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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ノブナガを知る旅④/アイビス

すみません、盛大に勘違いしていました。

前話で転移できるのは十名と書きましたが……ハイセ、クレア、プレセア、ヒジリ、エアリア、エクリプスで六人。そしてサーシャ、レイノルド、タイクーン、ピアソラ、ロビンで五人……十一人でした。数間違えてました!! 申し訳ございません!! 十一人に変更します!!

 クラン『神聖大樹』

 クランマスターであるアイビスが植えた『神聖大樹(ユーグドラシル)』を象徴とした、亜人種族が多く所属するクランであり、現在のクラン加入冒険者チームは六百ほど。

 全て、亜人種族のチームであり、森国ユグドラに持ち込まれる冒険者依頼の約七割を処理している……最近は、クランの仕事の一つに、『玄武王の世話』が入り、マスターであるアイビスが自ら、引っ込み思案でシャイな亀の世話を買って出ているとか。

 ハイセたち六人は、『神聖大樹』の入口へ。


「久しぶりに来たけど……相変わらずデカいな」

「すっごい木よね。素手で登れるかな?」

「さ、さすがにそれは厳しいんじゃ……」


 大樹を見上げるヒジリ。クレアがやや引いている。

 リネットはポカンとして、プレセアは慣れたもので驚きもない。

 ラプラスも驚いてはいないが、ぼけーっと大樹を見上げている。


「クランの入口に行くぞ」

 

 ハイセは、『神聖大樹』の入口へ。

 一度入ったことがあるので、問題なく進むことができた……そして。


「お久しぶりでございます、ハイセ様」

「確か……ダグラス、だっけ」

「はい。クラン『神聖大樹』サブマスター、ダグラスです」


 エルフ族の、初老の男性が入口の前に立っていた。

 まるで、ハイセが来ることを知っていたかのように待ち構えており、クレアたちは「?」と首を傾げ、プレセアは知っていたかのように頷く。


「アイビス様は現在、『アクパーラ』にエサをあげに向かいました。間もなく戻られると思いますので……しばし、お待ちください」

「……餌? あの亀、餌なんて食うのか?」

「いえ。食べたことはありません。エサにつられて顔を出さないか、アイビス様が試しておられまして」

「……暇なのかね」


 ハイセが言うと、ダグラスは苦笑。

 そして、ダグラスの案内で『神聖大樹』の中を進む。


「わあ……」


 リネットは、全てが物珍しいのか、キョロキョロして目を輝かせる。

 無意識なのか、ハイセのコート袖をしっかりつかみ、離れない。

 クレアは、ハイセの腕を取りギュッとしがみつく……リネットに対抗しているのか、姉弟子としての意地なのかはわからない。

 そして、『神聖大樹』の上層へ向かう『昇降機』に乗ると、一気に上層へ。


「わわわあっ!?」

「怖いならしがみついてていい。それとクレア、離せ」

「えー? 師匠、妹弟子には優しくて、姉弟子の私には厳しいですー」

「うるさい。ヒジリにでもしがみついてろ」

「なんでアタシなのよ。ねーねーおっさん、今夜は宴にしない? お肉いっぱい出す宴会とか、前みたいにこのクランの腕自慢との勝負とか!!」

「ははは。それもいいですな」

「神は言いました……『頼む、エルフの虫料理は勘弁して』と」


 楽しそうな会話も束の間、上層階へ到着。

 巨大で太い枝の上を進み、一行は『応接邸』へ。

 ここは、クランの来客が通される豪華な造りの家で、家そのものが応接間となっており、アイビスが直々に話をする場合に使われる場所……以前、ハイセたちは使うことがなかったが、今回は使うようだ。


