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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十二章 再来のスタンピード

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東方の国アズマ

 戦いが終わり、ハイセたちは遺跡を脱出。そして、魔獣の気配がないことを確認し、数キロ離れた川べりで野営の準備をした。

 見通しのいい川べりで、誰かが焚火や釣りをした痕跡が残っていた。

 寝台馬車、居住用馬車とあるが、ハイセは少し離れた場所でテントを張った。すると、当たり前のようにクレアが自分のテントを張り、ハイセの隣に来る。


「……んだよ」

「えへへ、ようやく終わったので甘えに来ました」

「はあ?」


 びしっと敬礼し、クレアはハイセの腕をギュッと掴む。


「あ~……本当に疲れました。激闘です激闘、死ぬかと……いや、死ぬとは思いませんでした」

「……お前な。俺も疲れてるんだ。いちいちひっつくな」

「え~……」


 ハイセは腕を外し、グランドッグのウノー、サノーにブラッシングをしているサーシャを見ると、サーシャと目が合った。


「師匠、どうしたんです?」

「……別に。とにかく、疲れてるんだ。今日は一人にしてくれ」

「ちぇー」


 クレアは離れ、サーシャの元へ。

 ブラッシングを手伝いながら、自分がいかに強く戦ったのかを話していた。

 

「……ふう」


 サーシャからは、見張りの交代時間の説明だけ聞いた。

 あとは、見張りの時間になったら仕事をするだけ。食事も、休憩も自由。

 周りを見る。


「あ~……今日はマジで食うわ」

「わあ、でっかい肉!! あたいも欲しいぞ!!」

「あたしも~」

「ダメ!! 自分で焼きなさいよ」


 ヒジリが肉塊に鉄棒を差し、焚火というか櫓を豪快に燃やし、牛一頭分くらいの肉を豪快に焼いていた。その匂いに釣られ、エアリアとロビンが近づいて来る。

 二人は交換条件に、アイテムボックスからお菓子や飲み物を出していた。どうやら三人で食べることにしたようだ。


「わあ~、かわいいですっ」

「ああ、どうやらクレア、お前にも懐いたようだな」

「へへ、ウノーとサノーは頭が良くてな、気に入らないヤツのブラッシングは嫌がるんだよ。まあ……大抵の女は受け入れるが」

「ふふ、お前そっくりだな」


 クレア、サーシャ、レイノルドはブラッシング。

 馬のような犬、ウノーとサノーは、クレアとサーシャのブラッシングに恍惚の表情を浮かべていた。しかし、ヒジリの焼く肉が気になるのか、ヒジリたちの方を見ては尻尾をブンブン振っている。


「さて……お風呂の支度をしようかしら」

「お風呂? あなた、ハイセのように樽をお持ちなので?」

「違うわ。ダンジョン内では使わなかったけど、土魔法で岩の壁と浴槽を作って、水魔法でお湯を入れるの。野外ではよくやるのよ」

「……へえ」

「ふふ、一緒に入る? できれば、髪を洗うの手伝ってほしいのだけれど……」

「……わ、わたくしはサーシャ一筋!! で、でも……お風呂は欲しいですわね」


 ピアソラとエクリプスは、川べりに巨大な『砦』のようなものを魔法で作り、中へ消えた。

 どうやら風呂らしい。


「お風呂……いいわね。ねえ、私の作ったアロマがあるんだけど、試さない?」


 プレセアが言うと、入口の岩が少し開いた。どうやら三人で試すようだ。

 それぞれが、自由な時間を満喫していた。


「ハイセ、いいか?」

「ん、ああ」


 タイクーンが、ノート片手にやってきた。


「核魔獣について聞きたい。一応、固体名『ジャランダーラ』として冒険者ギルドに報告しておく」

「ジャランダーラ?」

「古代語をつなげて『核として生まれし物』と言う意味だ。まあ、名前はどうでもいい。スタンピードでわかったことを冒険者ギルドに報告しておけば、将来、我々のようにスタンピード発生直前のダンジョンに踏み込む冒険者たちの役に立つ」

