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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十二章 再来のスタンピード

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二日前 

 全ての準備を終え、ハイセは宿の自室にいた。

 物資は十分すぎるほどアイテムボックスへ入れた。軍の遠征規模の物資を入れ、ハイセ一人で兵士数千人分が数年は飢えることなく、快適に生活できるくらいの準備を終えた。

 装備も新調した。

 いつも着てる黒いコートを手入れしてもらい、背中に散弾銃やライフルを背負えるように改造し、『虹色奇跡石』を薄くプレート状にして、急所を守るガードも付けた。

 愛用の自動拳銃も、新しいホルスターに入れ、マガジンケースも新調した。

 背中にはリボルバーを背負い、いつでも抜けるようにしている。


「…………よし」


 全ての支度を終え、ハイセは部屋を出た。

 すると、クレアがエクリプスの部屋からちょうど出てきた。


「あ、師匠」

「……お前、明後日には出発だぞ。装備は整えたのか? テントは?」

「もう、心配しすぎですよー、ちゃんとばっちりです!!」

「……泣き言言っても貸さないからな」

「そんなこと言わないでくださいよ。かわいい弟子が困ってたら、師匠の出番ですー」


 クレアは当たり前のように近づき、腕を取って甘えてくる。

 もはやハイセの腕を取るのが当たり前となりつつあり、ハイセははっきり言った。


「お前な、いい加減にくっつくのやめろ。子供じゃあるまいし」

「えー、でもでも、師匠と弟子のスキンシップを」

「いらん。ったく……とにかく、もう一度ちゃんと準備しろ」

「はーい」


 クレアは部屋に戻った。

 ハイセはため息を吐き一階へ。そこにはモップ掃除をするリネット、新聞を読む店主がいた。


「あ、師匠」

「ああ。と……リネット、少しいいか?」

「はい」

「……明後日には、俺もクレアも出発する。しばらく戻らない」

「……はい」

「だから、宿のことは任せるぞ」

「はい!!」


 リネットの頭を撫で、ハイセは店主の元へ。

 金貨を大目に置き、店主に言う。


「延長、三か月分」

「……うむ」

「それと、三か月分を超えるかもしれない。リネットのこと、任せていいか?」

「……ああ、わかっておる」


 それだけ言い、ハイセは離れようとした。が……意外なことが。


「待て」

「……? あんたが呼び止めるとは、初めてか?」

「フン。少し、頼みがある。実はシムーンとイーサンが……その、明後日お前さんたちが出発すると聞いてな、食事会を開きたいんだそうだ」

「……は?」

「食事会だ。隣のカフェを全部使って、お前さんたち十一人だったか? 遠出する冒険者たちに美味しい物を食べて欲しいと」

「…………」

「…………察しろ」

「…………まさか、俺に十一人集めろって?」

「…………」


 こうして、ハイセは十一人に声を掛けるべく、宿を出るのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


「……ったく、なんで俺が」

「まあまあ師匠。えへへ……一緒におでかけ、うれしいです」


 リネットを連れて行っていい、とのことだったので二人で宿を出た。

 クレアも誘おうとリネットが言ったがハイセが許可せず……最近、どうも距離が近いので、どうせベタベタ甘えるに決まっている。しかも、今は荷物の最終チェックをしているだろう。

 最初に向かったのは、プレセアとヒジリの宿。


「ここが、プレセアさんたちの……」

「でかくて、立派で、広い宿……そう思ったか?」

「いい、いえいえ、そんな。うう、師匠……」

「冗談だ。ほら、行くぞ」


 リネットを連れ中へ。

 受付も広く、置いてある調度品やソファも真新しい。リネットは宿で働いているからか、自分の宿とこの宿の違いを探しているようだった。

 ハイセは受付に聞く。


「ここに宿泊している、プレセアかヒジリに用がある」

「……あんた、何だい? あの二人、うちの上客なんだ。下手なちょっかい出すつもりじゃないだろうね」


 当然のことだが、警戒された。

 ハイセはめんどくさそうにため息を吐き、会えないなら手紙でも……と思った時だった。


「ハイセじゃない」

「……いいタイミングだ。お前、まさか俺にまた精霊を」

「あなたじゃなくて、リネットね」


 プレセアが階段から降りてきた。

 部屋着なのか、肩が剥き出しで、胸を覆うチューブトップに短パンという姿だ。下着姿ではないが、肌の露出が多い。

 プレセアを見て、リネットが頭を下げた。


「何か用? 今、薬の調合をしていたの」

「薬……魔界用にか?」

「ええ。回復魔法があると言っても、準備は必要でしょう?」

「……ああ。確かにな」


 ハイセも、薬品は何種類も用意した。だが、プレセアの作る薬品に比べたら質は雲泥の差。

 こうして用意してくれるのは、実にありがたい。

 プレセアは言う。


「で、何の用?」

「……リネット、説明」

「わ、わたしですか。は、はい……えっと」


 リネットは、シムーンとイーサン主催の『食事会』について説明。

 プレセアは、クスっと微笑んだ。


「あの子たちらしいわね。いいわ、参加する……ヒジリにも伝えておくから」

「任せる」

「あ、師匠」


 それだけ言うと、ハイセは踵を返す。

 リネットが慌てて追い、プレセアがハイセの背に向かって言う。


「次は、サーシャかしら。教えてあげる。サーシャは……今、『セイクリッド』の五人と一緒に冒険者ギルドにいるわ。一塊になって動かないから、ギルドマスターとお話してるんじゃない?」

