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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十四章 魔界~農業国パシフィス編~

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パシフィスの魔王ヘスティア⑩/深度2、灼熱地帯

 サバイバル生活二日目。

 ハイセたちは、中央平原深度2、灼熱地帯にいた。


「あっづ……な、なにこれ」

「し、師匠……これ、砂漠、ですよね」


 ヒジリ、クレアは頭からシーツを被っていた……大汗を流しながら。

 ハイセ、エクリプス、シンシアは涼しい顔をしている。

 ハイセは、自分の身体が冷気に包まれ、さらに頭上に氷の板が浮かんでいるのを見て、同じような状態のエクリプスを見て言う。


「……なんだ、これ?」

「暑いでしょ? 外気温を調整するための冷気と、日よけの氷板を魔法で作ったの。安心して、私の魔法で作った氷は、自然の熱では溶けないから」

「「ずるい~!!」」


 と、ヒジリとクレアが抗議。

 エクリプスはにこっと微笑むだけ。代わりにシンシアが言う。


「ね、ワタシが熱さの遮断しよっか? 氷魔法は大得意!!」

「お、おねがいしますー……この暑さ、人間が耐えられるものじゃないですー」

「同感。こんなクソ暑い中じゃまともに動けないわ……」


 シンシアが魔法を使い、クレアとヒジリの周囲を冷気で包む。

 二人は気持ちよさそうな顔をしていた。

 そして、ハイセは砂漠を見て言う。


「……ディザーラ王国の砂より硬いな。色も黒っぽい」


 見渡す限りの砂漠……中央平原深度2、灼熱地帯。

 黒っぽい砂、所々に見える岩石や岩場地帯、灼熱の太陽、そして上空を飛ぶ巨大魔獣。

 この地帯も一筋縄ではいかない。ハイセはアサルトライフルを具現化し、マガジンを取り外してチェック、はめ直し、コッキングレバーを引く。


「ヒジリ、クレア、前衛行けるか?」

「はい!! 涼しくなりましたり、やっちゃいます!!」

「アタシもいけるわ。ふふん、今日も大暴れ!!」

「よし。前衛は任せる。シンシアは中衛、俺はエクリプスを守りつつ援護する」

「よーし、ワタシだって活躍しちゃうよ!!」

「守る……ハイセが、私を……っひゃ!?」


 妙にぽわぽわしたエクリプスの尻をヒジリがベシッと叩いた。


「呆けてんじゃないわよ。行くわよ」

「……口で言ってもらえるかしら」

「よーし!! 今日も全力全開ー!! 師匠、行きますよー!!」

「黙って行け」

「あっはっは。ワタシ、アンタらと一緒だと飽きなくていいや」


 一行は、灼熱地帯へ踏み込んだ。


 ◇◇◇◇◇◇


 砂漠地帯は、森や平原以上に過酷なところだった。


「ひゃあああああ!! しし、師匠おおおおおおお!!」

「チッ……油断しすぎだ!!」


 ハイセはアサルトライフルを連射。

 突如、砂地から現れた巨大なカエルの舌に絡まったクレアを救出する。

 弾丸が舌に命中して千切れ飛び、クレアが落下してくるのをキャッチ。砂地にいたカエルにグレネード弾をブチ込むと爆発……肉が飛び散った。


「うううう師匠おおおお!! 気持ち悪かったですううう!!」

「くっつくな馬鹿早く戦え!!」

「あうう」


 クレアを離し、ハイセは周囲を確認。

 上空を飛ぶ巨大なハゲワシのような魔獣に魔法を放つエクリプス、あちこちで起きる流砂に飲み込まれそうになっているヒジリ、エクリプスを守るように矢を連射するシンシア。

 

「砂地……思った以上に厄介だ」


 流砂。

 歩いていると、いきなり砂が陥没……蟻地獄のように吸い込まれそうになった。

 ギョッとする一行だったが、ヒジリが砂をミスリルの板に変えて足場にして脱出……それが引き金になったのか、砂漠の魔獣たちが大量に現れ、襲い掛かって来たのだ。

 クレアは闘気を纏い、根っこを足のように動かして襲って来るサボテンを両断する。


「ううう、き、気持ち悪い魔獣ですっ!!」


 シンシアも魔獣の名前がわからないのか、向かって来るサボテンに氷の矢を放ちまくる。

 矢が命中すると、魔獣は体内から凍り付いた。かなりダメージがあるらしく、サボテンは凍り付くと動かなくなる。


「クレア、サボテンは任せて、大物お願い!!」

「はい!! 師匠、援護を!!」

「ああ。エクリプスはヒジリを!!」

「任せて」


 ヒジリは、砂中から現れた巨大なワニと戦っていた。

 ワニが現れるなり、カエルやサソリ、ハゲワシの魔獣が一斉に逃げ出した。サボテンだけが襲い掛かって来る。

 

