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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十七章 魔界~アヅチ城~

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オウミの町~ようやく町中へ~

 ハイセ、サーシャ、ヒジリ、エアリア、そしてシドラの五人は、ようやくオウミの町へ。

 先ほどまで、町の外にある大橋で戦いがあったのだが、誰も気にしていない。

 けっこうな騒ぎになったのに、何もなかったように町の人は普通にしていた。


「……おかしいな。けっこう騒いだのに、町の守衛みたいなのも出てこなかったぞ」

「確かに……」


 ハイセ、サーシャが周囲を確認する。

 

「どことなく、アズマを感じさせる雰囲気だな」

「ああ。町並みも、人々の衣類も、そんな感じだ」


 オウミの町は、木造がメインの建物が多く、二階建て以上の建物が少ない。

 道幅も広く、多くの露店や一般的な商店が並び、どう見ても観光の町。

 エアリアはキョロキョロすると、ふよふよ浮かんでハイセの背中に飛びついた。


「なあなあ、お腹減ったぞ!!」

「……待て。まだ不用意に……ってかくっつくな」

「お腹減ったー!! なあ、オマエも減っただろ?」

「え、あ……はい」


 いきなり話を振られ、シドラは思わず返事をする。

 ヒジリもウンウン頷き、シドラと肩を組む。


「こんな子供がお腹空いてるって言ってんのよ? 我慢させるなんて可哀想じゃん。ってわけで、肉!! アタシも血ぃ流したせいで補充しなきゃなのよねー」

「ハイセ。肉はともかく……気配を探っても危険な感じはしない。むしろ、我々のことなど、誰も気にしていないぞ」

「……ったく。仕方ないな」


 ハイセたちは町に入り、食事処を探すことにした。


 ◇◇◇◇◇◇


 町の中央通りを歩き、肉の匂いがするとヒジリが勝手に入った店へ。

 焼肉屋……テーブルに鉄板が置かれ、自分で焼くスタイルの焼肉店だ。

 人間界にも普通にある焼肉店で、周りに魔族や亜人族がいること以外、人間界と全く変わらない光景である。

 五人は座り、ヒジリは普通に「肉、いっぱい!!」と注文。

 鉄板には魔法で火を入れ、フォークやアズマで使った箸、湯のみ、取り皿に、焼肉のタレと普通に出てくる。

 サーシャは言う。


「……アズマの文化と同じなのか?」

「かもな。これだけで、人間界との繋がりを感じる……アズマが魔界の文化を真似たのか、人間界が真似たのか……これだけ共通していると、繋がりがないわけない」


 焼肉屋だけでも、かなり情報があった。

 店員が肉が大量に乗った皿を魔法で浮かべ、ハイセたちのテーブルに並べた。

 トカゲ亜人の定員だった。ハイセは質問する。


「質問していいか?」

「はいはい、どうぞ~」

「さっき、入口の大橋で戦いがあったんだが……守衛どころか、住人も誰も気にしていなかった。そういうモンなのか?」


 すでにヒジリは肉を焼き始めている。エアリアも、ヒジリに負けじと肉を焼く。

 シドラはゴクリと喉を鳴らして自分用に小さな肉を焼き、サーシャはハイセと定員と肉皿をチラチラ見ていた。

 定員はクスっと微笑む。


「ああ、ベンケイ様とヨシツネ様ね。あの方々が大橋の前で戦うのはよくあることだから」

「……よくある?」

「ええ。大魔王ヒデヨシ様の両腕だからね。ここから『オオエド』に行くには町を通るしかないでしょう? 一般的な観光客は『オオエド城』の見える展望台までしか行かないけど、そうじゃない人はオオエド城に行こうとするのよ……だから、大橋ではベンケイ様が、こっそり入ろうとする人はヨシツネ様が監視するのよ」

「へえ……信頼されてるんだな」

「そりゃそうよ。ヒデヨシ様、魔界の大魔王だけど、その命を狙う人も多いらしいから」


 ハイセは水を飲み、口を潤して言う。


「ベンケイと、ヨシツネか。二人は強いのか?」

「そりゃもう。三大魔王様より強いって話。すごいわよねぇ……『オーバースキル』保持者でもないのに、純粋な力だけでヒデヨシ様の守護者になるなんてねえ」


 ベンケイ、ヨシツネはオーバースキル保持者ではない。

 ハイセはシドラを見る……オーバースキル『岩神(ロッチャ)』の保持者。

 肉を焼き、美味しそうに食べる姿は子供にしか見えない。


「ハイセ、考えることが多いのはわかるが……」

「腹減ったなら食えばいいだろ」

「う、うむ。すまん……私もお腹が減ってる」


 サーシャも、肉を焼き始めた。

 ハイセは定員に質問する。


「この町、普通に観光できるんだな」

「そりゃそうよ。魔界の象徴ともいえる『オオエド』が見えるんだから。魔族にとっても、一度は見なきゃねぇ」

「……ヒデヨシってどんな人物だ?」

「んん~、難しいわね。というか、お姿を見た人なんてほとんどいないわ。ベンケイ様、ヨシツネ様がお仕えしている以上、いることはいるみたいだけど……けっこう前、パレードとかあったけど、その時もずっと魔法障壁の中にいたから」

