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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十四章 魔界~農業国パシフィス編~

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パシフィスの魔王ヘスティア⑪/第一の鍵

 三日間のサバイバルをクリアしたハイセたちは、パシフィス王城の謁見の間にいた。

 ハイセ、クレア、ヒジリ、エクリプス。そしてシンシアの五人。

 玉座にはヘスティア、そして両サイドにプロクネー、ガシュトン。

 ヘスティアは手をパンパン叩き、ハイセたちをねぎらう。


「驚いた。まさか、誰も欠けることなく、中央平原で生き残るとはの」

「約束だ。ゲートキーを寄越せ」


 ハイセが言うと、プロクネーが六角形の石板を台座に乗せてハイセの前へ。

 ヘスティアが言う。


「それが『厄災封印ゲート・イゾルデシステム』第一の鍵、『サンクレスト』だ」

「……なんだこれ。石板……?」


 石のような材質で、六角形で、太陽が刻印された石板だった。

 その気になれば、職人に依頼して同じものを作ることもできるだろう。

 ハイセは受け取り、まじまじと見る。


「よくわからんが、ノブナガ様が残した物で間違いない」

「へえ……ん?」


 と、久しぶりにノブナガの日記が熱くなったような感覚。

 ハイセが日記を出し、ページをめくるとそこには。


 ◇◇◇◇◇◇


 鍵……いろいろ悩んだが、思い切って『あるゲーム』を参考にすることにした。古ぼけた洋館、鍵穴じゃなくて石板をはめてドアを開錠……当時は面白いシステムだと思ったぜ。サン、ムーン、スターと三つのクレストを鍵とする。くくく、これを理解できる地球人がいればなあと何度思ったことか。

 ま、とりあえず、オレの子孫よ、大事にしてくれよな。


 ◇◇◇◇◇◇


「…………???」


 意味が不明だった。

 とにかく、『サンクレスト』をアイテムボックスに入れ、ハイセは言う。


「じゃあ、これは預かる。全部終わったら返しに来るからよ」

「うむ。さて……お前たち、次はどの国へ行く? 工業国メガラニカか、産業国レムリアか」

「距離的にはどっちが近い?」

「同じだの。まあ……安全を取りたいなら、レムリアか」


 産業国レムリア。

 シンシアが言う。


「産業国レムリアは、技術者の国だよ。魔族の使う魔道具の研究所とか、日々の生活に役立つ道具とかを作ってる国なんだ。商売したけりゃレムリアへ、なんて言葉もあるんだー」

「ふむ……工業国は?」

「えーと、工業国は……その、魔導武器とか、魔導兵器を開発してる国、だっけ」


 シンシアが言うと、ヘスティアが補足する。


「さらに加えて言えば、人間界へ渡る魔導船の開発なども行っておる。そして一番力を入れているのは魔導武器……魔族の『スキル』だけじゃない、戦うための武器だ」

「…………」

「『銃』……その武器の研究をしているところでもある。まあ、何の成果も出ていないそうだがの」

「……ふむ」

「さてどうする? 魔族の商人が集まるレムリアへ行くか、軍事国であるメガラニカへ行くか。どちらの魔王も一筋縄ではいかぬ『クズ』だぞ?」

「く、クズは確定なんですねー……」


 クレアがドン引きすると、ヒジリは楽しそうに言う。


「まあ、ブチのめして鍵を手に入れるってのも面白そうだけどね」

「それはおススメしないな。特に、メガラニカの『魔導武器』や『魔導兵器』は、『オーバースキル』に匹敵する規模、威力を持つ物がある。それらを、ただの兵士が持っているんだ。いかにお前らが強くとも、数で押されればあっという間に敗北だな」

