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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十六章 魔界~工業国メガラニカ編~

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第二区画『ノブナガ大聖堂』


 夕食を終え、ハイセはシャワーを浴びて自室の椅子に座り、自動拳銃をテーブルに置いた。

 そして、愛銃にしてメインウエポンでもある自動拳銃を手に取り、アイテムボックスから水のボトルを出して飲みながら思う。


「武器。こんなモンの、どこに崇拝する価値があるんだか」


 ボトルを置き、ハイセは銃をバラバラにし、再度組み上げる。

 これまでは、手元から消して再び顕現させると、弾丸も装填され、新品な状態で手元に現れる。

 実際、そちらの方が便利だ。だが、銃を理解することによって使用できる銃器、兵器が増えることがわかり、ハイセは威力がある大型拳銃ではなく、使いやすい自動拳銃をメインウエポンにし、専用のホルスターに納め、暇があれば分解したり、掃除をしていた。

 今、ハイセの手元にある自動拳銃は、ずっと使い込んでいるのでかなり傷が付いている。

 わかっているのは、ハイセ以外の誰かが触れるか、ハイセ自身が消さない限り、この自動拳銃は永遠に残る。傷つき、錆び、使用不能になるまで、永遠に。


「……ノブナガの『黄金銃』だったか」


 ハイセは目を閉じ、『黄金銃』と念じて『武器』を顕現させようとした……が、考え付く限り、『黄金銃』という名の銃器は使うことができない。

 現時点で、ハイセがノブナガよりも劣っていることは間違いない。


「……『武器(ウェポン)マスター』か。ノブナガは、どこまで使えたんだろうか」


 ノブナガは、『兵器』の力で人間界と魔界の行き来をしていた。

 ハイセは『武装ヘリコプター』を使うことができる。が……それで人間界と魔界の行き来ができるかどうかは不安だった。

 それに、現時点で信用できるのはヘスティアだけ。移動手段が明確になるのは避けるべきでもあった。


「魔界では、人間界と行き来をする方法を探しているんだっけか……以前出会った魔族は、物資目的で人間界に来ていた。恐らく、そいつらが所属しているのは、メガラニカだろうな」


