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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十五章 魔界~産業国レムリア編~

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インダストリー・クラブ

 情報収集を終え、サーシャたちは宿へ集まった。

 そして、これまで集めた情報のすり合わせをした。最初に、レイノルドとシンシアが言う。


「魔王への謁見は厳しそうだぜ。そもそも、魔王城はとっくに解体されちまってるらしい」

「インダストリー様、魔王城跡地に新しく建設した『インダストリー・マーケット・アイランド』の最上層に住んでるっぽいよ。酒場のおじさんが教えてくれたの」


 レイノルド、シンシアから酒の匂いがする。どうやら魔界の酒場を満喫したようだ。

 インダストリー・マーケット・アイランドの情報はサーシャたちも得ている。


「魔王インダストリーに会うためには、『インダストリー・クラブ』のプラチナランクにならないといけないようだな……」

「はいはーい!! ねえねえサーシャ、『魔王印』だっけ。ヘスティア様からもらったヤツあれば、そのプラチナランクとかいうのになれるんじゃない?」


 ロビンが言うと、サーシャは頷いた。


「私も同じことを考えていた。明日、みんなでクラブ入会とやらをしてみるか。場所は……」

「あ、それならワタシわかるよ。たぶん、町の中央にあると思う」

「なら、シンシアに案内をしてもらおう」

「ではサーシャ、わたくしはタイクーンと代わりますので。ふふふ、今日はいっぱいお買い物できて楽しかったですわ。あ、サーシャ用に買った下着、ちゃんと付けてくださいね!!」

「……嫌だからな。あんな、下着とは思えない……」

「おいおい、何買ったんだよ」

「聞きたい? すっごくスケスケの」

「ロビン!! こほん……とにかく、タイクーンと交換だ。明日はクラブ入会して、魔王印を使って一気にプラチナランクまで上がるぞ」


 こうして、魔王インダストリーへの道を一歩進んだサーシャたちだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 …………が。


「な、何? プラチナランクに、上がれない?」


 サーシャは、黄金の装飾がされた『魔王印』を手に、信じられない態度で言った。

 現在、サーシャたちはシンシアの案内で見つけた『クラブ入会所』にいた。町の中央にある大きな建物で、クラブ入会だけではなく、会員しか利用できないショップや、様々な娯楽サービスを受けることができる施設となっている。

 そこの『クラブ入会』と書かれた部屋に入り、シンシアに手続きをしてもらい、最後に魔王印を見せて一気にプラチナランクへ……と、思ったのだが。


「申し訳ございません。たとえ魔王様本人であろうとも、例外は認めません。まずはブロンズランクからのスタートとなっております」


 受付の魔族女性は、魔王印を見ても一切動じることなく言う。

 シンシアは魔王印を見せて言う。


「これ、魔王ヘスティア様からもらった本物だよ? ヘスティア様のこと知らないの?」

「もちろん、三大魔王のことは存じております。ですが……ここは魔王インダストリー様の国。インダストリー様が決めたルールは『たとえ魔王であろうとも、始まりは平等に』です。よって、皆様はブロンズランクからのスタートとなります」