「大物じゃん。どうやらコイツからすると、カエルとかはエサのようね」

『グロロロロロロロ!!』


 聞いたことのない唸り声に、クレアは双剣を構えつつも青くなる。


「こ、怖いですね」

「下がってていいわよ。アタシが楽しむ」


 ヒジリの両手、両足に巨大な金属が纏わりつく。

 だが、クレアは闘気を漲らせた。


「私だってやりたいです!! それにヒジリさんとこうやって肩を並べて戦うのも、いい経験ですしね」

「言うじゃない。じゃあ、付いてきなさい!!」

「はい!!」


 ヒジリ、クレアは、巨大ワニに向かって走り出した。

 それを見て、ハイセとエクリプスは言う。


「ハイセ。ヒジリは意外と、面倒見がいいのかしら?」

「かもな。あいつ、イーサンに対して、いい師匠やってるようだし」

「ふふ……援護、する?」

「一応な。まあ……いらないかもしれん」


 意外にも息の合うクレア、ヒジリは、やや苦戦しつつも巨大ワニを討伐するのだった。


 ◇◇◇◇◇◇

 

 その日は、一日中戦い漬けだった。

 砂漠の中央にある巨大な岩石地帯に入り、ヒジリが巨大な鉄鉱石を形成。中身がスカスカなので、外見だけは巨大な鉄鉱石に見えるだろう。

 鉄鉱石内で、ハイセたちはようやく休憩することができた。


「さすがに、疲れたな」


 ハイセは、疲れたように見えない顔で言う。

 ヒジリも、汗を掻いて肩で息をしていたが、とても生き生きとしていた。


「あー楽しい!! 戦い漬けの一日……こんなのがずっと続けばいいのに!!」

「ううう……私は疲れましたよお」


 クレアはぐったりしていた。

 シンシアも、エクリプスも疲れていたのか元気がない。

 ハイセはアイテムボックスから椅子やテーブル、テントを出し、距離を取って目隠しを作った。

 そして、湯で満たされた樽を四つ出し、全員に言う。


「風呂で疲れを取って、今日はゆっくり休め」

「し、師匠……なんて優しい!!」

「……お言葉に甘えるわ。さすがに、疲れたわ」

「ワタシも~……外気温は冷気で調整してるけど、ずっと動いていたし汗だく~」

「アタシも疲れた!! 一番風呂~!!」


 ヒジリはジャケットを脱ぎ、パンツを脱ぎ、サラシを外しながら移動……樽に飛び込んだ。

 クレアも鎧を脱ぎながら、エクリプスとシンシアも目隠しの裏側へ。

 その間、ハイセはベッドを四つ並べ、テーブルに軽食を用意し、自分も汗を拭いて着替えを済ませ、一人食事を開始……ポツリと言う。


「……あと一日。帰りを考えると、明日は平原に戻るルートだな……ようやく、ネクロファンタジア・マウンテンの最初のキーが見えてきた。あと二つ……」

「あ~気持ちいいですねえ」

「そうね~」

「うわあ……ヒジリ、エクリプス、胸おっきいねえ」

「シンシアさん、私は私は?」

「クレアは……ワタシと同じくらい?」

「こんなモン邪魔なだけなんだよねー、エクリプス、アンタはどう思ってる?」

「女性の胸は、子供が生まれた時にこそ必要よ。大きすぎるのは邪魔だけど、これくらいの大きさなら……赤ちゃんにお腹いっぱいお乳をあげられるわ」


 どういう会話なのか、女子はキャッキャと楽しそうだ。

 すると、目隠しからクレアがひょこっと顔を出す。


「あー!! 師匠、ご飯先に食べてますっ!!」

「別にいいだろ。それより、満足したらメシ食って寝ろよ。明日は早朝から移動だぞ」

「はーい……そういえば、お腹も空きましたあ」


 この日はそのまま休み、翌日は灼熱地帯を逆戻りして平原へ……再び魔獣に襲われたが、五人は戦闘をしつつ、パシフィス王城へと戻った。

 そして四日目の早朝……五人はサバイバル生活をクリアするのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
初日から難易度高めだったからもっと長く続くかと思っていたし、試練を共に乗り越えて絆が深まる系かと思っていた。
そういえば中央平原でだれ一人かけることなく3日間生き残ることが試練だったっけ てっきり1話毎に深度上げていくと思ってた 今のパーティーはストレスなく読めて面白かったからそれでも良かったな >「俺は、…
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