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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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番外編 サーシャVSエクリプス①/銀と明星

 サーシャは、クラン『セイクリッド』の自室にある部屋で、装備を整えていた。

 銀の鎧、羽根付きのサークレット、ガントレットにグリーブ。鎧には刃を仕込んだマントも付けられており、これまでとは全く違う装備となっていた。


「……よし」

「サーシャ、そろそろ出発~……って、おお!!」

「まあ!!」


 部屋に入って来たロビン、ピアソラは目を輝かせる。

 サーシャの新装備。魔界でどのような脅威にも対処できるように、装備を根本から見直し、セイクリッド専属の鍛冶師に依頼して作らせた、新しい鎧である。

 ロビンは言う。


「カッコいいねぇ~!! 魔界行きの装備!!」

「ああ。これまでの装備とは違う……全力のさらに上を出せそうだ」


 サーシャは剣に触れず『闘気』を発動させる。


「これまでは、剣に触れた状態でなければ全力の闘気は発動できなかった。つまり……剣が手から離れると、私は途端に無力になる」


 クレアのように双剣ならば、片方の剣がなくても闘気を維持できる。さらに片方の剣に闘気を込めたまま手から離し、遠隔操作などもできる。これまでも小さなナイフを携えることで、剣を引き寄せたりはしていた。

 だが、サーシャはクレアほど器用ではない。仮に剣を二本持っても、正確な闘気のコントロールは不可能だろう。

 闘気の細かい操作に関してはクレアのが上。だが、総合的な闘気量、爆発力ではサーシャが遥か上をいく。


「この鎧には刃が仕込まれている。直接攻撃に使う刃ではない、私が常時、闘気を放出するための刃。そしてガントレットにも刃が仕込まれているから、剣がなくても常に強化可能。そしてマント……これは『虹色奇跡石(セブンスターナイト)』を溶かし、漬け込んだ繊維で編まれた特殊なマントだ。闘気を発動させれば自在に動かすことができるし、身体を覆えば盾にもなる」


 サーシャは、オモチャを与えられた子供のようにウキウキ説明している。

 ロビンもウンウン頷いた。


「あたしもピアソラも、タイクーンもレイノルドも新装備ゲットしたもんね。魔界行きの準備は万端っ……って、どしたのピアソラ」

「……サーシャが素敵すぎて」


 ピアソラは鼻を押さえていたが、ぼたぼたと鼻血が零れ落ちていた。

 ロビンが慌てて手拭いで顔を押さえ、ゴシゴシ磨く。そのせいでピアソラの顔は真っ赤になってしまい……サーシャが思わず吹き出すのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 一方、エクリプスは。

 ハイセの宿にて。ハイベルク王国での拠点として使っている宿の自室。

 魔法により空間を拡張させ、豪華な調度品が数多く並んでいる。

 現在、エクリプスは全裸で、鏡の前にいた。


「…………」


 これから、サーシャと全力で戦う。

 エクリプスはS級冒険者序列二位。

 その実力は未知数……と、言われている。だが、はっきり言ってハイセ以外に負けるつもりはない。

 

「…………十八歳。女としてはまだ未熟ね。ハイセに愛してもらうには、まだまだ磨きをかけないと」


 ちなみに、毎朝こうして裸になり鏡でスタイルをチェックしている。この時間はただの日課だった。

 エクリプスは確認を終えると、着替え始める。


「サーシャ。S級冒険者序列四位。純粋な戦闘力ではおサルさんと同じ。でも……命を賭けた勝負となれば、おサルさんのが上ね」


 おサルさんとはヒジリのことだ。

 ヒジリは、戦うことを生き甲斐にしている。命を賭けた全力勝負を挑むことになれば、サーシャは恐らく負ける……なぜなら、サーシャにヒジリの命を奪う覚悟がない。自らの生きることに執着し、勝負で奪ったヒジリの命を受け止めるだけの覚悟はない。

