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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第七章 聖十字アドラメルク神国とはずれ能力者

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成長の代償①

 四大クラン、改め五大クラン。

 人間界最高のクランであり、冒険者や冒険者チームが憧れる、今を生きる伝説のクラン。

 最近、四大クランに新たに加入したクラン『セイクリッド』のマスターは、まだ十代の女の子だという。


 一つは、異種族たちが多く在籍するクラン『神聖大樹(ユーグドラシル)

 クランマスターは、S級冒険者『無限老樹』アイビス。

 メンバーの八割が異種族で形成されるクランであり、加入条件は『チームに異種族がいる』こと。

 異種族とは、人間ではない種族。エルフ、ドワーフ、サキュバス、インキュバス、ナーガ、獣人など、この世界に多く住む、魔族とは違う種族のことだ。

 かつて、『人間至上主義』という、異種族排斥運動があった。

 異種族たちを守るべく立ち上がり、戦った一人の若いエルフ。それがクランマスター、アイビスだ。

 外見は十二~十四歳程度の少女。だが、エルフの上位種であるハイエルフよりもさらに希少な『エルダーエルフ』であり、エルフ族の始祖ともいうべき存在だ。

 昔、一人の人間に惚れて共に行動をしていた過去もあるとかないとか。


 一つは、ドワーフたちが集まってできたクラン『巌窟王』

 クランマスターは、S級冒険者『巌窟王』バルガン

 メンバーはドワーフのみ。昔は荒くれ集団だったらしいが、バルガンがとある青年剣士との戦いに引き分け、真っ当な道を歩み始めたとか。禁忌六迷宮へ挑戦したこともあるらしい。

 南の砂漠のど真ん中に『巌窟王』たちドワーフが工房を構え鍛冶を始め、冒険者たちのために武器を作り始めると、とある行商人が店を始め、多くのドワーフや人間、異種族たちが集まり『町』となり、砂漠最大の王国ディザーラが誕生したという経緯がある……が、実はバルガンは『騒がしいからこっちへ来るな』と言い、『巌窟王』の工房から少し離れた場所に町が作られ、本来なら町の中心にあるはずの工房が町の区画の一つとしてある、妙なクランでもあった。

 バルガンはドワーフだ。

 ドワーフは、低身長で髭モジャ、酒好きという特徴がある。だがバルガンは突然変異なのか、身長は二メートルを超え、並のドワーフ以上の腕力を持っていたそうだ。

 昔、一人の人間と喧嘩をしてから、その人間と行動を共にしていた時期があったようだ。


 一つは、人間のみ、そして刀剣に関する攻撃系能力者だけが集まるクラン『セイファート騎士団』

 クランマスターは、S級冒険者『剣聖』クロスファルド。

 人間主義たちの最終兵器とも呼ばれた、人間最強の刀剣能力者たちが集まった騎士団。実は冒険者でもなんでもない戦闘集団で、異種族排斥運動の要と呼ばれる部隊だった。

 だが……とある冒険者や異種族たちと戦い、その考えを改め改心。異種族たちと手を取り合い、人間主義者たちに反旗を翻したという。

 クランマスターであるクロスファルドは、『絶世の美青年』と呼ばれた『竜人』という希少種族。普段は人間と変わらぬ容姿だが、本気で戦う時に『変身』し、竜人となるそうだ。

 クロスファルドの『竜人形態』を見て生き残ったのは、五人しかいないという。

 とある突然変異のドワーフと戦い引き分け、とある人間に完膚なきまで叩きのめされ、そのドワーフや人間と行動を共にしたこともあるらしい。


 一つは、女性のみ加入可能なクラン『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア

 クランマスターは、S級冒険者『愛美性女(アフロディーテ)』メリーアベル。

 人間界最大の歓楽街『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』を経営するサキュバスの美女。

 人間主義、異種族排斥運動なんのその。全ての種族たちをお客として迎え楽しませる中立存在。

 『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』内では、人間も異種族たちも平等に客としてもてなされ、愛されるという。

 だが───……迷惑行為や、主義主張、揉め事などを起こしたら即退場。かつて人間主義者と異種族が『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』内で揉め事を起こした時、メリーアベルが両方に《おしおき》したらしい……どうなったかは、語られていないが、両陣営に『あそこで揉め事を起こすな』と徹底されたらしい。

