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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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魔界へ向かう前、最後の引き締め

 朝食後、ガイストのいる冒険者ギルドへ。

 すると、久しぶりに聞く声が。


「あ、ハイセさん!!」


 ミイナが、ハイセに向かってブンブン手を振った。しかもその声のデカいこと……ギルド内にいた冒険者たちが「ハイセって、一位の……」や、「マジか、初めて見た」などの囁きも聞こえてきた。

 明らかに新人みたいな冒険者たちも、眼を輝かせて見ている。

 ハイセは小さくため息を吐き、ミイナの元へ。


「お久しぶりですねー、いろんな国に行ったって聞いてましたけど、お土産ありますか?」

「お前にあると思うか? ってか声デカい」

「えへへ。あのあの、久しぶりに飲みに行きません? ギルマスも誘って!!」

「……はあ、仕方ないな」

「…………」

「……なんだよ、その沈黙は」


 ミイナは首を傾げ、不思議そうに言う。


「なんか、ハイセさん変わりましたね。優しくって親しみやすいです」

「……俺は変わってない」

「うーん、あたしはそうは思わないですけどねえ。あ、そうだ!!」


 するとミイナが、チョイチョイと手招きする。

 誰を呼ぶのかと思ったら、眼鏡を掛けた三つ編みの少女を読んだ。

 

「ふふふ。彼女はあたしの後輩でサイアちゃんです!! 十六歳、期待の新人受付嬢ですよ!!」

「せせ、せ、先輩、あのあの、わ、私は別にその」


 サイアは、どう見てもハイセに対し緊張していた。ベテランでもハイセには緊張するのだが、緊張とは無縁のミイナは嬉しそうに言う。


「いやあ、あたしも後輩を指導する側に回るとは……時間の経過って早いですねえ」

「……おい。ガイストさんいるか?」


 めんどうなので、無理やり話を進めることにした。

 ミイナは言う。


「ギルマスなら、サーシャさんとお話してますよ。もうすぐ終わるんじゃないですかね」

「サーシャが?」

「ええ。反省会とか言ってましたけど」

「……わかった。部屋の前で待ってる」


 ハイセは階段を上がり、ガイストの部屋の前まで向かった。


 ◇◇◇◇◇◇


 部屋の前に行くと、ちょうどサーシャとガイストが出てきた。


「ではガイストさん。よろしくお願いします」

「ああ、頼んだ……今のお前になら任せられる。ん?」


 サーシャ、ガイストが視線を向けた先には、ハイセがいた。

 サーシャは少しだけ微笑む。


「ハイセ。戻ってきたのか」

「ああ。話中だったか」

「いや、もう終わった。ハイセも、ガイストさんに話を?」

「ああ……少し、相談をな」

「ワシにか。いいだろう、話を聞こう。入れ」

「……サーシャ、お前もいいか?」

「え? わ、私も?」

「ああ、お前にも聞いてほしい」


 三人で部屋に入り、ハイセは座るなり言う。


「魔界に行く前に、鈍った身体を引き締めたい。ガイストさん……SSレート以上、できればSSSレートの魔獣がいるダンジョン、生息地に心当たりありませんか」

「……何を言いだすかと思えば。SSSレートなぞ出たら、国中の冒険者を招集、それこそスタンピード戦の再来になるぞ」

「今の俺なら、スタンピードも制圧できる。自惚れでも何でもありません、事実です」

「ふむ……」

「俺は、ここ最近『命を賭けた戦い』に身を置いていない。このまま魔界に行って、そういう戦いになったら……」

「……なるほどな」


 すると、サーシャが言う。


「ガイストさん。先ほどの話ですが……クランではなく、私『たち』で受けてもいいですか? いや……魔界に行くメンバー全員で受けます」

「……何の話だ?」


 ハイセがサーシャを見ると、ガイストが言う。


「……実は、スタンピードの兆候があるダンジョンが発見された」

「!!」

「場所は、東にある迷宮型ダンジョン、A級難易度の『クリシュナ遺跡』だ。恐らく一ヶ月以内に、大規模なスタンピードが起こる」

「先ほど、ガイストさんから依頼を受けた。クリシュナ遺跡に踏み込み、スタンピードの元凶であるダンジョンボスの討伐をしろとな」


 サーシャが言う。

 かつて、ハイベルク王国で起きたスタンピードとは対応が違う。

 ダンジョンが寿命を迎え、ダンジョンボスが後継を生み出すために魔獣を無限に生み出し、ダンジョンから溢れ出すことでスタンピードが発生する。

 ダンジョンボスを討伐できればスタンピードは防げる。しかしスタンピードが近いダンジョン内の魔獣たちは、討伐レートが跳ね上がる。それはダンジョンボスも同様なので、スタンピードが発生し、現れる魔獣を全て討伐することが最善策と言われていた。