「………感謝する」


 クラン『セイクリッド』に行かずに済んだと、ハイセは感謝した。

 リネットと二人、冒険者ギルドに向かう。

 ギルド内に入ると、リネットがキョロキョロした。


「わたし、はじめて入りました」

「そういやそうか。って待てよ」

「ハイセさーん!!」


 と、ミイナがブンブン手を振っていた。

 リネットに興味津々なのか、眼が輝いている。


「あの、師匠……あの人は?」

「無視しろ。今日は依頼じゃないし」

「無視しないでくださいいー!!」

 

 と、なんとカウンター席を越えてきた。

 ハイセに接近し、ビシッと敬礼する。


「どもども、お久しぶりです。そして初めまして、私はミイナです!! 冒険者ギルドの受付やってます!! こっちはサイアちゃんで、後輩です!!」

「は、初めまして、リネットです」

「ど、どうも……サイアです」

「おい、職務放棄するな。受付戻れ」

「ひどいですね。ハイセさんが無視するから挨拶に来たんですよ。ね、リネットさん」

「え、あ」

「はあ……おい、サーシャたち来てるか?」

「いますよ。今、ギルマスとお話し中ですー」

「……ガイストさんも誘ってみるか」

「え、え、飲みに行くんですか!! 私も行きます!!」

「……お前はダメ」


 すると、先輩受付嬢がミイナを羽交い締めにし、首を絞めて意識を刈り取った。

 ハイセに頭を下げ、青ざめるサイアを引っ張って受付へ。


「リネット、あれが職務放棄した受付嬢の末路だ」

「は、はい……」

「じゃあ、上の階に行くぞ」


 ハイセは、リネットを連れてギルマス部屋へ向かうのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ギルマス部屋の前に到着すると、いいタイミングでドアが開いた。


「ん? ハイセ?」

「よう、レイノルド」


 ドアを開けたのはレイノルド。

 その後ろにピアソラ、ロビン、タイクーン、そしてサーシャがいた。

 奥にはガイストも見える。


「なんだ、ガイストさんに用事か? オレらは終わったぜ」

「いや、お前たちに用事がある。あと、ガイストさんも……三分で話終わるから、少しいいか?」

「んん? 別にいいけどよ」

 

 レイノルドが「ハイセが話あるってよ」と言い、全員で中へ。

 リネットは、今更ながら場違いなのではと思っていたが、どうしようもないのでハイセの背にこそっと隠れた。


「ハイセか。ワシと、チーム『セイクリッド』に話とは……」

「ハイセ、重要なことか?」


 ガイスト、サーシャが真剣な表情になる。だがハイセは首を振った。


「そんな大したことじゃないです。実は……」


 ハイセは『食事会』の説明をすると、レイノルドが笑った。


「はっはっは。いいね、酒は出るのか?」

「俺が持ってる高級酒、飲みきれないほど出してやるよ」

「あたし、甘いのいっぱい食べたいっ!!」

「シム-ンの菓子は絶品だ。リネットも手伝うしな」

「が、がんばります!!」

「……ふむ。食事会というのも悪くない。チームワークを深める儀式といったところか。ボクは賛成だ」

「お前ならそう言うと思った。サーシャ、お前はどうだ?」

「うむ。もちろん賛成だ。一度、全員で顔合わせしなくてはと思っていたしな。出発二日前……準備もあるし、明日あたりか?」

「ああ、そうなると思う。ガイストさんもぜひ」

「ふむ。これは、行かねばな」


 こうして、『セイクリッド』の参加も決定するのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイセ、リネットは休憩がてらカフェでお茶を飲み、宿へ戻った。

 すると、エクリプスとエアリア、どこかムスッとしたクレアがいた。


「あ、師匠……ふん、私を置いてリネットと二人でおでかけした師匠」

「お前、拗ねてんのか?」

「ふーんだ。師匠、私のことそんなに邪魔なんですねー……ふーんだ」

「わかったわかった。もう邪険にしない。機嫌直せ」

「……まあいいです!! その代わり、くっついても文句なしで!!」


 クレアは、ハイセの腕にくっついて甘えだす……ハイセは嫌そうだったが、仕方なく甘えさせた。

 すると、エクリプスと、クッキーをボリボリ食べていたエアリアが言う。


「食事会のこと、聞いたわ。ふふ、楽しみね」

「あたい、うまいものいっぱい食うぞ!! 楽しみだー!!」

「ああ、シム-ンは?」

「カフェにいるわ。あなたが食事会のために奔走してるって聞いて、すごく張り切ってる。たくさん料理を作って、アイテムボックスに入れてるわよ」

「カフェ、今日はお休みなのだ。イーサンが掃除、飾り付けをしてたぞ!!」

「……そうか。明日が楽しみだな」


 明日は食事会。ハイセは今のうちに、アイテムボックスに入れておいた高級酒を出しておくのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初の頃はハイセとホーエンハイムの2人(?)だけだった宿屋も冒険を重ねるごとに色々な縁が増えた。また、魔族のシムーン&イーサン、エクリプス、エアリア、リネットも住むようになってから一層賑や…
[一言] ダスト2 それはあなたの側の単なる仮説であり、それ以上のことではありません、あなたはサーシャがレイノルズを彼の狭量さのために拒否したと言っていますが、それは単なるナンセンスです。 もしそう…
[良い点] さて、「良い場」がセットされたのかな。 [一言] キャラの2面性への耐性は人それぞれなので。 それぞれクセ強だし、メインキャラにクズっぽいとこもあるのを許容できない読者も居られるでしょ…
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