「なるほどな」


 ハイセは椅子、テーブルを出し、タイクーンと議論し、報告書をまとめる。

 その途中で、こんな話もした。


「ハイセ、次は魔界だな……」

「ああ。カーリープーランが、アズマの町で準備をして待っているはずだ。タイクーン……魔界に行けば、いつ戻れるかわからない。準備はできてるか?」

「愚問だね。むしろ、ワクワクしているよ」


 タイクーンは眼鏡をクイッと上げる。


「……ここから先、頭脳担当のお前には負担をかけると思う」

「……意外なことを言う。むしろ、ボクも同じことを考えていた。正直……この面子でボクと議論ができるのは、キミかエクリプス・ゾロアスターくらいだと思っている。魔界で見聞きした情報は全て共有し、話し合わないとね」

「だな。頼りにしてる」

「…………」

「……なんだよ」

「いや。意味のない話だが、もしキミの『能力』が、サーシャと同時に真なる意味で目覚めていたら……恐らく、禁忌六迷宮の攻略は、もっと速かっただろうね」

「……本当に、意味がないな」


 そう言いつつ、ハイセは笑った。


「むしろ、きっと俺は弱いまま、強くなっていたと思う」

「……何?」

「……まあ、気にするな。それより、アズマまでの距離は?」

「二日ほど進めば到着するだろう。アズマは海沿いの国で、独自の文化がある……今ある情報を共有し、補完しておこう」


 ハイセとタイクーンは、そのままアズマについて話をするのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 二日間、馬車は順調に進んだ。

 特に戦闘もなく、真っすぐに伸びる街道をただ進む。

 クリシュナ遺跡のスタンピード阻止という大仕事を終えた一行は、やや気が抜けていた。

 クレアは、ハイセに寄りかかりながら腕を取る。


「はぁ~……なんか、眠いです」

「お前な……もういい」


 もう、何度言ってもベタベタするのをやめないので、ハイセは諦めた。

 サーシャは、そんなハイセをチラチラ見つつ言う。


「……もうすぐ到着だな。そう言えば、この中でアズマに行ったことがある者はいるか?」


 全員、沈黙。

 寝台馬車の方にいるヒジリ、エアリア、タイクーンもないだろう。

 ハイセは言う。


「アズマは、独自の文化で発展をしている国だ。入国には厳しい条件などがあるが……俺たちなら問題ない」

「まあ、S級冒険者ばかりですし、ハイベルク国王陛下の書状もありますしねー」


 書状は、何かの役にたつかもと、決起会の時にもらったものだ。

 他にも、スタンピード阻止の依頼状や、S級冒険者という資格もあるので、入国には問題ない。

 と、そんな話をしていると、御者をしていたロビンが、御者席の小窓を開けて言う。


「見えてきたよ、アズマ!! それと海!!」

「お、マジだぜ。ハイセ、見てみろよ」


 窓際にいたレイノルドが窓を開けて外を見ていた。

 ハイセも、自分の近くにある窓を開ける。


「……あれが、アズマか」


 見えたのは、海。

 そして、巨大な『城』だった。

 ハイセには理解のできない形状だ。すると、クレアが身体をねじ込んできた。


「おお~!! あれがアズマですか!!」

「お前な、おい、くっつくな」


 密着しているため、胸がハイセの後頭部に当たっている。

 グニグニと柔らかな感触。すると、クレアが引き戻され、サーシャが割り込んできた。


「私も見せろ。ほう……立派な建物だな。あれは、なんだ?」

「…………」


 サーシャも、ハイセの後頭部に胸を押し付けてきた。

 クレアよりも大きい。ハイセは身体を戻し、席を立って外へ通じるドアを開け、ロビンの隣に座った。


「あれ、どうしたの?」

「……今は、お前の隣がいい」

「へ? よくわかんないけど、あたしの隣ならいつでもどーぞ」

「……ああ」


 こうして、ハイセたちは『東方の国アズマ』へ到着するのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] 心の強さとかハイセよりもセイクリッドの面々の方が無さそう。セイクリッドは順風満帆の道のりで挫折とか味わって無いから精神面の強さは無いでしょう。 ピアソラとか悪徳貴族のエロ豚みたいな性格で、レ…
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