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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第六章 金剛の拳ヒジリ

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チーム『サウザンド』の現在

 チーム『サウザンド』

 クラン『セイクリッド』が発足し、最初期に加入した新人チーム。クランが発足して約半年で、チーム等級EからCまで上がり、新人を卒業したチームである。

 今日も、『サウザンド』は冒険者ギルドではなく、クランに持ち込まれた依頼をクリアし、クラン内にある『依頼報告室』に報告。

 リーダーであるロランは、カバンいっぱいに採取した『ネルゲの実』を受付に置いた。


「依頼品のネルゲの実です。確認お願いします!」


 ネルゲの実。

 すり潰すと、害虫駆除薬になる実だ。

 飲食店などでよく使われる格安の駆除薬であり、どんな店でも売っている。

 銅貨三枚で小瓶一つほどの値段だ。大したことがない。

 クラン『セイクリッド』の受付嬢は、ネルゲの実をしっかり確認する。


「……はい!! 間違いなくネルゲの実ですね。これで依頼達成です」

「はい!!」

「では、報酬はこちらです」


 報酬は銀貨四枚。

 ロランのチームは四人。一人につき銀貨一枚の報酬である。

 さっそくチームはクラン内にある『サウザンド』専用の部屋に向かい、報酬を分ける。


「はい、クーア、マッド、テナ。報酬だよ!」

「「「…………」」」


 三人は無言で受け取り、サブリーダーであるクーアが言う。


「あのさ、ロラン……そろそろ、採取依頼やめない?」

「え?」

「あたしたちも全員、冒険者等級がDに上がって、チーム等級はCにまで上がったんだし……そろそろ、もっと稼げる依頼を受けないと」

「そ、そうかな……? マッドはどう思う?」

「……オレも同感だ」

「え……て、テナは?」

「ん~、私もちょっと、採取依頼ばかりじゃね」


 どうやら、ロラン以外全員が『採取依頼に飽きた』ということだ。

 ロランは「ううむ……」と唸る。


「確かに、サーシャさんたちが禁忌六迷宮行ってる時も、ボクたちは採取依頼しか受けてないよなあ。等級は上がったけど、実戦経験は微妙かも……そりゃあ、薬草採取でゴブリンとか、コボルトとかと戦うことは多かったけど」

「ゴブリン、コボルトって……E級の駆け出しが戦うザコじゃん。そりゃ魔獣だし、舐めたらヤバいのはわかるけど。あたしが言いたいのは、魔獣討伐依頼受けてもいいんじゃないか、ってこと」


 クーアが杖をロランに突き付ける。

 マッドもウンウン頷いた。


「オレ……盾士の実力、試してみたい」


 マッドは、レイノルドに憧れて盾士になった少年だ。

 レイノルドと違うのは、大盾と丸盾スタイルではなく、両手に丸盾を装備するスタイルだが。

 レイノルドに稽古を付けてもらい、実力は並み以上はある……と、思っている。


「あたしも、ロビンさん直伝の弓使い、見せたいわぁ」


 テナは、弓を引く構えをしてロランを射抜くフリをする。

 クーアもウンウン頷き、杖をグッと握る。


「あたしだって、『雷魔法』を鍛えてる。そりゃSレートとかは無理だけど……あたしたちの等級なら、Bレート級の魔獣だって相手にできるわ。ロラン、覚悟決めて」

「……よ、よし。じゃあ、次の依頼は討伐依頼にしよう!!」


 こうして、チーム『サウザンド』は、初の討伐依頼を受けることになった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 さっそくクランにある『討伐系』の掲示板を見るが……残念なことに、討伐系の依頼はなかった。

 あるのは、採取系ばかり。

 冒険者にとって討伐系の依頼は『稼げる依頼』であり、『強さを試せる依頼』でもあり、『わかりやすく力を示せる依頼』でもある。

 クランでも、討伐系の依頼が人気なのは当たり前だった。

 昨日、『討伐系を受けよう!』と意気込んだばかりなので、やや力が抜けてしまうロランたち。


「クラン掲示板には依頼がなさそうだね……だったら、冒険者ギルド行ってみる?」


 ロランがそう言うと、三人は頷いた。

 基本的に、クランに所属しても冒険者ギルドの依頼は受けられる。

 四人は冒険者ギルドへ向かう。

 だが、すでに早朝の『依頼争奪戦』が終わったのか、掲示板の前はガランとしていた。

 

