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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十二章 再来のスタンピード

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出発前日②

 食事会が始まった。

 それぞれ会話をし、食事し、酒を飲み、楽しい時間が始まる。

 ハイセは、レイノルドに誘われ酒の置いてあるサイドテーブルへ。


「おいおいハイセ、こんな高級酒どうやって手に入れたんだよ」

「酒屋で高いの注文しただけだ。金に糸目付けないって言ったら、倉庫から高いの全部出してきたから、全部買った」

「お前、酒好きだったっけ?」

「別に。こういうのは土産用だ。挨拶の時に渡したりすると喜ばれるからな」

「ほほ~……いやあ、でも嬉しいな。今日は飲もうぜ!!」

「ああ、好きに飲め。足りないなら出してやるし、余ったら持って帰っていいぞ」

「ははは!! そりゃ~いいな、ありがとよ!!」

「おい、肩組むな。ってか始まったばかりなのに酒臭いぞ……」


 レイノルドはすでに顔を赤らめ、高級酒を楽しんでいた。

 ハイセは肩を無理やり組まされ、外そうとするが怪力レイノルドの力で外せない。


「おーいクレス!! オマエもこっち来いよ!! 今日は本体か~?」


 ハイベルク王国第一王子に対する口調ではないが、クレスは笑ながらやって来た。


「やあハイセ君、久しぶりだね」

「……どうも」

「おいクレス、今日は『本体』か?」

「当たり前だろ。お前たちを労いに来たんだ。本人が来るのは当然だろ……ちなみに、王城にはオレが作った『複製体(アヴァター)』がいるから問題ない」

「ははは、便利な能力だぜ」


 クレスは『倍化(ダブル)』という、一つの物を二つにする力がある。

 能力が覚醒し、倍加したモノをさらに倍に、さらに人間を複製させコピーとして動かすことも可能になっている。

 今、王城にはクレスだけでなく、バルバロスやミュアネの『複製体』が公務を行っていた。

 レイノルドは、クレスに酒を注ぐ。


「今日は飲むぜ。おい、最後まで付き合えよ?」

「わかってるよ。同じ傷を持つ者同士、心行くまで……ね」


 レイノルドはクレスとグラスを合わせ、なぜかサーシャを見た。

 なんとなくハイセは察し、ようやくレイノルドの腕から離れる。

 クレスは、レイノルドとハイセに言った。


「……実はさ、婚約者ができたんだ」

「お、マジか?」

「ああ。森国ユグドラの王族でね……エルフなんだ」

「……異種族結婚」


 ハイセが言うと、クレスは頷いた。


「外交的な意味もあるけど、その……オレが一目惚れしちゃってね。彼女、ミスティアはその……可愛いんだ」

「惚気かよ……」

「…………」


 すると、プレセアがハイセの背からヒョコッと現れた。


「ミスティア、前に会ったときあなたのことばかり話していたわよ。運命の王子様とか、出会うべくして出会ったとか……あんまり惚気が酷いから、デコピンしてやったわ」

「お前、知り合いなのか?」

「ええ。親戚」

「……そういや、お前も王族だったな」


 すっかり忘れていたハイセ。

 プレセアは、森国ユグドラの王妃アルセラの妹。クレスの婚約者であるミスティアは、ユグドラの王グレミオの実妹である。

 プレセアとは歳も近く、二人でよく狩りに出かけたり、薬学に関して語り合った。

 クレスは照れつつ言う。


「あはは……なんだか恥ずかしいな」

「ちなみに、ミスティアは綺麗なエメラルドグリーンのロングヘアで……そうね、少しサーシャに似ているかもね」

「……おい、マジかよ」

「……まさか...殿下」

「まま、待ってくれ!! オレはそんなつもりでミスティアを愛したわけじゃないぞ!! というかキミ、変なこと言わないでくれ!!」


 焦るクレス。

 どこ吹く風のプレセア。

 なんとなくジト目のレイノルド、ハイセ。

 楽しい時間は、まだ始まったばかりである。


 ◇◇◇◇◇◇


 エクリプスは、一人でのんびり窓辺で酒を楽しんでいた。

 ハイセの方をチラッと見ると、意外なことに楽しそうだ。


「第一王子、クレスだったかしら……ハイベルク王国の次期国王」


 レイノルドと肩を組み、どこにでもいる平凡な青年のように笑っている。

 魔法王国プルメリアにも王子はいる。だが、どこか偉そうで鼻の付く男で、何度か食事やダンスに誘われ、無難にこなしてきた……妙な勘違いをさせたのか、求婚に近いことも言われたが、とりあえず聞き流した。