 だが……今のサーシャなら、チーム『セイクリッド』を率いて、スタンピード発生前のダンジョンに踏み込み、元凶であるダンジョンボスを討伐できるかもしれない。


「間違いなく、ダンジョンボスの討伐レートはSSSだろう。道中で現れる魔獣も、討伐アベレージはSを超える…場合によっては指名依頼も考えていた…」

「面白い。それにぴったりだ」


 サーシャは真剣に言い、ハイセは笑って言った。

 サーシャはガイストに言う。


「ガイストさん『セイクリッド』ではなく、魔界に向かう十一人で、この依頼を受けます。ハイセ、いいな?」

「……そうだな。俺もだけど、お前らも気を引き締めるにはちょうどいい。魔界に向かうのは、そのスタンピードを阻止してからだ」

「そうだ。ちょうど、東はアズマがある。スタンピードを阻止し、そのままアズマに向かい、魔界へ向かうのがいい」


 サーシャは少し考え、指を二本立てる。


「二週間後に出発でどうだ。ハイベルク王国で用意をし、アズマに向かう。『クリシュナ遺跡』までは一週間……スタンピード発生の一週間前か。発生直前、魔獣の討伐レートもアベレージSSに近いだろう。だが、それくらいでないと意味がない」

「いいな。それでいい。ガイストさん、スタンピード発生まで一ヶ月ってのは、信用できる情報ですよね?」

「ああ。間違いはない」

「よし……じゃあ決まりだ。魔界に向かう十一人は二週間後、アズマに向かう。そしてスタンピードを止め、そのまま魔界に向かうぞ」

「うむ。仮の決定だが、誰も反対しないだろう。『セイクリッド』とプレセア、ヒジリには私から伝えておく。クレア、エクリプス、エアリアにはお前から伝えてくれ」

「……わかった」


 同じ宿なので仕方ないが、正直面倒だった。

 話は終わり、ここでミイナがお茶を運んできた。ドアを開けたのはミイナで、お茶を運ぶのは新人受付嬢のサイアだ。


「皆さん、お茶をお持ちしましたー!! ギルマス、難しい話は終わりましたよね?」

「ああ、終わった」

「よし。じゃあサイアちゃん、皆さんにお茶を」

「は、はひ……」


 サイアはガチガチに緊張していた。

 ガイストにお茶を渡し、サーシャの前にお茶を置く。サーシャはサイアに微笑みかけると、サイアは真っ赤になった。


「ひっ」


 だが、ハイセと目が合い怯えてしまう。お茶をこぼしそうになったが何とか置いた。


「ギルマス、ハイセさんも帰って来たし、今夜一杯どうです?」


 グラスをクイッと傾ける仕草……十七歳の女の子がやる仕草ではない。

 ガイストは苦笑し、ハイセとサーシャに言う。


「そうだな。久しぶりに、ワシが奢ろう。デイモンも呼んで屋台にでも行くか」

「……まあ、そうですね」

「うむ。久しぶりにガポ爺さんの煮込みを私も食べたい」

「やった、ギルマスの奢りっ!! やったねサイアちゃん!!」

「え、わ、私も行くんですか」


 この日、久しぶりに飲み会となった。

 ハイセはサーシャにエクリプスとの決闘話を聞いたり、酔ったサーシャがハイセの旅のことをしつこく聞いたり、デイモンが茶化してハイセが苦笑いしたり、酔ったミイナがハイセをブンブン揺すったりと、楽しい飲み会になるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[気になる点] ふと読んでいて気になったんだけど最初は7大冒険者って若手の中で活躍・実績等から選ばれたんであって全ての冒険者の中からじゃないですよね?言い方は可笑しいけどその辺のS級よりは実力はあるだ…
[一言] 全員のお披露目が出来るこの展開を考えていたなら、戦力把握の決闘要らなかったんじゃ···
[気になる点] 命を賭けたような、全力の戦いから遠ざかっており、ハイセは強くなっていない。サーシャやヒジリ、エクリプスが強くなるが、ハイセは全く伸びていない。 「俺も、一度全力を出したい。出したことの…
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