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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第七章 聖十字アドラメルク神国とはずれ能力者

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真相とこれから

※申し訳ございません。前話でケイオスの能力が『毒』となっています。36話では『ナイフ操作』となっていますが、正しくは『毒』でお願いします。近いうちに36話を修正します……とんでもない勘違いでした。申し訳ございませんでした。

 クラン『ジャッジメント』のマスター、ケイオスの軽犯罪は、秘密裏に処理された。

 『濃霧の森』にある柵を故意に傷付け、冒険者が怪我をするように仕向けた罪。その仕掛けにハマったのが、今をときめくS級冒険者サーシャであるということも伏せられた。

 なので、ケイオスは冒険者等級をD級まで降格、クランは解散というバツを受けた。

 サーシャは、加入したばかりの『ジャッジメント』が解散となったことに驚いたが、所属チームたちを全員引き取り、クラン『セイクリッド』所属とした。

 ケイオスの降格の理由は、表向きには『軽犯罪』を冒したということになっている。サーシャは、自分の『ドジ』で怪我をしたと思っているので、ケイオスが犯した犯罪のことはよく知らないようだ。

 

「で……あいつは?」

「王都を出た。さすがに、ここでは冒険者活動できないだろう」


 ハイセは、ギルマス部屋でガイストから顛末を聞いた。

 紅茶を啜り、ケイオスが冒険者等級を降格させられたことを聞く。


「サーシャは、何も知らないんですね」

「あんな小物のことで頭を悩ます必要はあるまい。それに、ケイオスはワシが仕置きしておいた。仕置きの途中でアポロンが遊びに来てな……あいつ『いいケツしてる』なんて言い出して、その……すまん、これ以上は」

「う……は、はい」


 アポロン。

 『教会』の枢機卿が何をしたのか、ハイセは気にしないことにした。

 ガイストも咳払いして話を変える。


「とりあえず、新しい柵も設置した。これからは定期的な巡回もする予定だ。これでこの件は終わりとしよう……ハイセ、お前も気を付けろ。有名になると、嫉妬をする者も出てくる」

「俺はソロだし問題ないですよ。それより、今回の件はクラン側にも多少問題あるんじゃないですかね」

「む……」


 今回の騒ぎは、『クランの引き抜きにより運営が困難になったクランが、引き抜いた側のクランに対する報復』のようなものだ。

 まあ、正確には引き抜きではない。クラン『ジャッジメント』よりクラン『セイクリッド』のが魅力的に感じたからチームが鞍替えをしただけなのだが。

 そして、嫉妬したケイオスがサーシャに嫌がらせをした。


「俺はよくわかりませんけど、サーシャのクランに鞍替えするチームは多いんですよね。それで、運営が維持できなくなって、解散したクランとか多いんじゃないですか?」

「……まあ、それはある」


 確認しただけで、十以上の小規模クランが解散している。

 解散せず、クラン『セイクリッド』の下に付いて依頼を回してもらうチームもあるようだ。


「そういや、バーでプレセアが言ってたな。森国ユグドラにはクランが殆どないって。『神聖大樹』がメインで、その下に大きなクランがいくつか『子』として所属して、ソロの冒険者は冒険者ギルドの依頼を受けているって。ソロ、チーム、クランの役割がきっちり決まってるみたいです」

「確かにな。アイビスだけじゃない、他の四大クランも同じように、四大クランという巨大クランが認められているからこそ、ほぼ全てのクランが傘下となっている」

「サーシャの場合、まだそこまで信用されていないから、依頼やチームの奪い合いや脱退に繋がってるんですね……」

「こればかりは、どうしようもない。どのクランに所属するかはチームの意向だからな。四大クランのように上手く運営するには、経験も、時間も、信用も足りん」


 サーシャを慕い、クラン『セイクリッド』の子として参入するクランも少なくはない。だが現状では、『セイクリッド』に負けじと頑張っているクランの方が多い。

 ただでさえ、ハイベルグ王国には大小合わせ数百以上のクラン、数千のチームが存在する。

 依頼も、これだけのクランやチームがありながら、一日で持ち込まれる依頼が消化されるのは二割か三割程度だ。それほどこの世界には困りごとや討伐系が多い。

 すると、ガイストが引き出しから一通の手紙を取り出した。


「ハイセ。『破滅のグレイブヤード』へはまだ行かないのか?」

「行かない、というか……行けないですね。なんだっけ、『聖十字アドラメレク神国』のお偉いさんが、破滅のグレイブヤードに入る許可を出さないとかで、ハイベルグ王国と揉めてるとか」

「うむ。あそこは一応、墓地だからな。神を信仰する者たちにとっては、踏み入れて欲しい場所ではないようだ」

「ってか、そういう依頼って普通、全ての準備が整ってから出すモンじゃないですか? 準備もできてないのに、『破滅のグレイブヤードから禁忌六迷宮の情報手に入れて来い』とか、情報の先出しされてウズウズしますよ……未だに王都にいるし、先を越されないかと心配で。こんなことなら情報なんか聞かなきゃよかった」

