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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十七章 魔界~アヅチ城~

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オウミの町

 それから、特に戦闘もなく馬車は進んだ。

 シドラは、ハイセの読む本に興味を持ったのかチラチラと見てくる。なのでハイセは魔界で手に入れた本を何冊か出し、シドラの前に置いた。

 シドラはページをペラペラめくるが、首を傾げる。


「……読めないのか?」

「えと……すみません。文字、あんまりわからなくて」

「……こっち来い」


 シドラはハイセの隣へ。

 ハイセは、アイテムボックスからノートとインキぺンを出し、文字を書く。


「魔界の文字は少し複雑だ。ノブナガの影響か知らんが……『エイ語』と『ニホン語』を混ぜたような読み方が多い。文字の形も似ているが、崩れているのがほとんどだ」


 綺麗な字で、ハイセはノートに単語を書く。

 

「基本的な文字だ。これに当てはめて読んでみろ」

「……こ、ん、に、ち、は?」

「正解だ。基本的な読み方を理解すれば、文章も大体わかる。文章を読んでわからない単語があっても、文章の意味を理解すれば読み方もわかる。それでもわからない場合は、俺に聞け」

「はい……ありがとうございます」


 シドラは、ニコニコしながらハイセの書いた文字、そして本を手に読み始めた。

 それから、自分の読書を再開……一時間が経過した。

 シドラは一度も質問に来ない。チラッと見ると、瞬きすらせずに本の文字を追っていた。


「……わからないところ、あるか?」

「いえ、大丈夫です。ハイセさんの言った通り、なんとなくわかりました」

「……そうか」


 後で知ることになる。シドラは俗に言う『天才』と呼ばれる少女だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 それから馬車は走り続け……見えてきた。


「ハイセ!! なんか見えて来たぞー!!」


 空を飛んでいたエアリアが馬車の屋根に着地。窓から顔を見せて言う。

 ハイセは本を閉じ、ぐーすか寝ているヒジリをまたいで御者席に座るサーシャの元へ。

 サーシャは、ウノー、サノーの手綱を握り、ハイセに言う。


「あれがオウミか……」

「ああ。ヒデヨシの元へ向かう中継地点だ。ロウェルギア曰く、ヒデヨシの元へ物資を届ける中継地点みたいなモンらしいな」

「観光地でもあるそうだが……」

「……物資の補給はしないといけないな」

「遊ぶのか―?」


 と、馬車の屋根からエアリアが顔を覗かせる。

 

「遊ぶわけじゃない。まあ……任されたこともある。町の観光くらいは」


 ハイセが馬車の中を見ると、読書に没頭しているシドラがいた。

 ルクシャナに任された以上、自分たちの目的だけを優先するわけにはいかない。

 それに、ハイセには考えていたこともある。


「シドラが落ち着ける場所が見つかるといいが……」

「確かにそうだな。だがハイセ、お前が引き取ることは考えていないのか?」

「……無理だ。シムーンやイーサンは見た目こそ人間と同じだから引き取れたが、あの子はツノもあるし、魔族の特徴が出過ぎている。それに、いきなり人間界に連れて行くわけにもいかないだろ」

「……確かにな」


 サーシャは、オウミの町を見て言う。


「あの町で、あの子が落ち着いて暮らせるような場所があればいいがな」

「……ああ」


 馬車は、間もなくオウミの町へ到着する。


 ◇◇◇◇◇◇


 オウミの町は、大きな川が町と外を分断するように流れており、大きな橋を渡らないと入れないようになっていた。

 馬車をアイテムボックスに収納し、ハイセたちは大きなアーチ状の橋を渡る。


「すっごく広い橋ねー」


 ヒジリがキョロキョロしながら言う。

 サーシャも周囲が気になるのか、キョロキョロしながら言う。


「やはり、少し目立つようだ……視線を感じる」

「放っておけ。別に、悪いことしてるわけじゃない」

「……まあ、そうだが」

「なー、あたい飛んでいいか?」

「駄目だ。妙な動きをするな。歩いて行け」

「はーい」


 シドラは、珍しいのかヒジリやサーシャ以上にキョロキョロし、流れる大きな川を見て目をキラキラさせていた。

 