「なるほどな……ありがとう」

「いえいえ。あら、お肉の追加かしら?」

「アタシ、大盛で!!」

「あたいも!!」

「わ、私もだ!!」

「えと……わたしも」


 ハイセ以外、全員が肉の皿を完食していた。

 ハイセはため息を吐き、自分用の皿の肉を焼き始めるのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 宿を取り、それぞれ部屋を取る。

 今日はベンケイとの戦いもあったので、早めに休むことになった。

 食事は宿で、外出はしないを徹底し、ハイセは自室で読書をする。すると、ドアがノックされた。


「やっほー」

「……何か用事か?」

「んーん。暇だから来た」

「サーシャとか、エアリアとかいるだろ」

「サーシャはシドラに人間界の文字教えてる。エアリアはお腹いっぱいなのか爆睡。アタシはお風呂でも行こうかなーって思ったけど、アンタとイチャイチャするチャンスかもって思って」

「……帰れ」


 ハイセは「まずい」と思った。

 現状、ハイセでは『武器』を使わないとヒジリには勝てない。『寝技』に持ち込まれたら負ける。

 ヒジリがそのことに気付くのはまずい。そう思い追い返そうとしたが、ヒジリが入って来た。


「おじゃまー」

「おい、こら」

「いいじゃん。アタシ、あんまり出番なくてヒマだったし。ねーねーお話しよ、イチャイチャしよ?」

「……俺は読書で忙しいんだ。お前も本くらい読め」

「えー……ねえねえ、アタシとお話しようよ。ね?」

「……ったく」


 ハイセは諦める。あまりしつこく追い返そうとすれば、ヒジリは何か勘づくかもしれない。

 ヒジリはベッドに飛び込み、ブーツを脱ぎ、ジャケットを脱ぐ。

 胸に巻いたサラシ、短パンだけの恰好になり、うつ伏せで足をバタバタさせた。


「ね、ハイセ。あのベンケイってのと再戦する機会あったら、アタシやるから」

「……その時は任せる。現状、確率は五分五分くらい。お前が喧嘩売らなきゃ機会はないかもな」

「じゃあやる。ふふん」


 仰向けになり、足をバタバタさせる。

 落ち着きのないやつ……とハイセは思う。


「明日は町を散策して、ヒデヨシについて、それとベンケイ、ヨシツネについても情報を集めるぞ。それと……観光地みたいだしな、買い物とかできるかもな」

「やった!! ね、明日は何食べる?」

「……まだ晩飯も食ってないのに、明日何食うかなんて決められねぇよ」

「確かにね。んふふ、なんかこうやって他愛ない話するの、すっごい好き」

「…………」

「ね、ハイセ」

「……なんだ」

「魔界から帰ったらさ、一緒に住みたい」

「は?」


 ヒジリは立ち上がり、ハイセの傍に来た。


「アタシさ……やっぱりハイセのこと、好き」

「お、おい」

「アンタは? アタシのこと、意識しない?」

「…………」


 ヒジリは前屈みになり、ハイセに顔を近づける。

 整った顔立ち、ぱっちりした瞳、薄紫色の髪からは不思議と甘い香りがした。

 ハイセは目を逸らすと、ヒジリは嬉しそうに言う。


「意識してるじゃん。ふふふん」

「……もういいだろ。今は、そういう感情に振り回される時じゃない。ヒジリ……お前の気持ちは理解したつもりだ」

「うん。まあ、時間あるし今日じゃなくていいや。それに……アンタのこと、まだ倒してないしね」


 ヒジリはブーツを履き、ジャケットを掴んでドアの前へ。

 そして、ハイセに言う。


「安心してよ。アタシ、『寝技』はまだ使わないから。ふふん、じゃーまた夜にね」


 ヒジリは出て行った。

 ハイセはしばしドアを見つめ、大きなため息を吐くのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
これはとても可愛かった。ピアソラもどうなっていたのだろう。彼女とヘイズの関係は物語の初めから発展していたが、突然止まってしまい、作家はそれに取り組んでいたが、最近は二人の間には何もない。正直言って、私…
ヒジリらしさを残してハイセに迫るのは良いな 以前ハイセが指摘したように女になり過ぎてヒジリらしさが無くなってた時は正直苦手だったから 正妻エクリプスでヒジリ、プレセア、クレアのハーレムENDが良いな …
サーシャよりハイセに対して誠実に頑張っているヒジリの方が報われて欲しい。
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