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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第七章 聖十字アドラメルク神国とはずれ能力者

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勉強会

 サーシャとヒジリの戦いが終わった二日後。

 ハイセはいつも通り、冒険者ギルドへ向かい、依頼を物色していた。

 すると、ハイセの背中をバシッと叩くヒジリが現れた。


「おはよ、ハイセ」

「いちいち叩くな」

「つれないなー、二日ぶりの挨拶じゃん」


 ヒジリは、アポロンの治療で怪我が全快したが、休養という形で休んだ。

 その間、ヒジリ討伐の依頼は撤回。一人の冒険者としてここにいる。

 だが、ハイセは面倒そうに言う。


「お前、王都に滞在するのか?」

「そりゃそうよ。サーシャと決着つけないといけないし、アンタもいるし」

「俺はいつでもいい」


 そして勝つ。そして早くどっか行け……というのが本音だ。

 正直、ハイセはヒジリのテンションが苦手だ。ミイナとは違う、独特な『やかましさ』が受け入れにくい。ヒジリが嫌いというわけじゃない。まっすぐ強さを求め突き進むパワーは尊敬できる。

 

「ま、しばらく『最強』は預けとく。アタシもまだまだ強くなれるしね」

「…………」

「あ、待ってよー」


 ハイセが無視して歩きだすと、ヒジリも付いてきた。


「ね、ハイセ。今日のこと覚えてるよね」

「……パーティーだろ」

「そうよ。サーシャ主催の『禁忌六迷宮踏破おめでとうパーティー』……ふふん、実はアタシも呼ばれてるのよね」

「お前も?」

「うん。サーシャが『ヒジリ、お前もパーティーに招待しよう』って。お昼にドレス合わせとかあるみたい。めんどくさいからパスしたいんだけど、プレセアがやかましいからね」


 いつの間にか、プレセアと仲良くなっている。

 聞けば、冒険者ギルドが紹介した宿を出て、プレセアが拠点としている宿に部屋を移したそうだ。しかもプレセアの部屋の隣になるように、宿の主人に頼みこんで。

 サーシャとも仲良くなり、決闘の翌日には普通にクランに出入りしたとか。ピアソラの機嫌が悪くなるだろうなと、ハイセは適当に思った。

 

「依頼、受けるの?」

「いや、今日は碌なのがない」


 最初から受けるつもりはない。

 今日はサーシャ主催のパーティー……ギルドに来たのは、なんとなく暇だったからだ。

 お昼を過ぎたら着替え、王都内にあるクラン『セイクリッド』へ向かう予定だ。


「ね、なんか受けない? アタシとアンタで受ければ、SSレートだろうが瞬殺よ」

「嫌だね。俺はチームを組む気なんてない。お前もだろ」

「ま、そうね。でも、アンタなら別にいいかなーって……アンタの強さも測れるしね」

「そっちが目的だろ」

「バレた? ね、アンタもマスター級なんでしょ?」

「……まあな」

「そっかー。ね、前から思ってたけど、マスター級ってなに?」

「……………………は?」


 ハイセは、信じられない物を見るような眼で、ヒジリを見た。


 ◇◇◇◇◇


 ハイセは、ギルマス部屋へヒジリを連れて行った。

 ソファに座り、出された紅茶を一気飲みし、クッキーをモグモグ食べるヒジリ。

 ハイセは紅茶だけ飲むんでいる。

 そこで、ガイストにヒジリがした質問を言うと……本気で驚いていた。


「ヒジリ。お前は……能力のことを、知らないのか?」

「アタシは土とか石から鉄を精製できるってことしか知らないわよ。能力の鑑定した時、周りが騒いでたのは覚えてるけどね」

「……その時、なにか説明を聞かなかったのか?」

「さぁ? ごちゃごちゃ言ってた気がするけど気にしてないわ。『メタルマスター』って名前だけは憶えてるけどね」

「……ガイストさん、西国ウーロンって能力の説明ないんですか? 子供でも知ってるけど……」

「む、むぅ……」

「ちょっと!! ハイセもガイストのおっさんも、アタシのこと馬鹿にしてるでしょ!!」


 ヒジリがぷんすか怒る。

 ガイストはため息を吐き、執務机からソファへ移動する。


「……少し、説明してやるか」

「えー? めんどいし、別にいいわよ」

「そうはいかん。仮にもS級冒険者が、マスター級のことや能力について、こんなにも無頓着だとは……ヒジリ、お前を目標にしている冒険者も少なからずいる。そいつらを失望させるな」