「きれい……」

「気になるのか? よし、一緒に見ようか」


 サーシャに手を引かれ、橋の手すりから流れる川をのぞき込む。

 流れは早く、横幅もかなり広い。水面に大きな影が見えることから、かなり大きな魚が泳いでいるようだ。サーシャは言う。


「すごいな……中央平原にまで繋がっていそうだ」

「……かもな」

「ね、あの魚捕まえて食べたら美味しいかな。大きいし食べ応えあるわねー……うーん、肉もいいけどたまには魚もいいわね」

「あたいなら、視認できれば翼を生やして浮かせるぞ!!」

「おいやめろ。目立つなよ」


 エアリア、ヒジリ……何かやらかすならこの二人。

 ハイセは、サーシャに「変なことしないようお前も見ておけ」と小声で言うと、それを聞いたヒジリがムスッとする。


「子供じゃないっての。まったく、大人しくすればいいんでしょ!!」

「ぜひそうしてくれ……ん?」


 再び歩き始めると、橋の中央に誰か立っていた。

 サーシャが怪訝そうな顔で言う。

 

「……なんだ、あれは?」


 巨大な男だった。

 身長二メートル以上、筋骨隆々で、背中には槍や剣など武器を大量に背負っている。そして鎧を着こんでいるが、下半身は剥き出し、ゲタというアズマで見た履物を履いている。

 スキンヘッドに一本ツノの生えた魔族が、腕組みをして橋の中央に立っていた。

 どう見ても不審者。ハイセは全員に言う。


「無視しろ。避けて進むぞ」


 当然の選択だった。

 だが、妙な魔族の近くを通りかかった時、男の視線がハイセたちに向いた。


「待っていたでごわす!! 魔王を懐柔し、恐怖させ、従えし人間どもよ!!」


 あまりの声量にハイセたちは驚いた。

 驚くが……三大魔王のことを喋って男を無視するわけにもいかなくなった。

 ハイセは言う。


「……なんだ、お前」


 ハイセが睨むと、男は背負っていた槍を抜き、ドンと橋に突き立てる。


「我が名はベンケイ!! ヒデヨシ様の家臣にして右腕!! お前たちの目的はわかっている。我が主に会いたいのならば、我と戦えぃい!!」


 物凄い声の大きさのせいで、橋を渡っていた魔族が「なんだなんだ」と立ち止まったり、そのまま見物したりと、一気に注目された。

 ハイセは頭を抱えため息を吐く。


「戦え? つまり……お前を倒せば、ヒデヨシに会えるのか? それは好都合だ」

「いや、それはない」

「は?」

「これは我輩の独断よ。魔王を倒し、三つのクレストを手に入れたと聞けば、ヒデヨシ様の最終認証が必要になるのは至極当然。貴様らに、ヒデヨシ様を合わせるわけにはいかん!!」


 ドン!! と、刺さっていた槍を抜き、再び橋に刺す。

 正直、かなり馬鹿っぽそうな魔族とハイセは思った。

 すると、ヒジリが前に出る。


「ふふん、ヒデヨシとかはともかく、戦うってならアタシが相手するわ。一対一でいい?」

「フン。全員でも構わんぞ」

「決めた。アタシやる。ハイセたち、邪魔しないでね!!」


 ヒジリが構えを取る。

 ハイセは少し考えて言う。


「戦ってもヒデヨシに会えるわけじゃないなら無視一択だ。こいつが本当に側近かどうかも怪しい……でもまあ、倒して知ってることを話してもらうのはありか。おいヒジリ、殺すなよ」

「ええ。ってかわかんない? コイツ、かなり強い」

「死にそうになったら手ぇ貸してやる」


 ハイセたちは少し距離を取る。

 エアリアは、少しだけ浮きながら言う。


「なーハイセ、あいつら戦ったら、この橋ぶっ壊れないか?」

「お前にしちゃいいところに目を付けるな。その時は、俺ら全員を浮かしてくれ」

「ふん、任せておけ!!」

「ハイセ……本当に、ヒジリ一人で大丈夫なのか?」

「最悪の場合は手を出すさ。お前もそう考えてるだろ?」

「……ああ、まあな」

「……あの」

「シドラ。サーシャから離れるなよ」

「は、はい」


 こうして、町に入る直前に、よくわからないベンケイとの戦いが始まるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
今までサーシャやセイクリッドばかり優遇し過ぎていたのだから、他のキャラへのテコ入れもきちんとして欲しい。
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