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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十二章 再来のスタンピード

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再来のスタンピード⑥/最深部へ


 戦いは、苛烈を極めた。

 前衛が魔獣を蹴散らし、中衛がサポートでたまに戦闘、後衛が守り。

 ある意味で、一番大変だったのはロビンとプレセア。

 魔獣が迫る中、予め決めていたルートを何度も変更し、最適なルートで順調に階層を進めた。

 驚いたことに、スタンピードの影響なのか、三階層からダンジョンの構造が変わっていた。プレセアとロビンは驚きつつも、冷静に道を切り開いた。

 現在、最も活躍しているのは、間違いなく二人だろう。

 

「ふぅぅ……プレセア、どう?」

「……ええ、そのルートでいいわ。もう地図が全くアテにならないわね」


 現在、七階層。

 現れる魔獣のレートはS以上。前衛がハイセたちでなければ、国家レベルの戦力が必要な規模で襲って来る。

 ダンジョンの地形が変わっており、もはや地図がアテにならない今、プレセアが精霊を駆使して道を探り、ロビンがマップにルートを書き加えつつ進んでいた。

 クリシュナ遺跡の地図は、ロビンの書いたルートで埋め尽くされており、もはや子供が落書きをしたような状態になっている。

 そして、ロビンはサーシャに言う。


「サーシャ!! この階層には安全地帯がない。八階層まで降りて、安全地帯のある部屋まで案内するから!!」

「わかった!! ──レイノルド!!」

「おう!!」


 と、ロビンの背後に、討伐レートS+の魔獣、『ダイヤモンドミノタウロス』が現れ、金剛石でできた斧を振り下ろしてきた。

 が、レイノルドが大盾で受けとめると、真横からヒジリが強烈なドロップキックをお見舞いする。


「アタシの前で金剛石とか、チョーシこいてんじゃないわよ!! オラァ!!」


 起き上がろうとしたダイヤモンドミノタウロスの側頭部を思い切り蹴ると、そのまま壁に激突。首がへし折れダイヤモンドミノタウロスが消滅した。

 ハイセはカービン銃のマガジンを交換しつつプレセアに言う。


「よし。八階層までの道は俺が切り開く。プレセア、案内を精霊で」

「わかったわ。ロビン、ルートは?」

「……うん、いける。でもハイセ、八階層の安全地帯、けっこう遠いよ」

「それに……魔獣も多いわ。討伐レートSSの魔獣もいる」

「問題ねぇよ」


 カービン銃を背負い、ショットガンを片手に、もう片手にはグレネードランチャーを手にした。

 こうして話をしている今、七階層にいる通路には魔獣が押し寄せている。

 サーシャは言う。


「ハイセ、さすがに一人では危険だ。せめて、あと一人か二人連れて行け」

「ダメだ。前衛が抜けると、中衛~後衛の連中に負担が掛かる。安全地帯までのルートを確保するが、撃ち漏らした魔獣はお前たちに掃除してもらうんだからな。それに……切り札はある」


 ハイセが、そのまま飛び出そうとした時だった。

 エクリプスの手に、黄金の本が現れた。


「ハイセ、待って。それなら……私に任せて」


 エクリプスが、黄金の本……『黄金禁忌の書アリステリア・クロウリィ』のページを一枚破る。


「『黄金禁忌の書アリステリア・クロウリイ禁忌項目(タブーページ)……【聖乙女の幻想曲オルレアン・ファンタジア】」


 ページに宿った魔力が解放され、エクリプスの持つ十二の切り札の一つが、顕現する。

 現れたのは、美しき乙女だった。

 金色のロングストレートヘア、銀の鎧、剣を差した乙女が現れた。


「『清らかなる乙女(ジャンヌダルク)』……ハイセと共に、道を切り開きなさい」

『……』


 魔法によって作られた乙女は、剣を抜いてハイセの隣に並んだ。


「へえ……『魔法(マジック)マスター』ってのは、こんなこともできるのか」

「ハイセ。その子は不死身よ。あなたの命令を聞くから、上手く使って」

「ああ、感謝する」

 