「むぅ……まぁ、聞くだけ聞いてあげる」

「……じゃ、俺はここで」

「駄目。アンタも聞いて!!」

「はあ? おい、離せ」


 ガイストは「諦めろ」と言い、静かに語り出した。


 ◇◇◇◇◇

 

「そもそも、『能力』とは何だと思う?」

「知らない。子供の頃、モヤモヤした感覚があったのはわかるけど……」

「そう。『能力』は『ある』とわかる。そして、十二歳になると『受け取れる』んだ。西国ウーロンにも、洗礼を受ける教会があるだろう? そこで初めて受け取ることができて、自身の能力の名前を知ることができる」

「おおー……そういや、おばあちゃんが連れてってくれたような」


 ヒジリは考え込む。身に覚えはあるらしい。


「能力はいくつかの系統に分かれる」

「それそれ。マスター級っての何?」

「あわてるな。順に説明してやる」


 ◇◇◇◇◇◇


 能力の系統。

 世界人口の四割が持つと言われており、能力に覚醒した者は『能力者(ホルダー)』と呼ばれる。

 能力者の八割以上が《冒険者》となり、ダンジョンに挑戦したり、傭兵稼業などに就いている。だが、全てが戦闘系の能力ばかりではない。

 能力のカテゴリは、大きく分けて四つ。


・戦闘系

・生産系

・回復系

・特殊系


 戦闘系の能力は多い。

 まず、魔法能力。『火魔法』、『水魔法』、『風魔法』、『土魔法』、『雷魔法』などの能力が最も多く、その次に『身体強化』や『付与』などがあり、それらを統合した戦闘系の『レア能力』が『賢者』である。『賢者』の能力は希少で、世界でも百人いないと言われている。

 

 生産系は、その名の通り生み出す系統だ。

 『錬金術』や『道具作成』、『ポーション精製』や『エーテル精製』、『鍛冶』など、日常的な道具作成から、回復アイテムの制作など、物作りに特化した能力だ。

 

 回復系は、身体を治癒したり解毒したりする能力のことを差す。

 『怪我回復』、『解毒』、『麻痺回復』、『石化回復』、『病気回復』など、身体を治すことに特化した能力だ。回復系能力に目覚めた者は、ハイベルク王国が運営する『教会』という組織に所属する義務がある。


 特殊系は、これらの系統に当てはまらない全ての能力を差す。

 ロビンの『必中』は戦闘系だと思われてるが、正確に言えば特殊系に分類される。クレスの『分身』やプレセアの『精霊使役』なども同様だ。


 ◇◇◇◇◇◇


「なるほど。じゃあアタシの『メタルマスター』は?」

「お前のは、生産系だな」

「そうなんだ……戦闘系がよかったな。で、マスターってのは?」

「マスター級能力は、四系統の能力の中で、特に強い力を持つ能力のことを差す。一つの系統に四つ存在し、合計で十六のマスター級能力が存在する。これらの能力は持つ者が非常に少ない」

「ほほう……そうなんだ」

「十六という数も正確かわからんがな。未確認のマスター級能力も存在するかもしれん」

「おお~……すごいわねぇ」

「とまあ、こんな感じだ。もっと詳しく知りたければ、ギルドにある資料室に行け」

「いや、もう勘弁」


 ヒジリは速攻で否定。

 ハイセは欠伸をし、立ち上がった。


「じゃ、俺は帰ります」

「あ、じゃあアタシも」


 二人は部屋を出て、ギルドの外へ。


「能力って難しいのねー……」

「難しい要素あったか?」

「アタシ、勉強したことないし。とりあえず、いろいろありがとね。じゃ、パーティーで!」


 ヒジリはさっさと走り出した。

 思わぬ勉強会になった。ハイセは大きく伸びをして、宿に向かって歩き出した。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[一言] いわゆる資料回。(´д`)(別名、尺稼ぎともいう)
[気になる点] 生産系ってことは、ヒジリが土や石から生成した 希少金属って消えずに残るのか? 鉱石市場が崩壊するぞw [一言] ハイセがパーティに参加!?と思ったが、 ロビンのお願いは無下にし辛いか。…
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