 逆に、ヒジリはサーシャを殺す覚悟はあるだろう。純粋な闘争では、ヒジリのが上……順位の上下はそこに出ているとエクリプスは思っていた。

 だが、今のヒジリはわからない。女に目覚め、恋をした今のヒジリが、かつてのように闘争心剥き出しで戦いを挑むことなど、あるかどうか。


「まあ、どうでもいいわ」


 エクリプスは、戦闘用の衣装に着替える。

 エクリプスは『マジックマスター』……使う武器は魔法。剣や槍などは持たない。

 衣装は、胸元を強調した儀礼服で、スカートにブーツ。そしてとんがり帽子。魔法を込めたマントを羽織ると、完全な『魔女』スタイルだ。

 ここに杖でも持てば魔女なのだが。


「……久しぶりに派手な戦いになりそう。魔界でどんな敵が出るかわからないし……私も、久しぶりに全力を出しておこうかしら、ね」


 エクリプスは、アイテムボックスから二冊の本を取り出した。

 白い本、そして黒い本。豪華な装飾が施され、エクリプスしか読むことのできない魔法文字が刻まれた、エクリプスの『武器』である。


「ふふ。サーシャ……安心してね、殺しはしないから」


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイベルク王国郊外にある平原。

 かつて、ヒジリとサーシャが戦った場所に、二台の馬車がやってきた。

 一台目からサーシャ、二台目からエクリプスが降りて来る。

 二人が向かい合うと、その間にガイストが割って立った。


「ではこれより、決闘を始める。立会い人はワシ、レイノルド、アポロンの三名……やれやれ、七大冒険者同士の決闘など本来は認めることはないが……今回は特例だ」

「ありがとうございます、ガイストさん」

「感謝するわ」


 すると、S級冒険者にして『聖王』の能力を持つ教会の枢機卿、アポロンが割り込む。


「ンフフ。二人ともいい顔してるわねぇ~♪ 女の子同士もイイ!! 怪我してもキレーに治してあげるから、暴れていらっしゃいネ♪」

「そーいうこった。へへ、S級冒険者として決闘の立会い人とは、光栄なこった」


 レイノルドがおどける。

 かなり離れた場所には、チーム『セイクリッド』の面々、エアリア、ウル、なぜか現れたS級冒険者序列六位のシグムントがいた。

 

「わっはっは!! 凄まじい闘気を感じて来てみれば、なんとも面白そうな場に巡り合えた!!」

「うんうん、あたいもワクワクするぞ!!」

「……やれやれ」


 シグムントは笑い、エアリアも隣で笑い、ウルが帽子を押さえ苦笑する。するとロビンがウルの背中をバシッと叩いた。


「お兄ちゃん、あたしの依頼、ちゃんとやってよね!!」

「へいへい。派手な戦いに刺激されて近づいて来る魔獣を始末する……だろ。可愛い妹の頼み、ちゃんと聞くから安心しな」

「うん。報酬に、今度デートしてあげるね」

「そりゃ光栄。ははは」


 こうして、S級冒険者序列二位『聖典魔卿(アヴェスター・ワン)』エクリプス・ゾロアスターと、S級冒険者序列四位『銀の戦乙女(ブリュンヒルデ)』サーシャの決闘が始まろうとしていた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ユーフラテス川 こんなことは到底起こりません、友人よ、作者は自分よりあのゴミサーシャを愛しています。 彼はそのゴミのイメージを美化するためだけに物語の主人公や他のキャラクターさえ利用します …
[一言] 新装備でパワーアップしたサーシャがエクリプスに勝って、今度は負けたエクリプスの為にハイセがエクリプスの新装備を用意して、再戦したエクリプスがサーシャに勝って、ハイセとエクリプスの仲が深まると…
[一言] 連投失礼 勝手な考察を追加すると、ソロでの活動や迷宮(特に空中城&箱庭)での経験があっての装備更新は妥当かなと。 ※そういえば、ガイストに褒賞を問われて新しい防具は欲しいとか言ってましたね…
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