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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第五章 デルマドロームの大迷宮とディロロマンズ大塩湖

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禁忌六迷宮/ハイセの場合②

 クラン『巌窟王』のクランマスター、バルガンとの話を終えた翌日。

 ハイセは冒険者ギルドのギルマス部屋に呼ばれた。

 部屋には、ギルドマスターのシャンテと……。


「…………」

「あんた……なんか用事か?」


 バルガンだった。

 目を閉じ、腕を組み、ソファに座っている。

 ハイセが質問するが、無言だった。

 シャンテがハイセに座るように言い、バルガンの対面に座る。


「シャンテさん、すぐにでもデルマドロームの大迷宮に行きたいから、手短に頼みます」

「ああ。と言いたいが……呼んだのはバルガンなんだよ。アタシは同席するだけさ」

「はあ……で、何か?」

「口の利き方がなってないガキだな」

「あんたに言われたくないね」


 ようやく口を開いたバルガン。

 嫌味に嫌味で返すハイセ。

 相手は、四大クランのマスター。だがハイセは一歩も引かない。

 シャンテは「大したガキだ」と思いつつも、緊張していた。


「バルガン。話があるならさっさと言いな。ハイセはお前の話を聞く義理なんてない。すぐにでもデルマドロームの大迷宮に行っちまう。そうなりゃ、数か月は会えないよ」

「……一つだけ、助言してやる」

「?」


 バルガンは腕組みを解き、自分のシャツをまくり上げた。

 

「なっ……」


 シャンテが驚愕する。

 バルガンの腹部には、巨大な穴が開いたような跡があった。


「過信は死を招く。オレが生きているのは奇跡……あそこは、一人で何とかなるような場所じゃない。こっちにいる魔獣と比較にならんぞ」

「…………」

「認めてやる。そうさ、オレは逃げた。四大クランのマスターとか言われているが、お前の言う臆病者だ。残りの人生、冒険者のための武器を作り、生存率を上げることだけしかできない。ガキ……過信するな。死にたくなきゃ逃げて、這いつくばってでも逃げろ」

「…………」


 ハイセは、少しだけ笑った。


「訂正する。あんたは臆病者だけど、腰抜けじゃない」

「何?」

「四大クラン『巌窟王』のクランマスター、バルガンさん。あんたの助言、感謝する」

「…………」

「俺は死なない。死ぬわけにはいかない。生きて、冒険者の高みを目指す。そのためなら、逃げてでも、這いつくばってでも、生きてみせるよ」

「……生意気なガキだ」


 バルガンは、少しだけ笑った。

 ハイセも笑い、立ち上がる。


「じゃ、行くよ。いい話だった」

「……迷宮を攻略したら、クラン総出で祝ってやる」

「楽しみにしておく」


 ハイセは軽く手を振り、部屋を出た。

 シャンテは、バルガンに言う。


「あんた、不器用すぎるねぇ……今の話、昨日すればよかったのに」

「…………子供は、苦手だ」

「ハイセは子供じゃない。そう思ったから、わざわざ来たんだろう?」

「……まぁな」


 ハイセなら、もしかしたら。

 バルガンとシャンテはそう思い、ハイセが去ったドアを見つめた。


 ◇◇◇◇◇◇

  

 デルマドロームの大迷宮。

 砂漠の国ディザーラが管理する、禁忌六迷宮の一つ。

 ディザーラから馬車が出ていたので乗ると、迷宮が一望できる高台へと到着した。

 どうやら、観光スポットになっているらしい。高台から、多くの冒険者や観光客が、デルマドロームの大迷宮を見ては感動している。

 ハイセは、高台から迷宮を眺めてみた。


「大きいな……」


 砂漠にある巨大遺跡。

 そんな言葉がピッタリだ。

 集めた情報によると、表にある遺跡はあくまで遺跡。その地下は広大なダンジョンで、危険な魔獣が大量に住みつき、国一つでは収まりきらないほど広いらしい。

 目的は一つ。

 ダンジョンの『核』を持ち帰れば、迷宮は消滅する。

 地下には莫大な財宝もあると噂されている。


「……よし」


 ハイセは、高台の柵を乗り越えた。


「あ、あなた!! 何やってるんですか!!」


 すると、馬車の添乗員に注意される。

 ハイセは冒険者カードを見せて言う。


「S級冒険者『闇の化身(ダークストーカー)』ハイセだ。今から、あのダンジョンに挑戦する」

「え、S級冒険者!? しかも、ハイセって……わ、わかりました。お気を付けて」


 この行動が、砂漠の国ディザーラで『ハイベルク王国のハイセが禁忌六迷宮に挑んだ』という話が広まるきっかけとなる。

 ハイセは、デルマドロームの大迷宮に向かい歩き出した。


 ◇◇◇◇◇◇


 遺跡前に到着。

 人は誰もいない。正面から堂々と遺跡の入口へ。

 

「だいぶ古い遺跡だな……」


 近づいてわかったが、遺跡は石造りではない。

 鉄も多く使われており、石の中から金属の棒が飛び出していた。


「なるほど。鉄で骨組みを作って、石で補強しているのか。ん? これは……」


 妙な鉄の棒が落ちていた。

 鉄の棒に、丸いガラスレンズが三つ並んだ箱がくっついている。


「…………どこかで」


 ハイセはハッとなり、古文書を取り出しページをめくる。

 そして、覚えのあるイラストが描かれたページで止まった。


「これは、そっくりだ……し、『シンゴウキ』かな?」


 信号機。

 ハイセの目の前にある、砂に埋もれた三つ目の何かは、古文書に書かれた『信号機』にそっくりだ。

 他にも、鉄製品が大量に埋まっている。


「これは、『クルマ』で……こっちのは『バイク』かな」


 妙なものがいくつも埋まっている。

 入口だけでこれだ。中には、何があるのか。

 ハイセは、ポツリと言った。


「デルマドロームの大迷宮……まさか、『イセカイ』に関係しているのかな」


 そう呟き、ハイセは迷宮に踏み込んだ。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
この話の段階でのことだが、ハイセとサーシャの夢が交わることはない。それぞれが別の夢をみている。似ているようで別の夢。作者としては課程は違えど行く先は同じでクロスするとしたいのかも知れないが、話の展開に…
ここに来るのが運命みたいだな
どこぞの第六天魔王モドキが魔族の王だったりしてな
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