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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第五章 デルマドロームの大迷宮とディロロマンズ大塩湖

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禁忌六迷宮/ハイセとサーシャの場合②

「さぁどうした!! 出て来い!!」


 魔族の男が叫ぶ。

 すると、ボロボロのハイセがゆっくりと現れた。

 魔族の男はニヤニヤ笑い、ハイセに向かって手を伸ばす。


「少年。貴様を殺す前に、聞きたいことがある……その『銃』はどうした?」

「……俺の能力だ」

「能力。ククク、『スキル』のことか? ああ、そういうことか。だったら、取引だ……命は助けてやるから、魔界に来い。そして、その銃を研究させろ」

「…………」

「魔族は強き『力』を欲している。七大災厄に備えるために、そして人間が魔族に牙を剝いた時のために。少年……魔界に来い」

「…………」


 ハイセは無言だった。

 そして……小さく笑った。

 それが、魔族の男の勘に触ったのか、ハイセを睨む。


「じゃあお前に聞きたいことがある」

「……?」

「禁忌六迷宮……五つは、人間界にあるんだな?」

「……そんなことか……


 地底に広がる大迷宮『デルマドロームの無限迷宮』

 独自の生態系が形成される湖、『ディロロマンズ大塩湖』

 謎の磁場により感覚が狂わせられる、『狂乱磁空大森林』

 過去に一度だけ現れた空飛ぶ城、『ドレナ・ド・スタールの空中城』

 魔界にある謎の山脈、『ネクロファンタジア・マウンテン』

 そして、存在すら定かではない、伝承に存在する『神の箱庭』


 魔界にあるのは、ネクロファンタジア・マウンテン。つまり……それ以外の三つは、人間界にある。」

 狂乱磁空大森林、ドレナ・ド・スタールの空中城、そして神の箱庭。

 ハイセは、笑っていた。

 最強へ通じる道が、見えてきたのだ。


「ありがとよ。お前が俺に噓つく理由はないから、信じられる。あと三つ……そして、魔界にある最後の一つ。俺が必ず攻略してやる」

「貴様は馬鹿なのか? 教えてやる。貴様ら人間が『禁忌六迷宮』と呼ぶダンジョンは、『七大厄災カタストロフィ・セブン』という古代を滅ぼした怪物を封印する檻なのだよ」

「関係ない。へへへ……ああ、やる気出てきた」


 ハイセは、笑っていた。

 魔族は、ハイセの笑いがどうにも勘に触る。


「何を目指しているのか知らんが、そんなものに意味はないぞ?」

「ある」

「……何?」

「禁忌六迷宮をクリアするのは、俺にとって『最強』へ続く道。俺が歩んだ道の先で、あいつを待つんだ」

「……意味がわからん」


 ハイセは、右腕を掲げた。


「俺は約束した。あいつと……サーシャと。禁忌六迷宮をクリアした冒険者として、また会うって」


 ◇◇◇◇◇

 

 ついに、サーシャの闘気が消えた。

 息も絶え絶えに、剣を支えにして真っ蒼な顔をノーチェスへ向ける。


「あらあらあらぁ……限界ねぇ?」

「はっ、はっ、はっ……」

「ふふ、もう諦めたら? そっちの男の子たちと一緒に、可愛がってあげるわぁ~」

「お断り、だな……」


 サーシャは、震える手で剣を向ける。

 レイノルド、タイクーンもまだあきらめていない。

 ピアソラは、ブツブツ何かを呟きノーチェスを睨み、ロビンもノーチェスを睨んでいる。

 ノーチェスは、苦笑していた。


「ね、もう諦めなさい? どうあがいてもあなたたちは勝てないの。この状況、もうどうしようもないの」

「違う……」

「違わないわ。もう、終わったの」

「終わっていない。私は……示さなきゃいけない」

「?」


 サーシャは、呼吸を整え、剣を掲げた。


「私は約束したんだ。最高のチームで、禁忌六迷宮を攻略すると!! あいつが『最強』を目指して戦っているように、私は『最高』を目指して先に進む!! あいつに負けない、私が先に進んで、あいつを待つんだ!!」


 ノーチェスは首を傾げた。

 サーシャが何を言っているのか理解できないのだろう。

 だが、サーシャには関係ない。


「私は……」


 ◇◇◇◇◇


「俺は……」


 ◇◇◇◇◇



「「S級冒険者として、この道を進む!!」」


 ◇◇◇◇◇


 どこかで、サーシャの声が聞こえた気がした。

 ハイセは、掲げた手を強く握り締め、思い切り開いた。


「これが俺の切り札だ」


 ハイセが右手を思い切り振り下ろすと同時に、チョコラテが現れハイセを担ぎ、思い切り駆け出した。

 魔族の男は笑う。


「ハハハハハハハッ!! 切り札? 逃げるのが切り札とは!! もういい、ヤマタノオロチ・ジュニアよ!! あのガキを殺───」


 すると、魔族の男の頭上に何かが現れた。


「へ?」


 それは、鉄の塊。

 巨大な、全長5メートルほどの『鉄の筒』だ。

 魔族の男は知らない。


 地中貫通爆弾。

 

