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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ハイベルク王国へ

 聖十字アドラメルク神国から、ようやくハイベルク王国に戻ってきた。

 クロスファルドの用意した寝台馬車から降り、ハイセは御者にチップを渡す。

 正門前で馬車から降りると、クレアがグーっと背伸びした。


「いや~、楽しい旅行でした!! ね、リネット」

「は、はい。すごく楽しかったです!! えへへ、お土産もいっぱい」


 旅行ではないが、リネットが喜んでいるのでハイセは何も言わない。

 すると、ラプラスがハイセの前へ。


「ダークストーカー様、私はここで」

「ああ」

「プレセア様。またいつでもお呼びください、格安でお受けしますので」

「そうね。はい、依頼料」


 雇い主はプレセアなので、報酬はプレセアからもらうラプラス。

 そして、みんなにぺこっと頭を下げる。


「皆さん、楽しい旅でした。機会があればまた」

「はい!! ラプラスさん、また!!」

「あ、あの……また、いつか」


 ラプラスはにこっと微笑み……ハイセの腕にぎゅっとしがみ付いた。


「……なんだよ」

「いえ、ご迷惑をおかけしたのでお詫びです」

「暑苦しいから離れろ」

「あう……この程度じゃダメですか。いずれきちんと借りは返すので」


 ラプラスはハイセから離れると、そのまま町中へ消えた。

 そして、欠伸をしながらヒジリも前に出る。


「アタシも、宿帰って寝よっと。プレセア、アンタも同じ宿だし、一緒に帰ろ」

「……そうね。今日はもう帰ろうかしら。じゃあ、明日にでもシムーンたちにお土産渡しに行くから、そう伝えておいて」

「じゃあね。クレア、リネット、ハイセ。楽しい旅行だったわ!!」

「じゃあ、また」


 ヒジリ、プレセアも自分の宿に帰った。

 残ったのは、ハイセ、クレア、リネット。


「……帰るぞ」

「はい!!」

「はい、師匠、姉弟子」


 ハイセが歩き出すと、クレアが腕を掴む。リネットは迷ったが、ハイセの一歩後ろを歩き出す。

 ハイセは嫌そうに腕を払い、クレアはもう一度腕を取る。リネットはそんな二人を見て困ったようにする。

 ようやく、ハイセたちは、ハイベルク王国に戻ってきた。


 ◇◇◇◇◇◇


 宿に戻ると、建物の大きさが変わっていることにクレアが気付いた。


「あれー? なんか、違和感が……」

「俺らが出た後、増築するって言ってただろ。こっちは、シムーンのカフェだ」

「姉弟子、看板あります。カフェ『アトゥム』ですって」

「ほんとだ。営業中……よし、行きましょうリネット!!」

「は、はい」

「……俺は宿の方に行く」


 クレア、リネットはカフェへ。

 ハイセはいつも通り、宿の入口に入る。すると、主人が相変わらず新聞を読み、ハイセをチラッと見てすぐに視線を新聞へ戻した。

 いらっしゃいも、おかえりもない。だが、それがハイセにはありがたい。

 カウンターに近づき、主人に聞いた。


「シムーンのカフェ、営業始めたのか」

「……ああ。なかなか好評のようだ」

「……少し、広く感じるな」


 宿屋の一階は、受付、トイレ、風呂の入口、そして食事を取っていたスペースにはソファやテーブルが置かれ、休憩スペースになっていた。

 これだけでも広く感じる。さらに、カフェであり、宿泊者の食堂でもある空間に続くドアが増設されていた。


「……忙しくないのか?」

「ああ。今はまだ、な……今はシムーン一人でなんとかなってはいるが、いずれはシムーンの補佐も必要かもしれんの」

「補佐か……」


 宿屋は、イーサンと主人がメインで掃除やベッドメイクをしている。食事はシムーンの担当だ。

 母屋の掃除もあり、古い個所の修繕もあるので忙しい。リネットが働き手として加わり、宿屋と母屋に関しては何とかなりそうだが……宿泊者の食事、カフェ営業を一人でこなすのは重労働だ。


「ワシも食事の手伝いくらいはできるが……カフェ営業はなあ。こんなジジイに、あんな華やかな店での接客が務まるとは思えん」

「わかってるじゃねぇか」

「やかましい。フン、若い娘で、カフェ営業の手伝いができる者を探さねばな」

「…………」


 現在、宿屋にはハイセ、クレア、リネット、エクリプス、エアリアの五人が宿泊している。

 エクリプスとハイセが二部屋使っていたが開け、六部屋あるうちの五部屋が使用中。

 これまでは二人分の食事を用意していたが、今日から五人分……さらに、イーサンや主人の食事も用意しなくてはいけないので、シムーンの負担は多い。

 