 メリーアベルは、クロスファルドと並んで『絶世の美女』と呼ばれていた。

 だが、客としてやってきたとある人間に惚れこみ、行動を共にしたという。


 そして、新たに加入した一つ、クラン『セイクリッド』

 クランマスターは、S級冒険者『銀の戦乙女(ブリュンヒルデ)』サーシャ。

 十七歳の少女にして、五百の冒険者チームを束ねる若き女傑。

 指揮能力、カリスマ、人望が厚い。そしてその容姿……十七歳とは思えない美貌に、多くの冒険者たちが引きつけられ、今も多くのチームが加入申請しているらしい。

 その偉業で語るべきは、禁忌六迷宮の一つ『ディロロマンズ大塩湖』の踏破だろう。

 誰にも攻略できないと言われた禁忌六迷宮の一つを、サーシャたちは踏破したのだ。この偉業は長らく、歴史の教科書にも載って語り継がれるだろう。


 これが、五大クラン。

 冒険者たちが憧れる、最高のクラン。

 だが、やはり……その偉業に嫉妬する者は、現れる。


 ◇◇◇◇◇◇


 王都の中心からやや外れた場所にある大きな三階建ての建物。

 クラン『ジャッジメント』の本部であり、S級冒険者『毒蛇(ヴェノム)』ケイオスは、自身の執務室でイライラしていた。


「クッソが……またチーム離脱かよ」


 以前は、二百のチームが在籍していた大型クランだが、現在は八十まで減ってしまった。

 その原因は……クラン『セイクリッド』である。

 クランの脱退、そして別クランへの移籍は自由である。チームの取り合いなどに発展し、揉め事も起きることがあるが、今の『冒険者法律』では、明確なルールが存在しなかった。

 チーム『ジャッジメント』だけではない、他のクランでも、同じようなことは起きていた。

 すると、ケイオスの側近であるB級冒険者キントがドアをノックし入って来た。


(カシラ)、その、報告が」

「あ?」

「クラン『共働き(ケースワーカー)』が、『セイクリッド』に加入するみたいで……その、解散する形になったみたいっス」

「あぁ? ママチャのババァ、サーシャのガキの下に付くことにしたのか!?」

「下、というか……『冒険者指導』って形で、郊外にあるクラン『セイクリッド』本部で、冒険者育成やるみたいっス。まぁ、事実上の引退……っス」

「……クソが」


 つまり、もうS級冒険者としての依頼は受けない。

 セイクリッドのために働く馬車馬となったのだ。と、ケイオスは舌打ちした。


「あのガキ、禁忌六迷宮を踏破したとかで、チョーシ乗りやがって」

「でも、もっとも勢いあるクランであることに間違いないっスよ。うちだけじゃなくて、他の小規模クランからも脱退チーム続出、クラン『セイクリッド』や、サーシャに忠誠を誓ったクランに加入したり……」

「このままじゃ、王都にあるクランはサーシャが管理することになりそうだな」

「……っス」

「チッ……いけ好かないガキだ。攫ってヤッちまいてぇところだが……」

「いい身体してますもんねぇ。出すとこ出せば、白金貨が百、二百とか付くんじゃないっスか?」

「かもな。でも……あのガキは強い。以前、エルフの女とメシ食ってるの見たが、チラッと見ただけで視線に気づき警戒しやがった。あれはバケモンだな」

「は、はあ……」

「……そんな顔すんじゃねぇよ。あいつを襲ったら返り討ち、んで冒険者資格の停止は免れねぇ。ヤりたいところだが、な」

「…………で、ですよね!!」

「だが、少し調子に乗ってるガキに、おしおきくらいはしねぇとな」

「え?」

「あのガキは、まだガキだ。経験が浅いって弱点はある……ま、見てな。すこ~しだけ、大人のおしおきをしてやるよ」

「さっすが頭!! 陰険!! 狡猾!!」

「うるせぇ!!」


 ケイオスが投げた灰皿が、キントの顔面に命中した。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
キント君、やるじゃんwさりげなくボスの悪口を言う手法良いね。そんでこういう悪いことを考える奴はスナイプで頭ドーン!だぜ
[一言] この件でサーシャが何故パーティで留まらずクランまで発展させたか、わかるといいのですが
[一言] 慧眼の主がすでに手を打っている予感 クランホームを「鉄の破壊神」でおしおきされちゃうかもよ イメージ的に『ジャッジメント』在籍歴のあるチームが『セイクリッド』加入を認められるとは思えないん…
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