 ハイセの切り札にして、ハイセが使える最強の『兵器』

 能力『武器(ウェポン)マスター』が真に覚醒し使えるようになった、武器を超えた兵器。

 ハイセの使える《武器》で最強なのは、ロケットランチャーとアンチマテリアルライフルだ。だが……最強の《威力》を持つ《兵器》は、この地中貫通爆弾である。


「───」


 魔族の男は、何を思っただろうか。

 落下する《鉄の筒》が魔族の男を押しつぶし、ヤマタノオロチ・ジュニアの身体を貫通し、地面に触れた瞬間───恐ろしい閃光、衝撃、爆音、爆風が巻き起こる。


『ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅガァァァァァァァ!!』

「───っ!!」


 耳を押さえ、チョコラテの盾で守り、アイテムボックスに入れておいた大量の魔獣の死骸を盾にして、頑丈そうな建物の傍で、ハイセとチョコラテは身を守っていた。

 が、建物が吹き飛び、魔獣の死骸が吹き飛び、ハイセとチョコラテも吹き飛ばされた。


『お前、だけはァァァァァァァァァァァァァァァ!!』


 チョコラテが、魔獣の死骸を手繰り寄せ、ハイセを掴んだ。


「───っ」


 ハイセは、そのまま気を失った。


 ◇◇◇◇◇


「今こそ、私に力を!!」


 サーシャが剣を掲げると同時に、防御を放棄したタイクーンが魔法を放つ。


「『超強化(ウルティマ)』!! っぐ、ぁ……ッ!?」

「おぉぉぉォォォォォッ!!」


 触手がタイクーンを攻撃し、吹き飛ばされる。

 レイノルドも、全てを受けきれず吹き飛ばされた。

 だが、吹き飛ばされる直前に掛けた、タイクーンが使える最強の支援魔法がサーシャを包む。

 

「これは、マズいわねぇ」


 ノーチェスがショゴスに命令しようとした瞬間。


「───ップ!!」

「っ!?」


 ロビンが、自らの歯を噛み砕き、『必中』の力を使用し口から飛ばす。

 折れた歯が刃のように鋭く、ノーチェスの眼に突き刺さった。


「ッッつぅ!? この……」

「ピアソラ!!」

「我は祈る、汝のために───『聖女の奇跡(メシアライザー)』!!」


 三十日に一度だけ使える、『聖女』最高の回復術が、サーシャを癒す。

 怪我、病気だけじゃない。体力、気力をも回復する奇跡。

 ベストコンディションへと回復したサーシャから、黄金の闘気があふれ出す。

 超強化により、全ての身体能力が十倍に。身体にかかる負担は聖女の奇跡によって打ち消される。

 つまり、ノーリスクで最強のさらに上へ立った瞬間だった。


「黄金剣、奥義!!」


 サーシャが剣を掲げ、闘気を全開にした。

 そして、ノーチェスと、ショゴスに向けて剣を振る。


「『黄金夢想烈覇(エクスカリヴァー)』!!」


 黄金の闘気が周囲を包み込み、ショゴスとノーチェスを包み込む。


「───う、そ、ォォォォォッ!?」


 ノーチェス、ショゴスだけを消滅させ、ピアソラとロビンはショゴスから解放された。

 崩れ落ちる二人を、レイノルドとタイクーンが支える。


「おい、大丈夫か!?」

「ええ……っく、あなたに助けられるなんて」

「そう言うなっての。おっ、いい眺め」

「~~~っ!! この変態!! 見るなァァァァァ!!」


 裸のピアソラを見るレイノルドだが、すぐにアイテムボックスから毛布を出して被せた。


「無事か?」

「うん……あいてて、奥歯折れちゃった」

「ピアソラに治してもらえ。っと……」

「あ……」


 ロビンは恥ずかしそうに胸を隠す。

 タイクーンは毛布を出し、ロビンにそっとかけた。


「ありがと……」

「気にするな。とりあえず、これで終わったようだな」

「うん」

「サーシャ、二人は無事だ。キミは……」


 タイクーンが声をかけた瞬間、補助魔法が解けたサーシャは崩れ落ちた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
バンカーバスターはあかんですよ…… もうその上の威力っつったら核と水爆位しかないわい ん?いや、「神の杖」があったか。遠隔で宇宙空間に召喚出来るのかは知らんけど。 というか、ずっと本持ってるけど解読の…
[気になる点] 「信じられない」はどこいっちゃったんだろうか? [一言] フリガナが「ウェポンマスター」だもの、兵器だってつくれるよね 今のところは実体弾ばかりだけど、レーザー兵器などはないんだろうか…
[一言] 結局主人公は一人で頑張らなくなっちゃったね
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