「ははは、そう言うな。バルバロスも、これほど交渉に難儀すると思っていなかったのだろう」

「はあ……」

「で、もうしばらく時間がかかる。だったら……先乗りしてみないか?」

「え?」


 ガイストが出した封筒には、剣が十字に交差した紋章が刻まれていた。

 ハイセは首を傾げる。


「ハイセ。『冒険者教育制度』は知っているか?」

「ええ。『エリートアドベンチャラー』でしたっけ」

「そうだ。聖十字アドラメルク神国にある、冒険者養成学園。『アドラメレク・アドベンチャラー・スクール』通称アドアドだ」

「っぷ……あ、アドアドって間抜けな略称っすね」

「そう言うな。で、こいつは臨時講師の依頼書だ。毎年、冒険者ギルドからS級冒険者を数名、臨時講師として手配している」

「……………………なんか、ヤな予感」

「ハイセ、ワシとサーシャ、あとヒジリも連れて四人で行くぞ」

「……………………やっぱり」

「ふ、それに悪いことだけじゃないぞ? 現在、『破滅のグレイブヤード』へ入る交渉が進められているが、向こうの王……ああ、あっちは王政ではなかったな、神の代弁者だったか? それと交渉が進んでいるが、ワシらが先乗りして、向こうの冒険者のためになることをすれば、心証が良くなるかもしれんぞ」

「でも俺、講師とか」

「まあ何とかなるだろう」

「えええ~……」


 こうして、ハイセは『臨時講師』として、破滅のグレイブヤードがある『聖十字アドラメルク神国』へ向かうことになった。


 ◇◇◇◇◇

 

 冒険者教育制度。

 聖十字アドラメルク神国は『冒険者を育成する学園』があり、『能力』に覚醒した少年少女たちを入学させ、冒険者の在り方を学ぶ場所を提供している。

 十二歳で入学し、五年間の勉強と実戦を経験させ、十七歳で卒業。

 学園を卒業した生徒は『C級冒険者』として登録される。

 ハイベルグ王国では、十二歳から冒険者資格を得て『F級』から始まる。ベテラン冒険者チームに加入して下積みから始め、少しずつ等級を上げるのが一般的。C級まで上がるのに、早くて四年、遅くて七年ほどだ。五年間通いC級というのは普通だろう。

 学園を卒業した冒険者は『エリートアドベンチャラー』と呼ばれている。

 実際、『能力』の使い方や戦術、戦闘技能など、並みのC級以上の強さを持ち、下手をすればA級冒険者以上の強さを持つ。

 

「聞いたことあるぜ。エリート冒険者は、下積み冒険者を見下してるって」


 レイノルドがそんなことを言い、樽型のジョッキにたっぷり入ったエールをグイッと飲む。

 タイクーンは、チーズをモグモグ食べながら言う。


「だが、エリート冒険者の『能力』は強い。我々のような下積みから始まった冒険者とは経験値がまるで違う。入学してから五年間ずっと、能力の使用と戦術を叩きこまれ、実戦を豊富に経験するそうだからな。荷物持ち、食事の支度のような雑務などしたことがない」


 現在、チーム『セイクリッド』は、馴染みの酒場で食事中。

 サーシャがガイストから『アドアド』の臨時講師を頼まれたことを話していた。

 ピアソラが、イカの足をガツガツ喰らい、エールをグイッと飲む。


「っぶはぁ……納得いきませんわ!! サーシャが行くなら私も、私も行くのにぃぃぃ……い、一緒がダメなんてぇ!!」

「仕方ない。これはS級冒険者への依頼だ。お前たちは王都で仕事を頼む。破滅のグレイブヤード攻略の手筈が整ったら、来てほしい」


 サーシャがそう言い、ピアソラを慰める。

 だがピアソラはムスッとする。


「ぐぬぅぅ……まさか、あの男と一緒に行くなんて!! サーシャに不埒な真似をしたら、その喉噛み千切ってやるァァァァァァァァァァ!!」

「お、落ち着けピアソラ。ガイストさんも、ヒジリも一緒だぞ」

「むぅ……」

「いいなぁ。あたしも行きたいー」


 ロビンは、デザートの果物をモグモグ食べていた。

 サーシャはエールを飲み、レイノルドが言う。


「あーあ。オレのS級昇格が確定してんのに、一緒には行けないのかぁ」

「お前の昇格は破滅のグレイブヤード攻略後になりそうだな」

「おう……まぁ、仕方ないぜ」


 レイノルドは肩をすくめる。

 サーシャはジョッキを置き、小さく息を吐いた。


「聖十字アドラメルク神国か……『剣聖』クロスファルド様に、ご挨拶できるかな」


 サーシャは、憧れの剣士を思い出し、顔を赤らめるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
喉じゃなくて別の所を噛みちぎってもおもろいんじゃないか?w
It is sad Haise isnt the one ended chaos but also Haise not getting recognose as saving s rank sasha…
ヘイト稼ぐだけ稼いでハイセがケイオスをボコろうとしたところで なぜかガイストが止めるという意味不明のクソ展開。 は?何がしたいの? 元パーティに対してもそうだけど復讐展開嫌いで書けないなら まずタイ…
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