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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ノブナガを知る旅⑭/セイファート騎士団

 聖十字アドラメルク神国に到着した。

 正門前でハイセたちは馬車から降り、支援者二人と握手をする。


「世話になった。メリーアベルさんによろしく伝えてくれ」

「はい。こちらこそ、楽しい時間でした。先の道中、お気を付けて」

「ああ、あんたらも……まあ、必要ないか」


 兄妹の支援者は一礼し、そのまま引き返して行った。

 去り行く馬車を見ながらヒジリは言う。


「あーあ、快適だったのに。待ってもらってハイベルグ王国まで送ってくれたらなー」

「我儘言うな。そんなに快適な旅がしたいなら、支援者雇って帰ればいいだろ」

「まあそれもありかな。ふふん、帰りはそうしよっかなー」


 ヒジリはウキウキしていた。

 ハイセはどうでもいいのか、聖十字アドラメルク神国の象徴である『大十字架』を見上げ、ポカンとしているクレア、リネットに言う。


「まず、宿を確保する。その後は自由にしていいぞ」

「「…………」」

「おい。聞いてるか?」

「あ、す、すみません師匠……あれ、すごいです」


 リネットは大十字架を指差していた。

 クレアもボーゼンと眺めており、ラプラスは両手を合わせ、さらに膝を付いて祈っている。

 

「……近くで見学もできる。プレセア、こいつらの案内してやってくれ」

「いいけど。今夜お酒に付き合ってくれる? そのくらいの報酬はもらうわよ」

「……まあ、いいか」

「じゃあじゃあ!! アタシはハイセと一緒に行くわ!! サタヒコにリベンジしたいし!!」

「お前な、今日は申請だけだ。会えるまで何日か必要になるかもしれないぞ」

「えー? じゃあ、権力使おう!! アタシとアンタ、S級冒険者序列一位と三位が来たって言えばいいじゃん!!」

「……名乗りはする。でも、それで順番をどうこうするつもりはない」


 ハイセは歩き出すと、プレセアが並び、ヒジリがブーブー言いながら後に続く。


「姉弟子、姉弟子、行かないと!!」

「え!? あ……み、見惚れてました。師匠、あの十字架すっごい……って、師匠は?」

「もう行っちゃいました!! ラプラスさんも早く!!」

「お待ちを、祈りを捧げている最中ですので……」


 ハイセたちは『聖十字アドラメルク神国』へ到着。

 ノブナガの仲間最後の一人、クロスファルドへ会いに行くのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 宿を確保すると、ハイセは出て行った。

 ヒジリも一緒に出て行き、残されたのはプレセア、クレア、リネット、ラプラスの四人。

 宿の外に出て、プレセアは言う。


「聖十字アドラメルク神国の象徴、『大十字架』の近くまで行けるわ。私が案内する」

「わあ、プレセアさん、詳しいんですか?」

「まあ、そこそこね」


 プレセアが歩き出すと、他の三人も付いて来る。

 リネットは周囲をキョロキョロ眺めながら言う。


「ここ、まっしろな建物が多いです」

「神が降臨した国、なんて言われているからね。神様は白を好むそうよ」

「へえ、白……」


 建物は白く、石畳も白い。街灯も白く塗られており、不思議な街並みだった。

 登り道が意外と多く、リネットは汗をぬぐう。


「けっこう、きつい坂です」

「そうですか? 私は普通ですけど」

「姉弟子は鍛えてますから……ほら、ラプラスさんも」

「ぜえ、ぜえ、ぜえ……か、神よ」


 ラプラスは、上り坂で苦戦していた。

 プレセア、クレアは冒険者なので、この程度の坂道で苦戦することはない。

 クレアは、ラプラスの背後に移動し、その背中を押す。


「はいはい、ガンバです!!」

「おおう、これは楽ちん」


 一気に速度が上がり、四人は『大十字架』が見える広場に到着する。

 聖十字アドラメルク神国のシンボルである大十字架。その奥は平原となっている。

 クレアは、平原を眺めつつ言う。


「平原の手前は……墓地、ですか?」

「ええ。その奥が『破滅のグレイブヤード』……人間界屈指の危険地帯ね。一年少し前、私とハイセとヒジリ、『セイクリッド』の五人でここを攻略したわ」

「いいなあ。私もその時から一緒に行きたかったです」

「あの、プレセアさん……あの十字架って、大きいだけなんですか?」

「違うわ。あれはいろいろな『能力』の力で作られた、町を守るバリアみたいなものね。あの十字架の向こう側から見ればわかるけど……町の姿を隠す効果があり、さらに魔獣除けの効果もあるの」

「へえ~、すごいですね」


 しばし、三人で十字架を眺めていると、いつの間にかいなくなっていたラプラスが戻ってきた。


「ふふふ、いいお土産がたくさん買えました。見てください、この大十字架を模したミニ十字架を……これは私の新たな装備として、胸に下げておきましょう」


 ラプラスの胸には『ミニ十字架』が下がっていた。それを手に取り、静かに祈り始める。

 周りを見ると、広場には様々な露店があり、リネットのお腹が鳴る。


「あぅ……」

「ふふ。お昼にしましょうか」

「私、甘いの食べたいです!! ラプラスさんは?」

「神は言いました……『糖分大好き』と」


 四人は露店巡りをし、お腹を満たす。

 食べ歩きをしながら、リネットは言う。


「本当に、楽しいことばかりです。わたし……こんな幸せでいいのかな」

「いいに決まってるわ。リネット、人生は一度きり、楽しまないと損よ」

「そうですそうです!! 私だって、師匠や皆さんのおかげで楽しいです!! こんな楽しい旅行にまで行けて、嬉しいですっ!!」


 正確には旅行ではないが、ハイセ以外は遊びまくってる。

 リネットも、楽しい時間だと思っていた。


「……わたし、師匠に感謝しなきゃ。本当に、師匠のおかげ」

「なら、帰ってきたら食事にでも誘いましょうか。ふふ、食事の後は、私とお酒を飲む時間だけどね」

「あー!! いいなあ、プレセアさん、私も」

「ダメ」


 四人は楽しそうに会話しながら、聖十字アドラメルク神国を満喫していた。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ハイセの売りだった強さも、同じ武器マスターの知識チートのノブナガに勝てない分下がってしまった。 元々ハイセの強さって微妙だったけど、闇落ちストイックキャラの特徴なんて強さくらいなのだから、弱…
[一言] 本来ならサーシャ達セイクリッドがハイセと絡まないからストレス無く読めるはずが・・・プレセアの「一年少し前、」って所って可笑しくないかな?セイクリッドってクラン設立からまだ2年も経って無いのに…
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