である、暴徒鎮圧用のゴム弾。

 今回、生徒と戦うに辺り、実弾を使うわけにはいかない。なので、このゴム弾を使っているのだが……思った以上に威力が低く、生徒の手足に当たった程度ではダウンしないのである。

 なので、ゴム弾でけん制しつつ、体術で生徒の意識を刈り取るという二度手間だ。

 それだけじゃない。

 思った以上に、生徒が強い。


「さて、どうすっかな「ハイセどいてっ!!」えっ」


 次の瞬間、ヒジリがぶん投げた巨漢の生徒がハイセの方へ飛んできた。

 ギョッとして慌てて回避。すると、生徒の放った矢がハイセの腕章に掠り、腕章が千切れた。


「しまっ……」

「ゲットぉぉぉぉぉ!!」

「あー……」


 少年が腕章をキャッチ……ハイセは負けてしまった。


「やったぜ!! S級冒険者に勝った!!」

「うぉぉぉ!!」「勝利ィィィィィィィィィ!!」


 生徒たちは大興奮。

 ハイセに向かってきた人数は約二十名。全員が喜んでいた。

 ハイセは両手を上げて言う。


「俺の負けだな。全員、おつかれさん」

「「「「「ありがとうございましたァァァァァ!!」」」」」


 ハイセは悔しさすら感じさせない微笑を浮かべる。

 すると、プレセアがタオルを持ってハイセの元へ。


「お疲れ様」

「ああ、悪いな」


 タオルで汗を拭き、飲み物をもらう。

 すると、女生徒が数名ハイセとプレセアをジーッと見ていた。

 そして、女子の一人が言う。


「あ、あの……もしかして、プレセアさんとハイセさん、お付き合いしているんですか!?」

「は?」

「だって、プレセアさん、すごく自然にタオルと飲み物……」

「すっごい慣れた感じだよねー?」

「付き合ってないわ。付き合う必要ないくらい通じ合ってるだけ」

「「「きゃーっ!!」」」

「おい、適当言うな」


 ハイセはプレセアをじろっと睨み、残るS級冒険者の戦いを観戦することにした。


 ◇◇◇◇◇


 ヒジリは大暴れ、ガイストは静かに戦っていた。

 対照的……と、サーシャは思いつつ、自分に向かってくる二十五名の生徒の攻撃を捌く。

 サーシャは思った。


(面白いな……)


 生徒は総勢百名。五名ずつ二十チームで、一人のS級冒険者に対し五チームで戦っている。この五チームのどれかが、腕章を奪えばクリアとなる。

 大抵は、自分たちのチームが腕章を奪う! みたいな感じで襲い掛かってくるのだが……サーシャに向かって来るチームは、五チームの二十五名が一丸となり、連携して向かってきた。

 サーシャは、最奥で指示を出している少年……セインを見た。


「盾チーム前へ、狙撃チームは左右に分散、前衛チームはサーシャさんを包囲して、後衛チームは補佐……うん、そう、頼む」


 誰かの『能力』で、チームに連絡を取りながら指示していた。

 サーシャを包囲する前衛チーム。後ろにはサポートが付き、サーシャの死角に狙撃チーム、さらにどこかに腕章狙いの生徒が数名いる。

 即席チームで大したものだと、サーシャは感心した。

 すると、サーシャの前に木製大剣を持つミコが。


「サーシャさん、いきます!!」


 ミコが、仲間の付与士から肉体強化の魔法を受け、身体が光る。

 タイクーンの能力『賢者』の下位能力者だ。サーシャは、少しだけ身体を黄金に包み、ミコの剣を真正面から受ける。


「くっ……」

「いい力だ。だが───まだ足りん」

「うっ……!?」


 木剣を剣の腹で弾いた。

 そして、ミコの腹に掌底を入れ、大剣を両断した。


「あっ……」

「『聖騎士』か……いい能力だ。だが」

「……あたしじゃ、無理ですよね。チビで、補助がないと剣も振れないなんて」

「ミコ。お前……自分の『能力』について、どれだけ理解している」

「え?」

「『聖騎士』は複合能力。『剣士』系能力を複数合わせた能力だ。『聖騎士』といえば大剣と盾で戦うスタイルが最も知られているが……ミコ、お前は自分の能力をもっと理解したほうがいい」

「……え?」


 そう言い、サーシャは飛び出した。

 指示を出す女子生徒。盾を構える生徒をサーシャは切り離した、魔獣使いの生徒は馬のような魔獣に乗ってサポートに回っている。

 ミコは、自分がどうすべきか考えた。


「…………『聖騎士』」


 ミコは、『聖騎士』の能力と知った時……両親から『聖騎士はカッコいいぞ。大剣と盾を装備して戦う、騎士の能力だ』と聞き、自分もそんな風になりたいと思っていた。

 だから、大剣と盾を手にした……でも、二つは持てなかった。

 だから、大剣だけを手にした。でも……重すぎて、振り回せなかった。


「待って」


 少し、考えた。

 一度、『能力説明書』で読んだことがある。

 刀剣系最強は『ソードマスター』だ。そこは揺るがない。

 刀剣系で最も弱いのは『剣士』だ。だが『剣士』は、あらゆる刀剣……いや、『刃の付いた武器』に対応する能力。

 『聖騎士』は、大剣と盾に特化した能力。

 だが、それだけじゃない。


「───……あ」


 ふと、思い出した。

 見かけのカッコよさだけで、大剣と盾を使っていた。

 でも……『聖騎士』は、それだけじゃない。


「ぐぁぁ!?」


 魔獣使いの少年が、サーシャの闘気に弾き飛ばされた。

 そして、接近戦をしていた槍使い、斧使いの少年少女が武器を弾き飛ばされた。

 ミコは、自分の直感を信じ───走り出した。

 そして、落ちていた『槍』を手にし、魔獣使いの少年が乗っていた『馬の魔獣』に飛び乗った。

 それを見て、サーシャはフッと笑った。


「───いける!!」

「正解だ」


 能力『聖騎士』は、大剣と盾だけじゃない。

 馬上戦技───馬術、槍技にも適性のある能力だ。

 槍ならば、大剣と違ってそこまで重くない。鉄の槍はミコでも持てた。

 馬魔獣は、驚くほどミコの言うことを聞いた。手綱を握ると嬉しそうに鳴いた。


「よぉぉぉぉぉっし!!」


 ミコは確信した。槍と馬、これこそが自分のスタイルだと。

 手綱を強く握り、馬を走らせサーシャに突っ込んで行った。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
こうみるとハイセって本当に無能だったんやなって…… 能力はすごいけど局所的過ぎてピーキーなんよな しかも頭も良くないからかつて自分がされて嫌だったことを平気でするし、勉強してるのに聖騎士について出てこ…
[一言] ハイセは実弾を撃ったら数分で死屍累々になるだろうしね。暴徒鎮圧と言っても一般人向けだろうし、こういう模擬戦は向いてないから仕方ない。
[一言] 案の定、ハイセは能力の攻撃強度が強すぎて、殺せない戦いは苦手だったと。 のんびり見学でいいのかな〜?
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