 ハイセが走り出すと、ジャンヌダルクも走り出した。


 ◇◇◇◇◇◇


 八階層。

 そこは、もはや遺跡ではなく廃墟、そして凄惨な光景だった。

 まず、魔獣……スタンピードによって生み出された魔獣は、あまりにも不完全で歪。

 ゴブリンだった魔獣は、なぜか四本足で、右腕は骨が剥き出し、左腕がオーガのように筋骨隆々と、どういう生まれ方をすればこうなるのか意味不明だった。

 踏み込むと同時に、歪な魔獣たちがハイセたちに向かって来る。


「お前、とにかく敵を倒しまくれ!!」


 ハイセはカービン銃を魔獣に向けて発砲……だが、これまで数発で死んでいた魔獣たちが、頭部や心臓に銃弾を受けても止まらない。

 ハイセは舌打ちし、グレネードランチャーを発射。

 爆発、粉々になり、魔獣たちはようやく死ぬ。

 ジャンヌダルクは、黄金の剣を振り、魔獣を両断した。


「あ、おい!!」

『……』


 背後から現れた歪なオークがジャンヌダルクの頭に喰らいつき、頭部が砕け散る……が、魔力によって一瞬で復元され、オークの頭部を両断する。


「ははっ、不死身か……お前、いいな!!」


 ショットガンと連射し、グレネードランチャーを打ち込む。

 すると、耳元で声。


『ハイセ、聞こえる?』

「ああ、案内頼む」

『ええ。まず、あなたから見て右側に細い通路があるわ。そこを進んで』

「ああ、わかった」


 ハイセ、ジャンヌダルクの二人は魔獣を蹴散らしながら進む。

 プレセアの案内で進んでいると。


『私たちも八階層に入ったわ。あなたが魔獣を倒しているおかげで、比較的安全ね』

「そりゃ安心。で、まだか?」

『あと少し。左の通路に進んで。そこに安全地帯のある部屋があるわ』


 言われた通りに進むと、通路の壁に入口があった。

 大人一人が入れるほどの入口だ。そこに踏み込むと。


『ガルォォォォォォォンン!!』

「おいおい、どうやって入ったんだよ」


 安全地帯の中に、蛇のように長い首を持つ、三つ首のオオカミ魔獣がいた。

 新種……いや、スタンピードの影響で突然変異した魔獣だ。

 ハイセは銃を消し、自動拳銃を二丁手に持った。


「さて、久しぶりに思い切り運動させてもらうか……おい、お前は後ろの入口を守ってろ」

『……』


 ジャンヌダルクは頷き、入口の前で剣を構えた。

 ハイセは、自動拳銃をクルクル回転させ、歪なオオカミ魔獣に向ける。


「さあ、楽しませろよ?」


 ◇◇◇◇◇◇


 ニ十分ほど経過し、チーム全員が八階層の安全地帯へ。

 入口は、ヒジリの『メタルマスター』の力で、壁と同じ色の鉱石で蓋をしている。

 室内は安全地帯。再び、十一人野営。

 ハイセは、エクリプスに言う。


「エクリプス。コイツのおかげで、久しぶりにいい運動になった……感謝する」

「そう。役に立ったのなら……」


 ジャンヌダルクは、未だに消えずにいた。

 エクリプスは、ハイセに感謝され嬉しいのか、顔を赤らめモジモジしている。

 そして、サーシャも近づき、ジャンヌダルクをジッと見た。


「不思議だな。これもお前の魔法なのか?」

「ええ。この子は私の魔力が尽きない限り不死身よ。刀剣系スキルを持つ冒険者の動きをコピーさせているから、S級冒険者下位くらいのチカラを持つわ」

『……』

「ふむ。動きをコピーとは?」

「ただ不死身なだけの存在じゃ盾にしかならないわ。だから、剣を使わせて、私が命じたことを忠実にこなす騎士として作り出したの。サーシャ、あなたの動きをコピーさせてくれない? この子も、かなり強くなると思うわ」

「……むう。遠慮しておく」

「そ、残念ね」


 エクリプスが指を鳴らすと、ジャンヌダルクは消滅。一枚のページになり、エクリプスの手へ。

 そして、黄金の本にページを挟むと、エクリプスはアイテムボックスに収納した。


「とりあえず、今日は休んで、明日に備えよう。交代は……」

「サーシャ、ハイセ、ちょっといい?」


 と、ロビンが頭を悩ませ、割り込んできた。


「む、どうしたロビン」

「……何かあったのか?」

「うん。あのね……プレセアに八階層、九階層を調べてもらいながら、明日のルート確認してたんだけど……九階層、本来は迷宮だったけど、今は一本道しかない。で、十階層に降りると、そのままこのダンジョンのボス戦になる……」

「何? じゃあ……」

「……明日には、このダンジョンの核魔獣と戦うってとか」


 決着は明日。

 いきなりのことに、サーシャは困惑し、ハイセは不敵な笑みを浮かべるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
 コミックやアニメで映えるんだろうけど、ハンドガン両手撃ちって、意味ある?  そんな物を持たせるなら、いつかやったみたいにM134の方がこの場に逢うのでは?
[一言] エクリプスはハイセに一途で健気でカワイイ。サーシャって強いくらいしか良いところ無いから人生のパートナーとしては一番のハズレくじだと思う。
[良い点] ハイセとエクリプスの戦闘面での相性の良さを再確認できて大満足でした! サーシャよりお似合いすぎてエクリプスの出番が減らされたんじゃってコメントが出るくらい
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