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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十八章 ネクロファンタジア・マウンテン

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災厄封印ゲート『イゾルデ』⑬/深度5~崖下へ~

 ハイセたちは順調に深度4を進んだ。

 道中、『名前のない魔獣』と戦い、時には避け、時には危機に陥り……それでも、誰も欠けることなく進み、ようやく深度4の終わりに近づいてきた。

 ハイセ、サーシャ、クレア、シズカ、タイクーン、ロウェルギアの六人は、深度4『獣哭の高原』の終盤へ到達……その『位置』から見える光景に、息をのむ。


「……おい、どうなってんだ」


 ハイセが言うと、ロウェルギアは跪いて言う。


「ハイセ様。これが『獣哭の高原』の終わりにして……深度5への入口です」


 そこは、『崖上』だった。

 奈落の底とでも言えばいいのか、大地が綺麗にくり抜かれていた。

 そして、巨大な穴の中央に見えるのは大山脈。

 たとえるなら陸の孤島。周りが海に囲まれていれば船を出すこともできるのだが、大地が綺麗にくり抜かれており、中央にある山脈を登るには空を飛ぶか、崖を降りて進み、山脈に向かって上るしかない。

 クレアはしゃがみ、堕ちていた石を投げる。


「……うわぁ、もう見えなくなっちゃいました。闇ですよ闇、師匠みたいに真っ黒です」


 ハイセは無視。

 タイクーンは言う。


「ふむ……あの中央にある山脈が『ネクロファンタジア・マウンテン』に違いないようだ。この地形を見るに、円形に大地がくり抜かれているな」

「ドーナツみたいね」


 わかりやすくプレセアが言うと、サーシャが腕組みをして言う。


「……ネクロファンタジア・マウンテンに行くには、空を飛んで行くか……」


 そう言った瞬間、全長五十メートル以上ある巨大な『翼の生えた大蛇』が、群れで上空を横切った。


「……今のは聞かなかったことにしてくれ」


 サーシャは首を振る。

 地上でなら戦う選択肢もあるが、上空では戦闘力は大幅ダウン。そもそも足場がないので戦えない。

 ハイセも、上空を飛ぶ『名前のない魔獣』を見て舌打ちする。


「武装ヘリで相手はできるが……群れでは厳しいな。シズカ、お前は?」

「無理。恐らく、速度に特化した魔獣相手じゃ話にならない」

「なら、答えは一つね」


 プレセアが一歩前に出て、崖下を覗き込む。


「ここを降りて、あの山を目指して地上から進むしかないわ」

「それしかないだろう。というか……これが深度5か。ロウェルギア、キミはここまで来たのか?」

「ええ。ここから先、ワタクシにとっても未知の領域です。申し訳ありませんハイセ様……ワタクシ、ここからは戦いでしたお役に立てません」

「気にすんな。情報ゼロの地を手探りで進むなんてのは、冒険者にとって日常茶飯事だ。よし……タイクーン、ここから降りる方法は?」

「そうだな……」


 いくつか話し合い、案が出た。

 一つ目はサーシャ、クレアが闘気を纏って飛び降りて偵察し、タイクーンの魔法による補助でハイセたちも飛び降りる方法。

 二つ目は、プレセアの精霊による透明化、そして風の精霊による気流操作でゆっくり下降。

 三つめは、ハイセの『ヘリ』に乗っての下降……だが、この案は却下。ヘリは目立つし、下降中に魔獣に気付かれる恐れがある。


「ただ飛び降りて偵察……ってのも危険がある。できれば、団体行動は崩したくない。プレセア、お前の案で行くぞ」


 ハイセが言うと、プレセアは「ええ」と頷いた。

 それぞれが戦闘準備を終えると、プレセアが精霊にお願いをする……すると、ハイセたちの姿が消え、身体が風の力でふわりと持ちあがった。


「姿は見えないけど、気配はあるわ。それと、崖下までの深さがわからないから、どれくらい時間がかかるかわからないわよ」

「構わない。やってくれ」


 サーシャに言われ、プレセアは「ええ」と呟き、ハイセたちはゆっくりと崖下へ下降を始めた。


 ◇◇◇◇◇◇


 降下中。


「あのあの、プレセアさん……」

「なに?」

「私たち、今透明なんですよね……でもでも、普通に姿見えてるような」


 クレアは、ハイセやサーシャを見て疑問を浮かべる……なぜなら、姿が普通に見えているから。

 これまで何度か透明化したことはあったが、今思うと普通に姿は見えていた。今も、透明とは思えないくらい普通に、ゆっくりと降下している。

 プレセアは言う。


「精霊同士は姿が見えるもの。精霊を纏っている私たちが互いを視認できるのは当然でしょ?」

「えーと……わかったような、わかんないような」


 クレアは「???」と疑問符を浮かべている。

 タイクーンも気になっているのか、自分の腕や周囲を見ていた。


