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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第四章 ハイベルグ王国の危機

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スタンピード戦②

 ハイセは、冒険者ギルドへ。

 ギルド内はほとんど誰もいない。受付カウンターに新人受付嬢がいるだけだ。

 ハイセに気付くと、カウンターに突っ伏していた新人受付嬢がガバッと起き上がる。


「わわわっ!? はは、ハイセさん? えっと、何か用事ですか?」

「人、全然いないな」

「そりゃまぁ。依頼は受け付けていませんし、今ある依頼も緊急以外は停止中ですし。それに、冒険者さんたちはみんな、クランから支払われる報酬のために、臨時でクラン入りしてますし」


 冒険者は、ハイセのようなソロ、クランに所属しているチーム、所属していないチームの三つに分けられる。現在、各クランは、戦力増強のために無所属のチームを金で雇い、チームを強化していた。

 スタンピード後、戦闘に貢献したクランに、ハイベルク王国から莫大な報奨が支払われるから無理もない。少しでも報酬のためにチームを強化するのは当然の策だ。

 

「ぶっちゃけ、今の冒険者でソロやってるのハイセさんだけですよ? ハイセさん以外のソロも、王都のクランに雇われてるみたいですし」

「だよなぁ」


 ハイセは、カウンターで新人受付嬢と話をする。

 この、他人の顔色を窺わず、ストレートな物言いをする新人受付嬢が、ハイセは嫌いじゃなかった。


「スタンピードかぁ……王都、どうなっちゃうんですかねぇ」

「ま、大丈夫だろ。冒険者は大勢いるし、俺も戦うからな」

「おお、頼りになりますねぇ。えーと……援軍を混ぜて、王都にいる冒険者は五千人くらいですね。そして、ギルマスが出したスタンピードから現れる魔獣の数は……うっげぇ、七万ですって」

「一人頭、魔獣十四匹か。けっこう楽勝だな」

「えええ~……絶対厳しいですって」

「まぁ、俺一人で千はやるけどな」

「かっこいい!! なーんて、無理しないでくださいね」

「無理しないと王都は崩壊するぞ。たぶんだけど、王都が突破されたら、あっという間に魔獣に荒らされて、みんな死ぬ」

「げぇぇ……」


 新人受付嬢は「うげぇ」と舌を出す。

 ハイセと同い年くらいの少女なのに、なかなか顔芸が達者だった。


「ね、ね、ハイセさん。スタンピードで生き残ったら、どうします?」

「どうもなにも……いつもの日常が戻ってくるだけだろ」

「クラン、作りませんか?」

「作らない。俺はソロでいいし、そろそろ『禁忌六迷宮』の情報を集めて、対策練る」

「……本気で挑むんですねぇ」

「ああ」


 禁忌六迷宮。

 まず、現時点で挑戦可能なのは 砂漠の国ディザーラが厳重に入口を管理している『デルマドロームの無限迷宮』と、西方にある極寒の国フリズドの管理する凍らない湖『ディロロマンズ大塩湖』だ。

 

「まず、南方にある砂漠の国へ行って、デルマドロームの無限迷宮について調べる予定だ。しばらく、王都を留守にする」

「えー……」

「いや、なんだよ『えー』って」


 新人受付嬢と二人で話していると、二階の階段からガイストが降りて来た。


「ハイセ、ギルドに何か用か?」

「はい。ガイストさんにお願いがあって」

「え? あたしとお話しに来たんじゃないんですかー?」

「んなわけあるか。ガイストさん、いいですか?」

「とりあえず、ワシの部屋に来い。ミイナ、茶を頼む」

「はーい」

「…………」

「ん? どうしたんですか、ハイセさん」

「お前、ミーナって名前だったんだな」

「えぇぇぇぇ!? 今知ったんですかぁ!?」


 ハイセはガイストの部屋へ。

 ミーナが運んできたお茶は、酷い味だった。

 二人きりになり、ハイセはさっそく切り出す。


「ガイストさん。スタンピード戦……俺に、先陣を切らせてください」

「何?」

「スタンピード。魔獣はかなりの数が王都に向かってくるんですよね? 後衛部隊が『能力』で遠距離攻撃をして数を減らし、前衛部隊が少なくなった魔獣を直接戦闘で片付ける……一番最初、後衛部隊が攻撃を仕掛ける前に、俺にやらせてください」

「……策があるのか?」

「あります。俺の『武器』で、数を減らします」

「……わかった」

「え……」

「ただし、後衛部隊が攻撃を仕掛けるタイミングになったら、攻撃を開始する。お前は最前線のさらに前に移動し、そこで攻撃を仕掛けろ」

「い、いいんですか?」

「なんだ、自分から言い出したことだろう?」

「そうですけど……まさか、あっさり許可をくれるなんて」


 ガイストは、スタンピード戦の総指揮官に任命されていた。

 ハイセの最前線での攻撃はガイストの説得が全てだったが、あっさりと許可をもらえたことに、ハイセは驚いていた。


「お前が何をするのか知らんが、お前が言うことは信頼しているよ」

「ガイストさん……」

「……実はな、サーシャもワシのところへ来た。『A級ダンジョンに入る許可が欲しい』とな……当然、却下した」

「…………」

「サーシャは、最前線のど真ん中にチームを置く。ここで活躍できれば、あいつを舐める者もいないだろう」

「ガイストさん……」

「あの子は、まっすぐだ。まっすぐすぎて、お前の苦しみを理解できなかった。ハイセ……何度でも言うが、サーシャと仲良くやってくれ」

「…………」

「ふ、まぁいい。とにかく、無茶はするなよ」

「はい」


 こうして、ハイセの『戦い』が始まろうとしていた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
ハイセ、御前さんの力を見せつけてやれ!闇の化身を伝説にしたれ
[気になる点] サーシャをまっすぐっていうのは無理があると思う。 ただ利己的なだけ 主人公の無力を嘲る仲間を止めもしなかった。
[一言] なんでそんなに仲良くさせたいのかがわからない 変な親心みたいなもん? いつまでも昔のネタで揶揄ってくる阿呆な子みたい
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