 事務的な言葉だった。

 タイクーンはサーシャに耳打ちする。


「この態度、恐らく変わらない。魔王インダストリーへの忠誠心だろうか……魔王印に驚き、魔王インダストリー本人に確認くらいはすると思ったが、それもなさそうだね」

「ああ。想定内……か?」

「まあ、想定内だね。三大魔王が仲良しこよし、というのは考えていなかった。仕方ない、地道にランクを上げるしかなさそうだね」


 ギリギリ、想定内だった。

 サーシャは、受付魔族女性に食ってかかるシンシアを止めて聞く。


「わかった。ブロンズランクから始めよう。では、ランクについて説明してくれないか」

「かしこまりました」


 ◇◇◇◇◇◇


 インダストリー・マーケット・アイランド。

 そして、その施設を利用するためのクラブ会員制度。

 まず、施設を利用するためには会員登録が必要になる。月謝制度があり、毎月決められた金額を支払い続けることで会員を維持できる。

 ちなみに、商業国レムリアの住人の七割がこのインダストリー・クラブに入会している。


 始まりはブロンズランクから。

 ブロンズランクでは、インダストリー・マーケット・アイランドのショップで買い物をしたり、娯楽施設などを利用できる。もちろん月謝とは別に費用はかかる。

 そして、ランクを上げることで、利用できる施設やショップのレベルも上がっていく。

 ブロンズランクから始まり、アイアン、シルバー、ゴールド、そして最上級であるプラチナランク。

 プラチナランクになると、レムリア王国にある元魔王城、インダストリー・マーケット・アイランドの『楽園』に敷地を与えられ生活もできる。

 さらに、魔王インダストリーとの面会も可能……まさに、選ばれた者である。


 ランクを上げるにはいくつか方法がある。

 まず、一定金額を使い、インダストリー・マーケット・アイランドに認められること。

 インダストリー・マーケット・アイランドでは、専用の魔道カードを使い買い物をすることで、ポイントが加算されていく。

 ポイントが一定数に溜まると、カードの色が変化する。カードの色が変化した時に、受付で申請をすることでアイアンランクへと変わる。

 現在、インダストリー・クラブの四割の会員がアイアンランクである。大抵はアイアンランクで終わるが、それだけでも十分なサービスが受けられるだろう。


 もう一つの方法は、『価値のある物』をインダストリー・マーケット・アイランドに売り込むこと。

 専門の素材買い取り屋に、中央平原などで得た素材を卸すことでポイントが入る。

 賞金、ポイントが多く懸けられた魔獣なども存在し、それを討伐し素材を卸すことで、大量のポイントを手に入れることもできる……が、これは危険もあり、スキルを持った魔族でも実行に移す者は少ないとされている。


 そして最後の方法。それは、『インダストリー・コロシアム』に参加すること。

 レムリア王国の区画にある『闘技場』で戦士として戦うこと、そこで優秀な成績を収めることで、多くのポイントを手に入れることができる。

 腕に自信のある魔族などが参加する。現在の戦士は皆、インダストリー・クラブのゴールドランクがほとんどであり、現王者は『オーバースキル』の持ち主であり、もう何年も王者として君臨している。


 ◇◇◇◇◇◇


「……以上です」


 説明が終わり、受付嬢は一礼。

 タイクーンはフムフムと聞いていたが、シンシア、ロビンは話の長さに疲れ切っていた。

 サーシャ、レイノルドも最後まで聞き、仲間で話し合うために、登録後にもらえた魔道カードを手に登録所を出た。

 そして、近くのカフェの個室に入り、今後の話をする。


「闘技場、そして素材卸し、このどちらかだな」


 サーシャが言い、テーブルの中央に置いた魔道カードを見た。

 シンシアは、財布から硬貨を出してカードに近づけると、なんとそのまま硬貨が吸い込まれた。驚くロビンに言う。


「そんなに驚かなくても、みんなだって同じようなの使ってるじゃん」

「あ、アイテムボックスのことか。確かにそうだよね」


 タイクーンは言う。


「とにかく、ランクを上げるしかないな。中央平原に行って素材を狩るのも手だ」

「そういやハイセたち、中央平原に行ってきたんだよな。素材とかどうしたんだ?」

「少しはあるかもしれん。私も聞いてみよう」

「ね、ね、サーシャ!! サーシャなら闘技場で戦えるんじゃない?」

「ワタシ、買い物したいな。ポイントそれでも溜まるでしょ?」


 五人はワイワイ話し、方針が決まった。


「よし。レムリア王国に行き、インダストリー・クラブのポイントを手に入れランクをプラチナまで上げる。そして、魔王インダストリーに会ってゲートキーを手に入れよう」

 

 一行は、レムリア王国に向けて旅立つのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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