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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ハイセVSクロスファルド


 クラン『セイファート騎士団』の『決闘場』に、ハイセとクロスファルドは向かい合っていた。

 ハイセは無手。クロスファルドは左手に銀の拵えをした専用刀『翠竜』を手にしている。

 観客は、サタヒコにディシア、アヤメ。そしてハイセの知らない『強者』たち。

 ヒジリも、どこかワクワクした感じだった。怪我はすでに治療したのか無傷。


「すまんな、うちの部隊長たちがぜひ、ワシとお前の試合を見たいと言うのでな」

「構いませんよ。それで……ルールは?」

「全力だ。ただし、この決闘場外を破壊するような攻撃は不許可……あくまで、この決闘場内で出せる全力で頼むぞ。お前の本気は、無差別かつ大規模破壊に特化していると聞いたしな」

「…………」


 なんとなく、クラン『銀の明星シルヴァー・ヴェスペリア』を崩壊させたことを言っているような気がした……エクリプスの魔法実験で倒壊したと情報操作したのに、クロスファルドは真実を知っているような口ぶりだ。

 すると、十代後半ほどの少女が近づいてきた。


「それではこれより、試合を始めさせていただきます。ハイセさん、マスター……怪我をしたら治療はお任せを」

「ああ、頼むぞヤクモ」

「…………」


 ハイセは両手を閉じ、開くを繰り返す。

 不調はない。呼吸を整えて小さく息を吐き、ヤクモに頷く。

 ヤクモは、もう一度ハイセ、クロスファルドを見て、静かに腕を上げた。


「それでは──……試合開始!!」


 手が振り下ろされ、試合が始まった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイセはホルスターから二丁の自動拳銃を抜き、クルクル回転させてクロスファルドに突きつける。

