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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十三章 東方の国アズマ

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アズマの文化

 東方の国アズマ。

 鎖国こそしていないが閉鎖的な国で、厳しい入国審査があり観光で立ち寄るのも一苦労。

 冒険者ギルド連盟に加入しているので、冒険者の出入りは問題ない。が……最低でもB級以上の冒険者でないと入国許可は下りない。

 さらに、たとえB級以上の冒険者でも、入国の目的などを明確にしないと入国できない。

 ハイセはS級、それ以外にも多くのS級や、禁忌六迷宮を踏破したチームなどが揃っているので入国には問題ない。

 ちなみに、誰も気付いていなかったが……入国審査をしたアズマの門兵は、カーリープーランによって『洗脳』されており、ハイセたちの入国を手助けした形になっている。

 そして現在、ハイセたちは物資の補給、そして観光をしていた。

 まず、ヒジリ。


「ん~アズマの肉ってサッパリ系ね。脂少なくて食べやすい~」


 焼き鳥屋に入り、片っ端から焼き鳥を注文していた。

 タレ、塩、果実ソース。脂が少なく、下味を重点的に付けた肉は、食べていて飽きない。

 すでに四十本以上の串が串入れに入っており、目の前で焼いている店主も嬉しそうだった。


「姉ちゃん、美味いか?」

「最高!!」

「へへ、嬉しいねえ。オレの焼き鳥を目の前で、こんなに美味い美味い言ってくれるなんて。焼き鳥屋冥利に尽きるってモンよ!!」

「うんうん。ね、お土産できる? い~~~~っぱい焼いてほしいんだけど」

「おう、いくらでも焼くぜ。いくつ欲しい?」

「じゃあ千本!!」

「おう!! って千、1000!? 正気か姉ちゃん!?」

「うん。時間停止のアイテムボックスに入れるからさ。ね、ね、早く早く!!」


 ヒジリは白金貨をテーブルに置き、店主を急かすのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 店主はヒイヒイ言いながら千本を焼き切った。

 ヒジリは焼きたて熱々の串焼きを全てアイテムボックスに入れ、店主にお礼を言って店を出た。

 

「あ~美味しかった。ハイセも連れてくればよかったなー……あれ」

「ん? おうヒジリ」


 レイノルドだった。

 ややほろ酔い気味。近づくと酒の匂いがし、手には妙な形の入れ物を持っている。


「なにそれ」

「これ、アズマ名産の陶器の酒瓶だとよ。いや~、アズマってすげえ酒美味いな。水みたいに透き通ってんだけど、飲むと火ぃ噴くような辛みがあってよ」

「アンタ、アズマを満喫してるわねー」

「そういうお前だって、どうせ肉でも食ってたんだろ」

「まあね。焼き鳥屋最高だったわ」

「いいね。串焼きで一杯やりたいぜ。なあ、どこの店行ったんだ?」

「すぐ近く。行くならアタシも行くわ。なんか話していたらまた食べたくなっちゃった」


 ヒジリの案内で焼き鳥屋に向かったが、『焼き鳥がなくなったので本日終了』の看板が掛かっていた。どうやらヒジリがお土産で頼んだ量で在庫がなくなったらしい。

 仕方なく、二人で町を歩くと。


「ね、レイノルド。アンタさ……なんかすごいよね」

「あ? なんだよいきなり」

「アタシ、頭よくないし上手く言えないけど……アンタの声ってなんか、サーシャよりも『いうこと聞かなきゃ』って感じになるのよねー。アンタ、クランやったらかなりすごいクラン作れるんじゃない?」

「…………」


 リーダー性。カリスマ性というモノを、レイノルドは生まれつき持っていた。

 それを発揮するようになったのは、サーシャが不在時など。

 それまでは、自覚をしても出さないようにしていた……が、最近、よく言われる。

 『サーシャより、レイノルドがリーダーの方がふさわしい』と。

 クラン『セイクリッド』のクランマスターは間違いなくサーシャだ。その存在感、美貌、功績でクラン加入を希望するチームはかなり多い。

 現在は加入希望を受けていないが、それでも毎日数十以上のチーム加入希望がクラン『セイクリッド』には来ていた。

 現在、チームの加入数は三百。これが、チーム『セイクリッド』がクランを運営しつつ、チームとして動ける限界の数だ。

 だが思う。もし自分がリーダーだったら、四百まで増やせるかもしれない、と。


「……オレは、決めたんだよ。クランは作らねぇ。チーム『セイクリッド』の盾として、仲間を守るってな」

「……ふーん。サーシャはいいの? アンタ、好きだったんじゃないの?」

「まあな。でもオレは『頼れるお兄さん』らしい。恋愛対象としては見られていないようだ」

「あ~……確かに、そんな気ぃするわ」


 ヒジリは笑った。

 レイノルドも笑う。

 不思議と、サーシャのことはすっぱりと諦めることができた。

 そもそも、サーシャが見ていたのはずっと、ハイセの方だった。

 

