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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十二章 再来のスタンピード

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二週間前

 ハイセが宿に戻ると、クレアがちょうど風呂から出てきたところだった。


「あ、師匠。おかえりなさい」

「ああ。ちょうどいい、お前に話がある」

「はい?」

「その前に……エクリプスとエアリアは?」

「エアリアさんは隣のカフェでケーキ食べてます。エクリプスさんはお部屋かなあ」

「わかった。少しの時間でいい、エアリアを呼んで来てくれ」

「わかりました」


 ハイセは二階へ。

 エクリプスの部屋のドアをノックしようとして気づく……誰かの部屋を訪ねるなんて、これまで一度もなかったと。

 少し考え、「用件を話すだけだ」と切り替えノックする。

 すると、すぐにドアが開いた。


「ちょうどよかった。クレア、あなた用の……え?」

「……」

「は、ハイセ? ぁ……」


 エクリプスは、なぜか下着姿だった。

 黒の上下、そして手に緑色のショーツを手にしていた。

 顔を赤らめ、胸を隠すような素振りをしたところで、ようやくハイセはドアを閉めた。

 それから三分後……エクリプスがドアを開ける。


「ご、ごめんなさい。はしたない姿を……」

「……俺も悪かった」


 ドアをノックしたし、開けたのはエクリプス。ハイセの落ち度は全くないが、とりあえず謝罪。

 ハイセは要件を告げる。


「少し話がある。すぐに終わるから、下に来てくれ」

「え、ええ……じゃあ、行きましょうか」

 

 二人は一階へ。休憩スペースにはクレア、そしてクッキーを食べるエアリアがいた。

 エクリプスがクレアの隣に座ると、クレアは「あれ、顔赤いですけど」と言う……だがエクリプスは何も言わず、そっぽ向くだけだった。

 ハイセは、サーシャと話した魔界行きの説明をした。


「……二週間後、アズマに向かう。その道中にある『クリシュナ遺跡』に入り、スタンピードが起きる前にダンジョンボスを始末する。魔界に向かう前の最終調整だと思え」

「す、スタンピードって……確か、スタンピードが起きる前のダンジョンって、魔獣の等級がハネ上がるんじゃ……」

「だからこそ、意味がある。クレア……お前の実力はもうS級冒険者と遜色ない。今のお前なら、問題はない」

「し、師匠……」

「エクリプス、お前はどうだ?」

「問題ないわ。スタンピード……ふふ、ハイセは経験があるのよね? ハイベルク王国を襲った、過去最大のスタンピードを止めたのよね」

「ああ。お前はどうだ、エアリア」

「ん~……いいけど、遺跡って室内だろ? あたい、狭い空間じゃ能力をフルに活かせないぞ」

「だったら、室内でできる戦闘法を考えろ。そういう状況での戦いもある」

「む~……わかった」

「以上だ。質問は」


 ハイセが言うと、クレアが挙手。


「はいはーい!! あの師匠、不安なので毎日稽古を付けてください!!」

「わかった。これから二週間は、依頼を受けつつ訓練をする」

「はい!! よーっし!!」

「あたい、ガイストのおっさんのところ行こっと。あのおっさん、頭いいし相談するぞー」

「……まあ、好きにしろ」

「……私も、戦術の確認をしないとね。久しぶり……ううん、生まれて初めて、命を賭けた戦いになるかもしれない。いろいろ想定しておかないと、ね」


 こうして、ハイセたちは二週間後、スタンピードダンジョン『クリシュナ遺跡』に挑戦することになった。


 ◇◇◇◇◇◇


 サーシャは、屋台を出てハイセと別れた後、一人でプレセアとヒジリの宿へ向かった。

 場所は聞いているので知っている。ちょうど酔い覚ましが効く頃に宿に到着し中へ入り、受付へ。


「すまない、ここに長期宿泊している、プレセアとヒジリはいるだろうか」


 受付は女性だった。

 サーシャを見て少し驚きつつも答える。


「ああ、ついさっき帰ってきたよ。部屋に戻ったから呼んで──」

「あら、珍しいわね」


 と、階段を降りてくるプレセア。

 

