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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ノブナガを知る旅⑮/大剣

 ハイセ、ヒジリの二人は、クラン『セイファート騎士団』にやってきた。

 まるで神殿のような建物。剣を交差させたマークがあり、クランの前には門兵がいる。

 門兵の腰には剣。剣はクラン『セイファート騎士団』を象徴する物であり、刀剣系能力者が目指すクランとして最高の憧れの場。

 隣には、クランに依頼を出すための受付用建物もあり、かなりにぎわっていた。


「さすが五大クラン……といったところか」

「相変わらず、ビンビンと強者の気配感じるわね。ま、アタシの敵じゃないけど!!」


 ヒジリは「がはは」と笑う。相変わらず豪快なヤツだとハイセは適当に思い、クラン受付ではなく門兵のいるクラン正面入口へ。

 当然警戒されると思ったが、門兵は丁寧に一礼した。


「これはこれは。ハイセ様、ヒジリ様」

「……俺のこと知ってるのか?」

「はい。一度来られた方は忘れません。それに、セイファート騎士団は、ハイセ様たちが来たらもてなすように言われています」

「……そこまで歓迎されるとは、意外だった」

「アタシのことも?」

「はい。サタヒコ様曰く『次に会うのが楽しみなお方』だそうで」

「ほほー……ね、サタヒコいる? リベンジしたいんだけど」

「おい、あとにしろ。あー……いきなりで悪いんだが、クロスファルドさんに会えるか?」

「申し訳ございません。クランマスターは現在、新人の訓練中でして……ご用件をお伝えしますか?」

「いや、直接会いたい。アポイントの予約を頼む」

「かしこまりました」


 かなり話のわかる門兵……というか、すんなりとした対応だった。

 門兵はクラン内に入り、数分で戻ってくる。


「クランマスターからのお言葉をそのままお伝えします。『ハイセ、よければ道場に来てくれ』だそうです」

「道場……」

「クランが所有する、訓練場です。ご案内しますか?」

「……ああ、頼む。おいヒジリ、暴れてモノ壊すようなことするなよ。弁償とかするならお前の財布から出せよ」

「アンタ、アタシのこと何だと思ってんのよ!!」


 キーキー騒ぐヒジリを無視し、ハイセとヒジリはクラン内へ。

 すると、三メートルはある大剣を担いだ少女が待ち構えていた。


「なんや、コレが序列一位? ガキやないか」

「……門兵さん、コレは?」


 ハイセは指差しをしながら門兵に聞く。

 門兵は汗をダラダラ流し、「え、ええと」と何を言えばいいのか迷う。

 すると、少女はシッシと門兵を追い払う。


「こっからはウチが案内する。アンタは仕事に戻りぃ」

「は、はい!!」


 門兵はダッシュで戻る。

 残されたのは、ハイセとヒジリ、そして大剣の少女。

 ハイセは少女を観察する……かなり巨大な剣だ。

 少女の体躯の二倍ほどの大きさ。横幅も一メートル以上あり、柄の長さも一メートルはある。光の加減で虹色に刀身が輝いて見えたので、オリハルコンと何かを配合した金属で作られた大剣のようだ。

 そして、少女。

 ハイセ、ヒジリと同い年くらいだろうか。クセの付いたロングヘアで、所々に白い毛が混じっている……白髪ではなく、ファッションとして染めているようだ。

 ファッションもかなり過激だ。腕や足にベルトのようなモノをいくつも巻き、水着のようなブラで胸を固定しつつ、ベルトで押さえるというハイセの理解できないファッション。スパッツの上にミニスカートを履き、膝まであるブーツを履いてベルトで固定。