 ハイセは再び水を飲む。すると、ドアがノックされた。


「あの~、師匠」


 ドアを開けると、寝間着姿のクレアがいた。


「何か用か」

「あの~、ちょっとだけでいいので、お話しませんか?」

「あ?」

「その……ルクシャナさんのいびきがすごくて」


 部屋割は、ハイセ、プレセアとエクリプス、ルクシャナとクレアだ。

 時間は深夜。ハイセもそろそろ寝ようと思っていたが。


「……はあ。少しだけだぞ」

「やったあ」


 クレアを部屋に入れ、ハイセはアイテムボックスからホットミルクを出した。


「わあ、師匠のアイテムボックスってホットミルクも入ってるんですね。なんか絶対に飲まなそう」

「追い出すぞ」

「じょ、冗談ですよー」


 ふと、気付いた。

 クレアはタンクトップに短パン、スリッパだけの姿。

 今のハイセも、黒いタンクトップにハーフパンツとかなりラフだ。しかもクレア……下着を着けていないのか、胸の形が強調され、小さな突起も見える。

 ハイセはそれを見ないようにしながら、アイテムボックスから薄手の上着を放る。


「わわ、なんですか」

「風邪ひくぞ」

「えー? あ」


 と、自分の姿に気付いたのか、クレアは顔を赤くして上着を羽織る。

 そして、誤魔化すように「あ、あはは」と笑い、ホットミルクを飲み始めた。


「あの、師匠……メガラニカでの用事が済んだら、レムリアに戻るんですよね」

「ああ」

「その後は……魔王インダストリーから、ゲートキーを」

「ああ。奴の出方次第では、奪って殺すことも視野に入れてる」

「うう……相変わらず、容赦のない師匠です」


 クレアはホットミルクを飲む。


「そして、三つのキーを揃えて、大魔王のところへ」

「そうだ。三つのキー、ヒデヨシ、それが『ネクロファンタジア・マウンテン』への道を開く鍵だからな」

「鍵を揃えて、魔界の中心へ行って、最後の七大災厄を倒して……『ネクロファンタジア・マウンテン』を攻略する」

「……お前、何を確認してるんだ?」

「……師匠。そのあとは? 禁忌六迷宮を攻略したら……私は、どうすればいいんでしょうか」

「……それを、俺に聞くのか?」


 クレアは、迷っているようだった。

 ハイセは、禁忌六迷宮を攻略したら、冒険者として生きていくことを決めている。

 冒険者以外にはなれないとわかっている。だが……クレアは、迷っている。


「私は、師匠と一緒にいたいです。最強の『ソードマスター』になるって夢もあるし……でも最近、本当にそれでいいのか、迷ってます」

「……」

「師匠。私は……」

「俺の元を去るなら、俺はそれでいい」

「……っ」

「お前の冒険だ。お前が決めることで、俺はお前のことを鍛えるつもりはあっても、お前の人生に口出しするつもりはない」

「……師匠」

「迷っているなら、迷い続けろ。お前の中でしっかりとした答えが出るまで……迷い続けて、歩き続けろ。それが、お前の道、S級冒険者として歩む道だ」

「……」


 クレアは頷き、にっこり微笑み……ハイセの隣に移動し、腕を取る。


「えへへ。やっぱり師匠は、私の大好きな師匠です。私が歩む道を、しっかり照らしてくれます」

「……だから、何度も言わせんな。お前はくっつくな」


 どうも、わざとなのか……胸を当てるように、甘えるようにくっつくクレア。

 今は、シャツ一枚で下着も付けていない。柔らかな胸がハイセの素肌に触れるが、クレアは気にしていないように見えた。


「よーし!! 魔王を倒して、魔界に平和をもたらしましょう!!」

「意味わからん。ったく……」

「えへへ、師匠」

「……とにかく、明日は聖堂に行く。早く寝ろよ」

「でもでも、ルクシャナさんのいびきがうるさくて、寝れませんよー」

「じゃあ廊下で寝ろ」

「えー、ここで寝させてください。一緒にベッドでもいいですよ」

「出てけ」


 結局、クレアにベッドを取られ、ハイセは椅子に座って練ることになった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日、ハイセたちは第二区にある『ノブナガ大聖堂』へ向かった。

 歩きで移動中、プレセアがハイセに言う。


「……ハイセ。あなた、クレアと寝た?」

「何を想像してるかしらんが、ルクシャナのいびきがうるさくいせいで、俺のところに押しかけて来ただけだぞ」

「……本当に、クレアには甘いのね」

「……正直、否定できん」


 自覚があるハイセ。クレアは、エクリプスと楽しそうに喋っている。

 すると、ルクシャナが言う。


「おい見ろ。あれ」


 指差した先にあったのは、なんとも巨大な『聖堂』だった。

 神殿と言ってもいいかもしれない。それか城。

 頭頂部には、拳銃を模したレリーフが飾られており、ハイセは何とも言えない気分になった。


「……あれが、ノブナガ大聖堂」

「その通り」


 すると、ハイセたちのいる通りの路地から、メルビレドが現れた。


「いやはや、すぐに第一区へ来るかと思いきや……まさか、情報収集のためにノブナガ大聖堂へ来るとは。ああ気にせず気にせず。すぐに来いとは言ってませんので。くふふ、まあまあ、メガラニカを楽しんでから会いに来てください。では」


 そう言い、ハイセたちが何かを言う前に、メルビレドは路地に消えた。

 ポカンとしていると、クレアが言う。


「えーと……じゃあ、エクリプスさん、行きましょうか!!」

「そうね。ねえハイセ……あのレリーフ、ちょっと面白いわね」

「俺は何か嫌だ」


 こうして、ハイセたちは『ノブナガ大聖堂』へ向かうのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
クレアにはこの先もハイセと共に歩んで欲しい。そしてハイセ、エクリプス、プレセア、ヒジリ、クレアでパーティーを組んで欲しい。
ノブナガって現代知識とウェポンマスターが上手く噛み合った純度100%のチーター。
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