「それはどうかしら。ね、ハイセ」


 エクリプスが言う。

 ヘスティアは知らない……ハイセの持つ、本物の『兵器』の存在を。

 真正面から戦うのも、最悪の場合ではアリだった。

 だが、ハイセは言う。


「何度も言ったが……俺たちは冒険者であって、殺戮者じゃない。魔界の秩序を乱してまで、暴れるつもりはない。まあ……例外はあるけどな」


 例えば、殺しにかかった場合とか。

 そこまでは言わなかったが、この場にいる誰もが理解できた。

 ヘスティアは、プロクネーに指示を出し、ハイセたちの前に黄金の装飾が施された『紋章』を見せ、ハイセに渡す。


「これは?」

「魔王ヘスティアが認めた者に渡す『魔王印』だ。それを見せれば、余が後ろ盾にいるという証でもある。よほどのことでない限り、魔族が手を出すことはないだろう」

「ままま、魔王印って、ままま、マジ!?」


 仰天するシンシア。

 ハイセの手にある黄金の紋章を、まじまじと見つめて震えていた。


「はは、ハイセ、これ、とんでもない物だよ。魔族なら誰でも知ってる魔王様の証……こ、こんなの見せられたら、もうひれ伏すしかないって!! ワタシ、まさか自分の人生で、これを直接見ることになるなんて……」

「……そこまで感動するモンなのか?」

「するの!! いい、とにかく絶対なくさないように……ってか、無くしたらワタシ本気で怒るからね」

「お、おお」


 シンシアが本気で言うので、ハイセはアイテムボックスへ収納した。

 ハイセはヘスティアに言う。


「感謝する」

「気にするな。ふふ……人間か。もし、人間界と魔界を行き来することができるのなら、余なら積極的に交流してみたいな」

「ふ……魔界から人間界に戻ったら、魔王ヘスティアはいい魔族でした、って人間界の王様に報告しておいてやるよ」

「それは嬉しいな。ふふふ、いつか行ってみたいものだ……ノブナガ様の過ごした世界。そして、会ってみたいの……ノブナガ様のかつての仲間に」


 ヘスティアは、嬉しそうに微笑み、ハイセたちもまた微笑むのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日は宴会となった。

 ヘスティアが用意させたごちそうをみんなで食べ、女性陣は風呂へ。

 ハイセは、ガシュトンに誘われ、城内にあるバーで飲んでいた。


「まさか、あんたに誘われるとはな」

「ふ……悪くないだろう?」

「ああ。そうだな」


 魔界の酒はピリピリと辛口が多い。

 だが、ハイセは嫌いではなかった。


「ハイセよ。産業国レムリア、工業国メガラニカ……どちらへ向かうのだ?」

「産業国レムリアだな。工業国メガラニカ……どうも、そっちでは危険なことになりそうな気がする。まだ産業国レムリアのがわかりやすい」

「……そうか。気を付けて行けよ」

「ああ、わかっている……が、明日はメンバーチェンジだ。頭脳派がいるから、難しいことはそいつらに任せることにする」


 こうして、農業国パシフィスでの最後の夜が過ぎていった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 ヘスティアたちに別れを告げ、一行は『産業国レムリア』に向かって進む。

 馬車を出し、ウノー、サノーを呼び出して馬車とつなぐ。

 産業国レムリアへ続く街道に入り、メンバーチェンジする。


「よし。今回は私たちだな」

「ふ……産業国レムリアか。実に興味深い」

「へへへ。魔界の酒、買えるなら買おうぜ」

「あたしも楽しみ~」


 サーシャ、タイクーン、レイノルド、ロビン。そしてシンシアだ。

 シンシアは、久しぶりのレイノルドに喜び、腕を取って抱き着く。


「レイノルド~!! ね、ね、しばらくはこのパーティーで固定だよね? ね、ね?」

「お、おお……そうだぜ」

「やったあ!! ね、ね、産業国レムリアでデートしたいな。ワタシのこと、もっと知ってほしいかも~!!」


 シンシアはグイグイと迫る。

 あまりないタイプに、さすがのレイノルドも押され気味だった。

 そんな二人を見てサーシャはウンウン頷く。


「うむ。レイノルドも二十歳……そろそろ身を固める時かもしれんな」

「やれやれ。既婚者でも冒険者活動に支障はないと思うけどね」

「じゃあじゃあ、その場合ってシンシアも人間界に来るってこと? なんか嬉しいかもっ!!」

「……おいお前ら、助けてくれよ」

「レイノルド~!! えへへ~」


 こうして、産業国レムリアでの冒険が始まるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
以前に人間の国にいる魔族が殺意が高いのが不思議だと思ってたけど他の魔王の部下なら納得だわな
ハイセと仲間達のパートが終わって、サーシャとセイクリッドのパートが始まってガッカリ。ダブル主人公って言ってもサーシャって読者に人気が無いどころかはっきり嫌われているから主人公としてやっていくのは無理だ…
女難ならもっと上がいるからな。レイノルド諦めろ
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