「あんた、母屋の食事とかは……」

「あの子がやると言って聞かんのだ。料理が本当に好きになっての……」

「……早急に、手伝いが必要だな。ちょっと待っててくれ」


 と、ハイセはカフェに向かうことなく、再び宿を出た。

 それから二十分ほどで再び宿へ。

 今度は一人でなく、もう一人いた。


「あの、ダークストーカー様。ワリのいい仕事を紹介するとのことでしたが……」

「賃金は払うから、ここのカフェで働け。俺に借りを返すんだよな?」

「え?」


 連れてきたのは、ラプラスだった。

 ハイセに「いい仕事がある」と言われ、つい先ほど別れたばかりだが、こうして連れてきた。

 ラプラスは首を傾げる。ハイセからカフェの手伝いをして欲しいと聞くと、「ふむ」と頷く。


「質問です。カフェということはメイドですか?」

「どういう意味だ。接客だよ、飲み物とか運んだり……だよな?」

「うむ。簡単なドリンクと、店内販売している菓子の提供だ」

「だとさ。ずっとじゃなくていい、しばらく手伝いしてくれ」


 正式な従業員を雇うまでの繋ぎとして、ラプラスに依頼をする。

 人を使うことにシムーンが慣れておく必要があるし、カフェ営業の流れもしっかり覚える必要がある……ちなみに、営業を始めてまだ二日目だそうだ。

 ラプラスはピッと指を立てた。


「条件があります。私好みの制服を着用する許可を……」

「……いい、のか?」

「制服なぞ用意しとらんぞ」

「ふっふっふ。神は言いました……『メイドかシスター服』と。せっかくなので、私に制服のデザインをさせてください」

「…………シムーンと相談だな」

「…………若いモンのことは任せる」


 こうして、やや不安を感じつつも、ラプラスをカフェ手伝いとして雇うことにした。


 ◇◇◇◇◇◇


 さっそく、ラプラスを連れてカフェへ。


「あ、いらっしゃー……ハイセさん!!」

「ただいま、シムーン」

「おかえりなさい。今、お茶の支度しますね。宿泊者用の席へどうぞ!!」


 部屋はかなり広い。

 宿泊者用の食堂スぺースと、カフェに分かれていた。

 カフェスペースにはオシャレな椅子テーブルが並び、お菓子の販売スペースもある。

 食堂スぺースは、新しいテーブルや椅子があった。これまで使っていた狭い机や椅子ではない。テーブルクロスなども新しくなっており、快適そのものだ。


「あ、師匠!! それにラプラスさん!!」

「師匠、これおいしいです」


 リネット、クレアがケーキと紅茶で一服していた。

 そこにラプラスも混ざる。


「ほうほう、これは美味しそう……」

「あれれ、ラプラスさん? どうしたんですか?」

「いえ、ダークストーカー様に呼ばれまして」

「ハイセさん、ラプラスさん、紅茶をお持ちしました」


 と、シムーンが紅茶を運んできた。


「忙しいか?」

「はい。少しだけ……でも、大丈夫です」


 カフェを見ると、若い女性客が数名、お菓子を食べながらお茶をしていた。

 みんな「美味しい」や「こんなカフェあったのね」など話している。仕切りがあり、宿泊者スぺースと別れているので、S級冒険者のハイセがいることには気づかれないようだ。

 ハイセは紅茶を啜り、ラプラスを紹介する。


「さっそくだが……シムーン、ラプラスを手伝いに雇わないか?」

「え……?」

「お前は食事担当だろ。俺たち宿泊者や爺さん、イーサンの食事も作ってる。それに合わせてカフェ営業……配膳、片付け、洗い物とかもあるだろ。お前の負担がデカくなる」

「は、はい。でも……いいんですか? ラプラスさん、お仕事があるんじゃ」

「問題ありません。神は『労働こそ仕事』と言いますから」

「神に感謝だな。シム-ン、好きにコキ使え」

「え、えと……」

「ではさっそく。シム-ンさん、制服から決めましょう。ああ、リネットさんは宿屋のお手伝いでしたっけ? でもでも、忙しい時にはこっちのお手伝いもしてもらうので。制服を用意しましょう」

「わ、わたしもですか?」

「なんだか私も手伝いしたくなってきました!!」


 ハイセは紅茶を飲み干し立ち上がる。

 いつの間にか、女子四人でワイワイ話を始めていた。


「……さて、俺は部屋に戻るか」


 今一度、カフェを見渡す。

 綺麗なカフェ、客入りも上場……これからどんどん賑わうことだろう。


「……本当に、騒がしくなったもんだ」


 そう呟き、ハイセは宿に戻るのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
[一言] ハイセは旅に出る前にサーシャと仲を進めて、旅行中は一緒にいたメンバーとの仲を深めたので、戻ってからはエクリプスとのイベントが欲しいです。
[一言] また、申し訳ありませんが、私は日本人ではないので、Google翻訳を使用したため、文章には間違いがたくさんあるでしょう。 したがって、私のコメントに間違いがあったことをお詫び申し上げます。 …
[一言] 白酒軍曹さん。 前にも言ったように、作家はヘイズとクズ野郎のサーシャとの間のロマンチックな状況を計画しており、それは作家の好みです。 おそらく彼は、Eclipseを使ってサーシャのクズイメー…
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