「うぁぁ~……出遅れたね」


 テナががっくり項垂れる。

 とりあえず、掲示板の前に行くと……討伐系の依頼はあった。


「え、SSレート……『ブレイジング・コボルトキング』討伐だって。なにこれ、突然変異したコボルトが東の森にいるから討伐して、って……こういうの、王国の騎士団とかやる依頼じゃないの?」

「……Sレート。北のトレマン湖に住む『怪魚アルレジャ』の討伐か……無理だな」

「こっちはS+~レート。詳細不明のフクロウ魔獣『ネロオウル』が、西にある暗闇の森に潜んでるって……いやいや、無理ねぇ」


 クーア、マッド、テナが掲示板にある依頼を見て渋い顔をする。

 ロランも、Sレート級の依頼を見てため息を吐いた。


「ボクらの等級で受けられるのはB級まで……はぁぁ、見てよほら、採取系の依頼、B級の依頼いっぱいあるよ。まるでボクらが受けに来るのわかってたみたいだ」


 採取系は相変わらずの多さだ。

 四人は顔を見合わせ、仕方なく諦めようとすると……冒険者ギルドに誰かが来た。


「あ、ハイセさん。おはようございますー」

「ん」

「あれ? 一人ですか?」

「ああ」

「あ、そっか。プレセアさんは一人で採取依頼でしたっけ。ささ、ハイセさん好みの依頼、いっぱい入りましたよー」

「なんだよ、俺好みって」

「あのですねー……ハイセさんみたいな人がこのギルドに出入りしてるから、Sレート以上の依頼が他のギルドからも回されてくるんですよー」

「それ、俺のせいじゃないだろ……ったく」


 ハイセはミイナとの会話を打ち切り、ロランたちの隣に立つ。

 ロランたちは、ガチガチに緊張していた。


「…………」


 ハイセは、無言で『ブレイジング・コボルトキング』討伐の依頼書を剥がす。

 そして、ガチガチに緊張しているロランたちをチラリと見た。


「依頼、受けないのか」

「え!? あ、いや、ボクらはその、討伐系受けたいんですけど、等級が足りず、はい!!」

「ふーん」


 それだけ言い、ハイセは受付カウンターへ向かった。

 依頼を受けたハイセは、そのままギルドを出て行った。


「「「「ぶ、はぁぁ~……」」」」


 そして、四人はため息を吐いた。

 サーシャと同格のS級冒険者にして、禁忌六迷宮をたった一人で攻略した、現在『最強』と呼ばれる冒険者の一人、ハイセと会話をしてしまった。

 クーアは言う。


「まさか、最強の冒険者の一人、ハイセさんが話しかけてくるなんて……なんか、すっごい怖かった」

「ぼ、ボクは緊張した。声裏返ってたよね? ね?」

「…………カッコいい」

「最強かぁ……あれ? そういえば『最強』って呼ばれてる冒険者、もう一人いなかったっけ」


 テナが言う。

 すると、クーアがため息を吐いた。


「それ、西の国でいろいろやらかしてる冒険者のことでしょ? そういや、サーシャさんたちが禁忌六迷宮に挑んでいるときだっけ……一人でA級ダンジョンを七つクリアした冒険者の話が出たのって」

「そういえば、そんな話あったなあ。すぐにサーシャさんたちが禁忌六迷宮を攻略して、すぐに噂が消えちゃったけど。なんだっけ……? 西の、えーと……」

「最西の国、ウーロン出身の冒険者でしょ。ハイセさんと同じく、ソロで活動してるS級冒険者。名前は、えっと……」


 クーアが思い出そうとするが、名前が出てこない。

 マッドが言う。


「S級冒険者、『金剛の拳(ヘラクレス)』ヒジリ……最年少S級冒険者」

「ああ、そんな名前だったわね」


 S級冒険者『金剛の拳(ヘラクレス)』ヒジリ。

 その名前が、ハイセやサーシャを巻き込んだ大騒動になるとは、この時は誰も予想できなかった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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