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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十四章 魔界~農業国パシフィス編~

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次の町へ

 ヘルーダに三日ほど滞在した。

 シンシアから魔界の町にある物、道具、魔族などについてハイセたちは学んだ。

 食材……意外なことに、人間が食べている野菜とよく似た物が流通。見た目は同じでも味にやや差があったり、調理法も独自のものがあった。

 現在、ハイセはドロドロした刺激物のようなものを、パンに乗せて食べている。


「……ん」

「ねね、気に入ったんでしょ?」

「……まあ、悪くない。というか、美味い」


 シンシアおすすめの『カリィ』という料理は絶品だった。

 薄っぺらいパンのようなものに、茶色いドロドロした料理を付けて食べるのだが……これがなんともクセになる味。

 辛く、塩気があり、一緒に煮込んだ野菜にも味が染みている。

 数種類のスパイスを混ぜて作るらしく、シムーンのいい土産になるとレシピ本まで買ってしまった。魔界の文字はまだ未収得だが、シンシアから基礎的な読み方を習えばハイセなら習得できる。

 現在、ヘルーダの食堂にて、一行は食事を楽しんでいた。


「おかわりー!!」


 ヒジリ、カリィが気に入ったのかバクバク食べている……そして、大きな骨付き肉を注文し、その上にカリィをぶっかけて食べていた。

 レイノルドは上品にパンをちぎり、カリィに付けて食べ……魔界の酒である真っ白な『ドブロク』をグビッと飲む。


「っぷはあ……魔界の酒、悪くないな。人間界の酒を欲しがる理由もなんとなくわかるけどよ、これはこれでオレも好きだぜ」


 ロビンはすでに完食し、魔界の果実を絞ったジュースを飲んでいる。


「だねえ。ね、ね、魔界の食事ってけっこう大味だけど、ハマると美味しいかもっ」

「そう? えへへ、みんなに気に入ってもらえてうれしいな」


 シンシアはニコニコしていた。

 そして、カリィを完食したハイセは言う。


「さて、この数日で魔界の町について、そして文化にも触れた」


 水を飲んで口の中を綺麗にし、ナプキンで口を拭って続ける。


「今のところ、興味本位の視線は感じるが、明確な悪意は感じない……思った以上に、魔族は人間に対して興味がないのかもな」

「だから言ったじゃん、ワタシだって初めてダークエルフとかリザード族見た時は驚いたけど、今じゃもう普通だし」


 レイノルドはナプキンで手を拭いて言う。


「次の町に行っても大丈夫そうだ。むしろ、下手に警戒や敵意を見せる方があぶねぇな。普通に行って、聞かれたら『人間です』って言って、問題なければそのまま……ヤバイ場合だけ実力行使、ってところか?」

「あたしも、町の調査したけど……魔族も人間と同じだね。大人たちが仕事して、商売して、子供は遊んで、お母さんたちは洗濯物を干したり料理したり……簡単な魔法を使うの見たけど、水やお湯を出したり、風を吹かせて洗濯物を乾かしたりするくらいだった。やっぱり、魔界に……魔族に対して先入観っていうの、あったかも」

「……なら、もうこの町に用はないな。そろそろメンバーチェンジして、次の町に向かうか」


 そう言うと、少し考えていたレイノルドが言う。


「次のメンバーは……順当で言えば残りのメンバーとサーシャか。サーシャ、クレア、ピアソラ、エクリプス。んでシンシア……女パーティーだな」

「問題あるのか? 戦力としては問題ないだろ」

「ああ。でもよ……女だけってのはナメられるんじゃないか? なあ、シンシア」

「どうかなあ。ワタシも女だけど、強ければ問題ないよ? 魔界は実力主義なところあるし、魔王様だって女性だしね」

「……次の町はどんなところだ?」

「ミディアの町だね。ん~、王都手前の町だし、ここよりは栄えてるよ。治安はまあ……ヘンなところ行かなきゃ大丈夫じゃない? ここから五日くらいかかる」

「じゃあ問題ないな。明日出発だ。魔界について、交代メンバーに説明するから、俺はアイテムボックスに入る。レイノルド、後は任せるぞ」

「おう。任せておけ」


 こうして、ヘルーダの町で最後の日は過ぎて行くのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。


「よーっし!! やっと私の出番ですね!!」


 クレアが町の外で双剣を掲げ、気合いを入れた。

 そしてピアソラ。サーシャの腕にしがみ付き、キョロキョロと周りを見る。


「魔界、町の外……だ、大丈夫ですの?」

「昨日、ハイセから聞いただろう。魔界の町も魔族も、特に危険はない。森国ユグドラに初めて踏み入れた時も、周りにはエルフしかいなかっただろう? あの感じと同じだ」

「ううう……まだ少し怖いですわ」


 これでもかとサーシャに甘え、腕にギューッと胸を押し付ける……男なら効果抜群だろうが、サーシャは女で、ただ柔らかいとしか感じていない。

 だが、不安が収まるならと甘えさせている。その間、エクリプスはシンシアに聞く。


「ここから次の町まで五日あるのよね。道中、危険はある?」

「…………」

「聞いてる?」

「え、あ!! き、危険はないよ。魔界って中央平原はメチャクチャ危険だけど、それ以外のところでは魔獣なんてほとんどいないよ。むしろ、動物ばかりで、畑とか荒らされる方が怖いね」

「そう……ねえ、私の顔に何か付いてる?」


 エクリプスが言うと、シンシアは首を振る。

 そして、まだ双剣を掲げるクレア、ピアソラ、サーシャを見て、再びエクリプスを見た。


「いや~……みんなすっごい美人だから。ワタシ、浮いちゃうねえ」

「ふふ、ありがとう。でも、あなたもすごく可愛いわよ? そうだ、魔獣の危険がないなら、野営の間にいろいろお化粧のこと教えてあげる。人間界の化粧品とか、いっぱい持って来たの」

「えええ!? い、いや、ワタシにそんなの似合わないわ。無理無理!!」

「ダメ。ロビンから聞いたわ……あなた、恋してるんでしょう? お化粧は、恋する女の子が纏う、どんな武器や鎧よりも頼りになる武器なんだから」

「あ、あう……」


 シンシアは照れていた。

 新鮮な反応に、エクリプスもつい楽しくなってしまう。

 そして、サーシャが割り込んだ。


「二人とも、行くぞ。それとクレア、道中に危険はほぼない、武器はしまっておけ」

「はーい!! はあ、師匠がいればなー」

「ふふ、私では不満か? 道中、稽古なら付けてやる。怪我をしてもピアソラがいるしな」

「あ!! いいですね、お願いします!! でもでも、私にとってサーシャさんは負けられない相手なので、そこのところよろしくです!!」

「わかったわかった。ふふ」

「サーシャ、嬉しそうですわ」

「ああ……なんというか、妹がいればこんな感じなのかもしれないな」


 奇しくも、ハイセと同じことを思うサーシャ。

 こうして、次の町に向けて、サーシャたちは出発するのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
ここまでの魔族の反応を見ていると、どうして人間側に来た魔族の殺意が高いのかが分からないね
ハイセとエクリプスの絡みが見たい。エクリプスの方がサーシャよりもずっと健気で可愛いので好きです。
クレアって妹キャラだけどハイセと1歳しか違わないんだよね… 精神年齢も低いしもう少し年齢差あった方がしっくりきたかな エクリプスをハイセと離してサーシャと一緒にいさせてるように感じる事が何度かあった…
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