 クロスファルドは構え、抜刀……翠銀色の闘気が爆発的に燃え上がった。


「翠銀色……」

「うむ。聞いたぞ、サーシャも自分の闘気の色を見つけたそうだな。それと……クレアだったか。彼女もまた、自分の色を」


 サーシャは純白銀、クレアは青銀、クロスファルドは翠銀……闘気に固有の色が出るとは思っていたが、クロスファルドの闘気の輝きは、サーシャやクレア以上だった。

 クレアを連れ、この闘気を見せてやればよかったと、師匠らしく考えるハイセ。

 軽く息を吐き、銃を両手に走り出す。

 クロスファルドが一歩踏み出した瞬間、地面が爆発した。

 同時に、ハイセは自動拳銃を連射。土煙で見えないが、クロスファルドの腕と腹を狙った銃撃……だが、煙が晴れると、クロスファルドは刀をクルクル回転させていた。

 弾丸は地面に転がっているし、爆発も無傷。

 全て、恐ろしい密度の闘気が爆発を無効化していた。


「恐ろしいな……そういえば、ノブナガも使っていた。一歩踏み出した瞬間に爆発する。奴は『対人地雷(ランドマイン)』と呼んでいた……懐かしいな」


 ハイセは自動拳銃をホルスターにしまい、カービン銃を具現化、クロスファルドに向けて引金を引くと、クロスファルドは刀で銃弾を弾きながら接近してきた。

 そして、ハイセに接近し横一線、ハイセは紙一重で避け、カービン銃を捨てて背中に隠してあるリボルバーでファニングショット。

 クロスファルドは銃弾を躱し、数発を刀で斬る。

 ハイセはマグナムを具現化し発砲……クロスファルドは目を見開き、刀の切っ先で銃弾を弾いた。


「これは受けたら大穴が空く……マグナム弾、だったか」

「……詳しいですね」

「ノブナガから、飽きるほど聞いた。あいつは自分のことを《マニア》と呼んでいたぞ」

「マニア、ね……」


 すると、ハイセの背後に、数発の《ミサイル》が浮かぶ。

 右手にショットガンを持ち、左手にはアサルトライフルを持つ。

 そして、それらをクロスファルドに向け、ハイセは言った。


「久しぶりに、俺も本気の『運動』ができそうだ」


 ◇◇◇◇◇◇


 二人の戦いの様子を、ヒジリがウズウズしながら見ていた。

 いつの間にか、隣にサタヒコとディシアが立つ。


「な、なにあいつ……」


 ディシアは驚愕していた。

 ヒジリに負けたが、負けを認めたわけではないし、サタヒコがヒジリに負けたことも認めていないし、再戦するならいつでも受けて立つという気持ちだった。

 序列一位ハイセ。見た感じ、殴ればすぐ倒れそうな華奢なガキ……と思っていたが、その『能力』から繰り出される凶悪な攻撃に、ディシアは戦慄する。

 サタヒコも同じだった。


「これはこれは……まさか、クロスファルドさんがああも避けるなんて、見たことないですね」

「なになに、あれすごいの?」


 ヒジリが言うと、サタヒコは頷く。


「クロスファルドさんの『闘気』は完成されてます。私ら部隊長が全員で同時に全力の攻撃を繰り出しても、クロスファルドさんの闘気なら受けとめられるし、完全に防御できるんです。ですが……あのクロスファルドさんが、攻撃を避け、弾いている……闘気で受けることができないということなんでしょうなあ」

「ふーん」


 ハイセの銃は、オリハルコンの塊ですら貫通し砕く威力がある。

 そして、エクリプスのクランを崩壊させた『凶悪な火を放つ筒』も浮かんでいる。

 ヒジリは、ディシアに言った。


「ディシアだっけ」

「……あ?」

「認めるのシャクだけど……ハイセ、アタシより強いわよ。アンタけっこう見所あるし教えてあげる。もっと外に出て、冒険者の経験積んだ方がいいわよ。初見でハイセの強さ感じれないようじゃ、アンタはクレアにも勝てないわ」

「……クレア?」

「ま、アタシも人のこと言えないけどね」


 そう言い、サタヒコを見る。サタヒコに喧嘩を売った昔のことを受け入れていた。

 サタヒコは笑う。


「ははは。やはりヒジリさんは強い……私も、もう一度鍛えなおさないとね」

「やるならいつでも相手するわ。ふふん、アタシが勝つけどね」


 次の瞬間、クロスファルドがミサイルを両断し、ハイセのショットガンがクロスファルドの左腕に命中……散弾が突き刺さり、血が飛び散った。


 ◇◇◇◇◇◇


 クロスファルドは、血が流れる左腕を見た。


「あいたた……ははは、ワシも老いた。若いころだったら、この程度の痛み」

「人は誰でも老います。クロスファルドさん……まだ、やりますか?」

「……いや、もうやめておこう。ワシもお前も、ここでは本気が出せん」

「さすがに、クランを崩壊させてまでやることじゃないですから。やるなら、破滅のグレイブヤードの中央平原とか、何もない場所がいい。そうすれば、俺もあなたも、もっと全力が出せる」

「ははは……この場でやろうと言ったのは、そうしなければ歯止めが利かなくなりそうだから、というわけだ」


 クロスファルドの腕から、ポロポロと散弾が落ちる……ほんの十秒もしないうちに、傷が完全修復されたようだ。

 クロスファルドは刀を鞘に納める。


「ワシはどうだった?」

「闘気の密度がサーシャの数十倍、クレアの数百倍はありますね。しかも全力じゃない」

「……うむ。年々、老いてはいるがな」

「それでも、あなたはサーシャとは次元が違う強さだ。正直……俺の全力でも、相打ちに持ち込めるかどうか」

「ふっ……」


 クロスファルドは微笑んだ。そして、ハイセに近づき、肩をポンと叩く。


「行け、ハイセ。お前の強さなら、魔界でも問題ないだろう」

「……はい。クロスファルドさん、ありがとうございました」


 こうして、ハイセはノブナガのことを知ることができた。

 魔界にいる『ヒデヨシ』のこと、そして最後の禁忌六迷宮である『ネクロファンタジア・マウンテン』のこと。

 魔界行きは、もう間もなくである。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
もうマジで数値はインフレと後付け設定の素にしかならないから出さないほうがいいって
[気になる点] 先輩冒険者の強さを出したかったのかもしれないけど強くなったサーシャの数十倍~数百倍とかだったらサーシャはどれだけ雑魚なの?って事になるんじゃ。 後、クロスファルドは「行け、ハイセ。お前…
[一言] だから作者さんは数字を書いちゃダメだって(笑)。 よく間違われるけどマグナム弾よりふつうのアサルトライフルの弾丸の方が大きさ(弾丸の全長と直径に重量、さらには装填されてる火薬の量)が上で威…
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