「ってか、お前はどうなんだよ。S級冒険者序列三位、クラン作らねぇの?」

「アタシにそんな器用な真似できるワケないじゃん」

「あ~……確かに」

「弟子になりたいって格闘系能力者は何人か来たけど、組み手で叩きのめすとみんな逃げちゃうのよ。逃げなかったのは今のところ、イーサンだけね」

「へえ、イーサン……最後に会ったのは決起会の時か」


 奴隷オークションで双子を救ったのはハイセだが、イーサン、シムーンにとってはレイノルドも恩人であり、そのことを忘れていない。たびたびハイセに「レイノルドさんに会えますか?」と言っていた。


「イーサン、アタシに何度投げられても、泥まみれになりながら突っ込んでくる度胸があるのよ。一度負けて、絶望して、それでも立ち上がる……伸びしろデカいわ。将来が楽しみね」

「ほー、お前がそこまで褒めるとはな」

「ふふん!! 将来、アタシとハイセの子供の、いい兄弟子となりそうね。ハイセにとってのガイストのおっさんみたいな!! あ~楽しみ」

「……お前、マジでハイセと結婚するのか?」

「当り前。ハイセがイヤって言っても押しかける」

「……ハイセの同情するぜ」

「そういうアンタは?」

「ま、自由にやらせてもらうさ」


 と、道の真ん中で二人は止まった。

 何故なら、ガラの悪そうな男たち十名以上に囲まれたのである。

 話に夢中で、着けられ、徐々に囲まれていることに気付かなかった。

 意外にも、チンピラみたいなのに統率が取れ、気配の絶ち方も悪くない。


「おう姉ちゃん……さっきの店で白金貨出してたよな? へへ、もっとあるならくれよ」

「……え、これってカツアゲってやつ?」

「おい、なんで嬉しそうなんだよ」


 眼をキラキラさせるヒジリ。こういうことは久しぶりであった。

 呆れるレイノルドは言う。


「なあ、悪いこと言わねぇ。この女に関わらない方がいいぜ。マジで」

「ああ? と……兄ちゃん、いいガタイしてんじゃねぇか。そっち系の店に行くなら案内してもいいぜ?」

「……全力で拒否するわ」


 蒼ざめるレイノルド。そっち系が何なのか知りたくもない。

 すると、ヒジリの眼の前にいた男が、ヒジリの胸を見る。


「へへ、いい身体してんじゃねぇか。タッパは足りねぇけどよ。なあ、金もだけど、相手してくれねぇか?」


 と、ヒジリの胸に手が伸びた時、レイノルドがその腕を掴んだ。


「ったく、オレの目の前で仲間に手ぇ出すとはな」

「あれ、守ってくれんの?」

「必要ないだろうが守るさ。だってオレ、盾士……仲間を守るのが仕事だしな」

「おお、カッコイイじゃん。じゃあアタシは前衛だし戦うわ。アンタは守り?」

「守るのが本職だけど、喧嘩したいときもある」

「いいわね。ってわけで」


 ヒジリのショートアッパーが、目の前にいた男の顎に入り、吹っ飛んだ。


「さあて、食後の運動ね!!」

「ったく……ハイセ、将来は苦労しそうだぜ」


 異国の地アズマでも、ヒジリは相変わらずヒジリ。

 レイノルドはなんだかんだ言いつつも、久しぶりの『喧嘩』に胸を躍らせるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
アズマ、ギルドもだけど治安が悪いやん
他はそんなでもないんやけどレイノルドは無理だわ笑
レイノルドって発言や行動がカッコ悪いから、カリスマや威厳があるというと、まるでカラオケとかで歌が下手な人に歌上手いねってお世辞を言っているみたい。
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