「なにこのベルト女」


 ヒジリが言う……ハイセは思っていた『ベルト女』という言葉を、ヒジリが代弁してくれた。

 ベルト女はニッと笑って言う。


「ウチはセイファート騎士団第二部隊、通称『大剣部隊』の部隊長、ディシア。アンタらの案内しろってクロスファルド様に言われてきたんよ。あーめんどくさ」

「初対面の人間相手にその態度、クロスファルドさんは尊敬してるけど、オマエみたいなヤツに案内させるようじゃ、評価を改めないとな」

「あ? オマエ……クロスファルド様のこと、ナメてんの?」

「ナメてんのはお前だろ。喧嘩売るヒマあるならさっさと案内しろ」


 すると、ディシアは一瞬で大剣を構え、振り、ハイセの首に突きつけた。

 速い……ハイセは思った。一連の動作が一瞬で、三メートルある大剣を振ったとは思えない動き。


「一つ教えてやる。七大冒険者を決める時、セイファート騎士団に所属する冒険者は選定から除外したんだ。最強とか、時代の代表とか言う七人に選ばれて、木っ端冒険者にチヤホヤされるなんてゴメンだしね……最強とかチョーシ乗ってるみたいだけど、セイファート騎士団の『十三剣士(サーティンエッジ)』を相手にしたら、アンタなんて一分持たないよ」

「あっそ」


 ハイセは即答した。そもそも、七大冒険者は勝手に選ばれたものだし、執着もない。

 そして、ニヤリと笑って言う。


「引きこもりで世界を知らないお前に教えてやる。お前みたいな『チョーシ乗ってる』ヤツが禁忌六迷宮に挑んだら、速攻で死ぬぞ。冒険者ってのは強けりゃいいだけじゃない。それに……お前程度が十三人なら、俺一人でも相手できる」

「……ぁ?」


 ディシアの額に青筋が入り、柄を握る手に力が入る……が、ハイセの前にヒジリが立った。

 ああ、やはり我慢の限界だった……とハイセは思う。


「アタシを無視して話進めないでよ。なになに、コイツ喧嘩売ってんの? やっていいの?」

「笑顔で俺に言うな。はあ……こうなるか」


 すると、いつの間にか周囲が騒ぎになっていた。

 そして、奥から苦笑を貼りつけ、一人の青年が歩いて来る。


「ディシア。あれほど、揉め事を起こさないように言ったじゃありませんか」

「サタヒコ様っ!!」


 と、ディシアの青筋が消え、笑顔になった。

 大剣をアイテムボックスに入れると、素早くサタヒコの元へ。


「ごめんなさい……わたし、迷惑かけるつもりなんてなくて」

「わかりました。では、しっかり案内できますね?」

「はい♪ あの~……ご褒美、お願いしてもいいですか?」

「はいはい。よしよし」


 サタヒコはディシアの頭を撫でると、ディシアは猫のように顔を綻ばせて喜ぶ……どう見ても、懐いた家ネコのようだった。

 ポカンとしていると、サタヒコが言う。


「お久しぶりです、ハイセくん、ヒジリさん」

「あ、ああ……どうも」

「うにゃ~」

「そいつ、猫かなんか?」


 すっかり毒気を抜かれたヒジリが、気持ち悪いモノを見るようにディシアを指差す。

 サタヒコは言う。


「いえ。まあ……私の妹みたいなもんですねえ。このとおり、懐かれてまして」

「アンタ、既婚者じゃなかったっけ?」

「あ? おいオマエ、既婚とかカンケーねえし。好きなモンは好きなんだ。ブチ殺すぞ」

「ああん? なになに、喧嘩する? アタシはいいけど?」


 再び睨み合うヒジリ、ディシア。

 サタヒコは、ディシアを撫でながら顎も撫でてやる。

 ハイセはヒジリの首根っこを引っ張った。


「おい、やめろっての」

「ぐぇっ!? ちょ、引っ張んないでよ!!」

「ふぁぁ、サタヒコ様ぁ、もっと撫でてえ」

「はいはい。喧嘩はダメ、ダメですよ」


 話進まねえ……と思いつつ、ハイセたちはようやく、訓練場に向かうのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ピアソラといいディシアといい、大きくて有名な組織の幹部クラスにこんな心の醜い人間が居たらすぐに噂が広まって評判が下がるだろうに、ありそうなパターンだと権力にモノを言わせて口封じしている? レ…
[一言] エクリプスVSサーシャが気になってたのにお預けとは
[気になる点] サタヒコもこのディシアと揉めた場合もサーシャみたいの絡まれた相手が悪いみたいな感じに言いうのかな? [一言] エクリプス✕サーシャ戦が盛り上がり始めたのに中断か~。決着つけてからの方が…
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