 今は、カーリープーランによる『洗脳』で、意思のない人形のようになっている。その点に関してはカーリープーランに感謝した。

 すると、エクリプスに近づく少女が。


「あ、あの、お姉様!!」

「あら……ミュアネ王女殿下。こんにちは」

「こ、こんにちは!!」


 第一王女ミュアネ。

 以前、七大冒険者会議であいさつし、何度かお茶会に誘われた。

 エクリプスの高貴な振る舞いが理想なのか、キラキラした目を向けている。

 イメージは、懐いた家猫……不思議と悪い気はしないので、エクリプスは笑顔を向ける。


「あの、お姉様とお話してもいいですか?」

「もちろん。ふふ、せっかくですし、何か食べながらにしましょうか。ここのシェフの料理は、これまで食べた料理の中でもトップクラスですのよ」

「確かに……さっき食べたクッキーとか、とてもサクサクで甘くて、美味しかったです」

「じゃあ、デザートの方へ……あら、サーシャ」


 と、グラスを手にしたサーシャが来た。


「邪魔だったかな。と……お久しぶりです、ミュアネ王女殿下」

「もう!! ミュアネでいいってば。一緒に冒険した仲じゃない」

「ふふ、ではミュアネ。エクリプスも、楽しんでいるか?」

「ええ、とても」

「…………」


 ミュアネは、向かい合って話すエクリプスとサーシャを何度も見比べた。 

 二人の視線がミュアネに向くと、ミュアネは頬を染める。


「ミュアネ、どうしたんだ?」

「い、いえ……こうして二人が並ぶとその……女神様みたいだなって」

「ふふ、お上手ね」

「女神様って……私はそんなものと比べるような人間じゃないぞ?」


 サーシャが苦笑するが、ミュアネはため息を吐いた。


「サーシャ。前から思ってたけど、あなたは外見に対する自己評価が低すぎます!! 抜群のプロポーションに、輝く銀髪、彫刻のような造形美……あなたみたいな美女、千年に一人生まれるかどうか!! お兄様なんか釣り合わなくて当然です!!」

「お、おい……な、何を言って。なあ、エクリプス」

「あら、私もそう思うわよ? そうね……胸の大きさでは勝てる気がしないわね」

「お、お前まで何を!?」

「むむむぅ……ちょっとくらい分けて欲しいかも」


 ミュアネは、平べったい自分の胸とサーシャの胸を見比べ、恨めしそうに見ていた。

 そして、デザートコーナーへ向かいながら言う。


「そうそう、お兄様に婚約者ができたの。しかもエルフなの!!」

「ほう、そうなのか。あとでお祝いの言葉を送らねばな」

「へえ、異種族婚……ハイベルク王国では珍しいのかしら?」

「そんなことないわ!! ああ、私もカッコいい獣人の男性と結婚したいです。ふさふさの毛、逞しい身体、肉を食い千切る牙、あらゆるものを引き裂く爪……うふふ、素敵ですわ」

「「…………」」


 ミュアネは『獣人好き』という一面を知り、サーシャとエクリプスは互いに顔を見合わせ、なんと言えばいいのか迷うのだった。

 楽しい時間はまだまだ続く。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
能力『倍化』ってどっからどう見てもヒロアカのトゥワイスのパクリで草 てかこいつの能力でスタンピード止めれるだろ
[一言] もう作者様はハイセとサーシャ含むセイクリッドとの仲を強引に良好にして物語を進める気としか思えない内容になってるな。しかし仲を良好にしてもハイセはソロでサーシャ達はチームでクランの幹部なのでど…
[一言] サーシャは成功し過ぎだと思う。最初から強くて失敗無し、若手トップレベルの冒険者で、パーティーもトップレベル、自分で一から立ち上げたクランは僅かな期間で五大クランの一角に。 対してハイセは最初…
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