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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十六章 魔界~工業国メガラニカ編~

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大聖堂にて


 『ノブナガ大聖堂』。

 名前からして、ノブナガを祭るための聖堂だとわかる。

 ハイセたちは、大聖堂前の広場で、広場中央にある『銃』を掲げた黄金像を眺めていた。

 それを見て、エクリプスが言う。


「この『ジュウ』を掲げている人……これが、ノブナガなのかしら」

「こんな広場の中央で、黄金製で、銃を掲げてる人物なんてノブナガしかいないだろうな」

「……ねえ、なんだか既視感があるわ」


 プレセアが、ハイセと黄金像を交互に見て言う。


「なんだか、ハイセに似ていない?」

「……はあ?」

「……確かにね。でも、ハイセのが素敵よ」


 エクリプスが頬を染めて言うが、ハイセは微妙な顔をした。

 黄金像は、ハイセがかつて『日記』で見たイラストそっくりの姿をしていた。


「テンガロンハット、スカーフ、ウエスタンコート、カウボーイブーツ……ノブナガが好きな『セイブゲキ』のスタイルだな」

「「セイブゲキ?」」

「ああ。ノブナガの世界でいう、過去の恰好らしい。俺もよくわからんけど……」


 すると、クレアとルクシャナが来た。


「師匠師匠、見てください!! 私もジュウです!!」


 クレアは、自動拳銃を手にしていた。

 よく見ると、聖堂近くの露店で売っているようだ。ルクシャナは小さな銃のネックレスを手にし、エクリプスとプレセアに渡す。


「ジュウのアクセサリーも売ってるぞ。ここ、観光地としてはなかなか栄えてるんじゃないか?」

「へえ、なかなか凝った細工ね」

「ジュウ……ハイセの武器。ふふ、うれしい」


 エクリプスはルクシャナに「ありがとう」とお礼を言い、ネックレスをハンカチで包んでポケットへ。

 ハイセは、銃を見せびらかすクレアを押しのける。


「とりあえず、大聖堂を見てみるか……」


 ハイセたちは、大聖堂へ向かうのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 大聖堂の正門は解放されており、誰でも中に入れるようだった。

 だが……入るなり、ハイセは物凄く嫌そうな顔をする。


「これはこれは。あなた方が、異国から来た方たちですね。メルビレド様からお伺いしております……ノブナガ様と同じ、人間の方々」


 やって来たのは司祭だろう……だが。

 ウエスタンポンチョを身に纏い、テンガロンハットをかぶり、カウボーイブーツを履く司祭など存在しない。あまりにも不釣り合いな格好に、ハイセは何も言えなかった。

 だが、クレアは言う。


「すごい恰好ですねー」

「これが正装です。かつて、ノブナガ様が愛した服装を、ノブナガ教では正装としています。そして、仲間の証である……」


 すると、司祭はホルスターからリボルバーを抜き、クルクル回転させて突きつけた。


「この、『ジュウ』です。選ばれし司祭のみ所持を許される『リボルバー』……お初にお目にかかります。私は『リボルバー司祭』の一人、マンソンと申します。今回、あなた方の案内を担当します」

「り、リボルバー……しさい?」


 クレアが首を傾げる。

 マンソンは笑顔で言う。


「司祭の称号のようなものです。我々は『ハンドガン』から始まり、『リボルバー』で教えを広め、『アサルトライフル』を目指し、『ガトリングガン』に至る……ノブナガ様の元へ近付くために、日々修行を行っております」