「精霊か……魔法とは違う力、研究テーマにするのもありだな」

「言っておくけど、私は協力しないから。それと、勘のいい魔獣は気付くわよ」


 と、プレセアが言うと……崖を這うオオトカゲがいた。

 あまりにも巨大なトカゲだった。全長四十メートル以上あり、クレアは全く気付かない。思わず叫ぼうとしたらハイセが背後からクレアの口を塞ぎ、暴れないよう抱き寄せた。

 タイクーンも驚き、シズカとロウェルギアは平然としている。

 サーシャは剣を抜いて構え、オオトカゲに注意しながらゆっくりと降下していく。

 そして、オオトカゲが見えなくなると、それぞれが息を吐いた。


「……驚いたな。私も気付かなかった」

「俺もだ。やれやれ……まだまだ魔獣の危機はあるな」

「っぷは!! 師匠、いきなり口押さえないでくださいー!!」

「声落とせ。死にたいのか」


 クレアは「うぐ」と口を押える。

 ロウェルギア、シズカは言う。


「深度5……フフフ、恐怖ですネェ」

「……オーバースキル保持者と言われても、魔界の深度5では一般人と変わらない」


 魔族の二人にとっても未知の世界だ。

 ハイセたちは、そのまま無言で数キロほど降下……そして、ようやく地上が見えて来た。

 地上に降り立ち、周囲を警戒する。


「……薄暗い」


 サーシャは警戒しながら言う。

 背後は壁になっており、前は大きな樹木が大量に生えている。崖の真下に到着し、ここから地上ルートで『ネクロファンタジア・マウンテン』の麓まで歩かなくてはいけない。

 タイクーンは言う。


「ここが、真の深度5といったところか……目算だが、ネクロファンタジア・マウンテンの麓までは数十キロ以上あるように見えた」

「……魔獣も多くいるわ。精霊が怯えている」


 プレセアの手が淡く輝くと、周囲の木々がぼんやり輝いた。光の精霊が樹木の葉っぱを光らせている。

 サーシャは言う。


「……ハイセ。斥候を任せていいか?」

「わかってる。シズカ、行くぞ」

「ああ」


 ハイセは、このメンバーでは『斥候』の役割だ。

 先に進み、周囲の状況を把握し、安全確保の仕事をするためにシズカと二人で木々の先へ。

 シズカと並んで歩く。ハイセは拳銃を手にし、シズカは両手にナイフを装備。

 歩きながら気付いた。


「……ハイセ。この森、妙だ」

「同じことを考えている……」


 まず地面。踏み固められた土で、歩くのも走るのも踏ん張りがきくいい大地だった。

 そして木々。幹が太く、どの木も二十メートル以上ある大樹ばかり。いや、大樹しかない。

 一番気になったのは、あり得ないくらい『雑草』が生えていないことだった。

 樹木と、地面しかない。普通は藪や雑草が生えているはずなのだが、全くない。


「……どういう大地なんだ? 木々が大きいせいで、身を隠すことができないぞ」

「木の幹に身体を隠すくらいしかできない。しかもこの木……余計な枝が全く生えていない。ハイセ、人間界にもこういう木はあるのか?」

「あるとは思うが……」


 見上げると、木のてっぺんに枝が生え、葉が生えている。

 得体の知れない森だった。ハイセは木に触れて言う。


「……安全と言っていいのかわからんが、とにかく先に進むしかない。シズカ、一度サーシャたちの元へ……」

『ガロロロロ……』


 と……ハイセが言った瞬間、木々を縫うように巨大な『虎』が現れた。

 あまりにも不気味だった。顔が三つあり、尻尾が三本ある、五十メートル以上ある『三つ首虎』だった。

 ハイセ、シズカはすぐ戦闘モード。そしてハイセは言う。


「シズカ、サーシャたちを呼んでこい。こいつは俺が」


 ハイセはライフルを出現させ、スピンコックで弾丸を装填し三つ首虎へ向ける。

 右手にライフル、左手にハンドガンを手に、三つ首虎に向かって笑みを浮かべた。

 シズカは頷き、低空飛行でサーシャたちの元へ。

 それを見送ることなく、ハイセは言う。


「深度5……ここも退屈しなさそうだ」


 ネクロファンタジア・マウンテンまで、あと数十キロ。

 ハイセたちの戦いは、ここからが本番だった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
いよいよ深度5に突入。空中戦で行こうものなら攻撃ヘリをもってしても厳しいし、魔獣の打撃で墜落しようものなら全員戦死の危険性も高い。 無人戦闘機や攻撃用ドローンなどを駆使できれば攻略できそうなものだが⋯
作者が娼婦サーシャの代わりにエクリプスかヒギリを使った方がよかったでしょう。
サーシャ達『セイクリッド』、何だか完全にハイセやプレセアに頼り切りですね。 斥候の役割なら『セイクリッド』にもいたはずです。サーシャが出した作戦案も没となってしまいますし。現時点ではハイセ達にとって、…
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