「……私に付けた精霊が近づくのを感じたのか?」

「ふふ、わかってるじゃない」

「冗談だったのだが……まあいい。ヒジリはいるか?」

「いるわ。何か用事?」

「ああ、二人に話がある」


 プレセアは「呼んで来るわ」と言って二階へ。

 サーシャは休憩用のソファに座る。

 ハイセの住む宿より高級なところだ。三階建てで部屋数も多く、食堂とラウンジが別々になっている。居心地のよさそうな宿であり、サーシャも落ち着いていた。


「あれー? ほんとにサーシャじゃん。なになに、こんな時間に遊び来たの?」

「違うわよ。お仕事のことじゃない?」


 すると、ヒジリとプレセアが階段を降りてきた。

 二人とも、ラフな格好だ。あまり見ない姿である。

 二人はサーシャの前に座る。


「で、なんか用事?」

「ああ。魔界行きの件でな」

「魔界……いい話? 悪い話?」

「悪くもあるが、いい話でもある」


 サーシャは、二人にスタンピードのこと、クリシュナ遺跡のことを説明。

 予想通り、ヒジリは喜んでいた。


「マジ? 最高じゃん……スタンピード前のダンジョンに殴り込みなんてさ!!」

「……スタンピード。まさか、発生前のダンジョンに踏み込むなんてね」

「ああ。だが、私たちならいける。考えてみろ、私にハイセ、ヒジリ、エクリプス、エアリア。そして『セイクリッド』のメンバーにお前、そしてクレアだ。恐らく……このメンバーは人間最強とも言える」

「確かにね。ふふ、そのメンバーだけで、かつてハイベルク王国を襲ったスタンピード、止められるんじゃないかしら」

「……私も、同じことを思った」


 サーシャ、プレセアは苦笑した。

 

「出発は二週間後。一週間かけてクリシュナ遺跡まで向かい、スタンピード前のダンジョンを攻略……その後、アズマに向かい、カーリープーランの転移魔法陣で魔界へ行く。このダンジョン攻略は、魔界に行く前の最終調整だと考えてくれ」

「わかった。しっかり準備しないとね」

「むっふっふ……アタシ、なんか燃えてきた!!」


 サーシャは立ち上がり、帰ろうとした……が。


「待った。ねえサーシャ、お腹空いてない? せっかくだしご飯行こっ!!」

「え?」

「今の話聞いたらお腹減ってきたわ。プレセア、アンタも」

「……カフェがいいわ。お茶が飲みたいわね」

「え~? 焼肉がいい。お茶はそのあとで!!」

「お、おい、行くとは言って……肉か…」

「いいじゃんいいじゃん、行こっ!!」


 ヒジリはサーシャの腕を取り、ズンズンと歩き出す。

 その後ろを、プレセアが仕方ないとばかりに付いて歩き出す。

 サーシャも観念したのか、ヒジリと並んで歩き出す。


 二週間後にスタンピードダンジョンへ挑む。そうは見えないくらい、女子三人は楽しそうに歩くのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[良い点] ホーリー・トラッシュはもうヘイズを悩ませることはできないと思う。 ヘイズさんはもう一人ではありません。 彼の隣にはエクリプス、ハジリ、クレア、プレシアがいて、とても気に入っています。 だ…
[良い点] 最後に、作家はサーシャ専用のそのような状況を他の女性キャラクターに与え始めました エクリプスもとても可愛くて、ハイセの好きな色の黒い下着を着ています。彼女はハイセを喜ばせるために全力を尽く…
[一言] セイクリッドが出てない回なので良い。これからセイクリッドが出ずっぱりだと思うとウンザリ。サーシャ単体だと可もなく不可もなしだけどセイクリッドとセットだとあまりよく思えない。
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