「……頭痛ぇ。サーシャと交代していいか?」


 何を言ってるのか、ハイセには理解不能だった。

 エクリプスやプレセアもポカンとしており、ルクシャナとクレアは首を傾げるだけ。

 マンソンは微笑んだ。


「ふふ。すぐにわかりますよ、魔王ロウェルギア様も、間もなく礼拝に参ります……では、聖堂をご案内いたします」

「待て。ロウェルギアが来る?」

「ええ。メルビレド様は毎日のお祈りを欠かしませんので……ですが、何人たりとも、ロウェルギア様の祈りを邪魔することはできません」

「……まあいい。そいつとは、魔王城で謁見するか」


 マンソンは、施設内を案内してくれた。

 大聖堂中央にあるノブナガの大黄金像の前に到着する。


「でっかいですねー!!」

「ノブナガ様です。あちらに、肖像画もありますよ」


 マンソンが示した方向には、巨大な絵画があった。

 そして、ハイセ、エクリプス、プレセアは驚く。


「……やっぱり、似てるわね」


 プレセアが言った通りだった。

 眼帯をしていない、両目のあるハイセに似ていた。だが、笑顔を浮かべており、目も輝いている。

 プレセアはクスっと笑う。


「綺麗なハイセ。ってところかしら」

「うるせ」

「私は、今のハイセのが好きよ」


 エクリプスがほほ笑むが、ハイセは何も言わない。

 肖像画をしばらく見つめていると、マンソンがいきなり銃を抜き、クルクル回転させて肖像画に突きつけた。


「ノブナガ様の手遊び。ガンスピン、ガンジャグリングと言います。ノブナガ様のために祈る儀式で行われるのですが……やってみますか?」

「はいはーい!! 私がやってみます!!」


 クレアは、露店で買った銃をクルクル回すが、うまくいかないようで眉を顰める。


「ぐぬぬ、難しいです。師匠みたいに上手くいかないですね」

「……」

「おや。あなたはできるのですか?」

「……まあ」


 ハイセは、手慰みでよく銃を回している。自慢するわけではないが、ガンアクションは得意だ。

 すると、マンソンが言う。


「もし、私を満足させるアクションができるのなら、ノブナガ様の残した『黄金銃』を閲覧する許可を出しましょう。どうですか?」

「……いいのか?」

「ええ。問題ありません」


 そもそも、ハイセたちは『黄金銃』を破壊するために来たのだ。

 インダストリーが関わっている以上、ハイセたちの前に見せることは危険ではないのか、と思ったら。


「もちろん、レプリカですけどね。ですが、選ばれし者しか視界に入れることができない、高貴な『銃』です。見る価値はありますよ」

「……まあ、いいだろう」


 すると、ハイセはコートの内側に手を突っ込み、リボルバーを両手に持つ。

 そして、その場で高速回転させ、さらにジャグリング。銃を空中に放りキャッチしガンスピン。


「おおお……!!」

「わあ、師匠~!!」


 最後に、一丁をホルスターに、もう一丁をスピンさせマンソンに突きつけた。


「どうだ、資格ありか?」

「文句など付けようございません。御見それいたしました……!!」


 マンソンは深々と一礼。ハイセは頷いた。

 そして、クレアは腕にしがみつく。


「ふふん。私の師匠はすごいんですよ!!」

「おっどろいた。アンタ、ほんとすごいねー」


 ルクシャナも驚き、笑っていた。

 ハイセはどうでもいいのか、マンソンに言う。


「とにかく、『黄金銃』を見せてくれ」

「はい。こちらでございます」


 ハイセたちは、マンソンの案内で別室へ。

 大聖堂の奥にある特別室。マンソンが守衛に銃を見せると扉が開いた。

 

「わあ~、真っ白な部屋ですねえ」


 クレアの言う通り、部屋は真っ白だった。

 そして、部屋の中央に祭壇があり、ケースの中に黄金の銃があった。

 ハイセたちが近づく。


「こいつが『黄金銃』か……外見はリボルバーと同じだ」


 黄金のリボルバー……ハイセはそう思った。

 クレアたちもまじまじ見ているが、銃になじみがなく興味も薄いのか、あまり関心を示さない。

 

「これはあくまでレプリカ。本物は、ロウェルギア様が厳重に」

「そう!! 本物はワタクシが管理しています」


 突如、聞こえてきた男の声。

 全員が振り返ると、そこにいたのは 黄金のローブを身に纏い、竹箒のように逆立った金髪、側頭部からねじ曲がった二本の角、小さな丸眼鏡をかけた男だった。

 天井を見上げ、歯茎を剥き出しに微笑み、眼鏡を押さえている。


「初めまして初めまして。人間の皆さん……ワタクシ、メガラニカの魔王ロウェルギアと申します。アナタですねえ? ノブナガ様と同じチカラを持つというのは」


 ロウェルギアは、ハイセを見て歯茎を剝き出しに微笑む。

 ハイセはすでに戦闘態勢。本物の銃を抜き、ロウェルギアに向ける。

 どう見ても友好的ではない。マンソンなど、なぜここに魔王ロウェルギアがいるのか、本気で理解していないのか震え、跪いていた。

 ハイセだけじゃない。エクリプスもまた魔力を漲らせ、プレセアは警戒、ルクシャナは魔王と敵対すべきか迷い、クレアはハイセの隣で剣を抜いた。


「だったら何だ」

「フフフ。まずは自己紹介しませんか? ワタクシ、アナタに興味がありますので」


 こうして、何もかも予定通りに行かず、ハイセたちは『魔王』ロウェルギアと会ってしまうのだった。


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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
ハイセがノブナガの生まれ変わりとか?そうだとしたら今までそういう伏線も無いから突発的な思い付き?
いつもの思いつき設定なんだろうけど、ノブナガが魔王になったら若返ったからとかになるんだろう。 昔の仲間がハイセの顔を似ていると思わなかったのは、ハイセの顔が殺伐とした険のある表情なのに対してノブナガ…
そうです、そしてもう一つは、信長が魔界に行ったとき、彼は55歳だったので、すでに老人であり、悪魔たちが彼の若い頃の姿を知ることは不可能だということです。
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