「しばし、お待ちください」


 そう言い、ダグラスは出て行った。

 さっそく、ヒジリは部屋にあったロングソファへダイブ。


「いいソファーね。ふわふわで寝たくなっちゃうわ~」


 室内には、ロングソファから高級なテーブル。サイドにはユグドラの調度品が並んでおり、床には森をイメージした絨毯が引かれ、花瓶には綺麗な花が差してある。

 ラプラスはロングソファに横になると、すうすうと寝息を立て始める。

 プレセアは、壁にかけられていた絵画を見ていた。ハイセもその絵を見てため息を漏らす。


「……いい絵だな」


 神聖大樹をモチーフとした絵画だ。その発言を聞き、プレセアは目を見開き……頬を染める。意味不明な行動にハイセは首を傾げると。


「……これ、私の作品」

「は?」

「……私、趣味は薬草栽培だけど、暇な時は絵も描くの。以前、アイビス様のお手伝いをした時、私の描いた絵を見て気に入られて……まさか、ここに飾るなんて思わなくて」

「……上手いぞ。お世辞じゃない」

「……それ以上言わないで」

「そういや、宿にカフェスペースを設けるそうだ。お前の絵を飾ったらいい雰囲気になるかもな」

「…………バカ」


 プレセアはハイセを軽く睨んで肘で小突くと、そのままヒジリの隣に座った。  

 絵を眺めていると、部屋を散策していたクレア、リネットがハイセの傍へ。


「師匠……綺麗な絵ですね」

「ああ。お前にもわかるか?」

「はい。わたし……文字が読めなかったころ、絵本とかずっと見てて、絵を見るのは好きなんです」

「……描いたことは?」

「な、ないです。『能力』の修行で、剣の絵を描いたりはしたけど……わたしの絵なんて、らくがきみたいで」

「そんなことない。興味があることはなんでもやってみろ」

「そうですそうです!! リネット、お絵描きしましょう!!」

「そういうお前は絵を描けるのかよ」

「え、えっと……」


 どうやらダメそうだった。

 するとここで、応接邸のドアが開き、ダグラスとアイビスが入って来た。


「ほうほうほう。五人……ハイセ、順調のようじゃな」

「……意味不明なんですけど」


 いきなり現れ、ニヤリと笑い、アイビスは登場した。


 ◇◇◇◇◇


 ダグラスがソファーに座布団を用意すると、アイビスは寝転がる。

 煙管を手に取ると、ダグラスは煙草を入れて火をつけた。


「で、何用じゃ? ワシは『アクちゃん』のお世話で忙しくての」

「アクちゃん……って、あの亀ですか?」

「うむ。引っ込み思案での。最近は少しだけワシの声に反応してな。あと二十年もあれば、目を合わせることができるやもしれんぞ」

「そりゃずいぶんと気の遠くなる話で……」


 ハイセは、何を言えばいいのかわからなかった。

 アイビスは、クレア、プレセア、ヒジリ、リネット、ラプラスを順にみる。


「嫁紹介、というわけではないかの」

「違います」

「違わないし!! アタシ、こいつと結婚するから!! ふふん、妻よ妻!!」

「ほほう、これはこれは、いい女じゃの」


 ヒジリがハイセの腕を取り胸を押し付けてくる。ハイセはイヤそうに振りほどこうとしたが、ヒジリの腕力と腕捌きに、なかなか取り外せない。


「ハイセ。こうやって好いてくれる女は大事じゃぞ? なによりそのヒジリ、実にいい身体をしておる。ふふふ、ノブナガのようになれば、人生きっと楽しいぞ?」

「あの、そろそろ本題に。実は……そのノブナガについて、聞きたいことがあるんです」

「む、なんじゃ?」


 ハイセは、これまでのことをかいつまんで説明した。

 禁忌六迷宮最後の一つ、そして、現魔界の大魔王である『カミシロ・レオンハルト・ヒデヨシ』の名前を。

 

「魔界に行く前に知りたいんです。俺と同じ能力を持つノブナガは、最後にどうなったのか……そして、魔界の大魔王と何か関係があるのかを」

「…………」


 アイビスの表情が険しくなる。

 煙管の灰を床に落とすと、ダグラスが一瞬で灰皿を手にし、灰が床に落ちることはなかった。

 アイビスはため息を吐く。


「まあ……お主の想像通り、ノブナガは魔界に行った。そして、そこで没した……らしい」

「……やっぱりそうですか」


 可能性は、高かった。

 カミシロ・レオンハルトという苗字は非常に珍しい……というか、ノブナガ以外に考えられないだろう。だったら、魔界に渡り、子孫を残したと考えるのが普通だ。


「あやつが五十代半ばのころか。やつは『ニホンに帰る手掛かりを見つけた』と言い、ワシら四人の反対を押し切って魔界へ行った。当時、我々『ヒノマルヤマト』の四人ですら、魔界なぞ存在すら怪しい場所を信じておらんかったし、『ネクロファンタジア・マウンテン』なぞ名前だけの場所だと思っていた……だが、ノブナガは存在を信じていた」


 アイビスは、煙管をクルクル回し、ソファーに座り直す。


「おっさんのくせに、ガキのように目を輝かせてノブナガは言った。『人生は冒険であり、俺は死ぬまで冒険者だ』とな……あいつは『武器マスター』の力で魔界に渡り、魔界に国を作り、初代国王となった。一度だけ、あいつはこちらに帰って来た……七十代後半、いつ死んでもおかしくない様子じゃったが、あいつは子供の頃と変わっていなかった。『国を作った、俺の子供たちもいる』とな……本当に、馬鹿な男じゃった」


 アイビスは、顔を歪めて泣きそうになっていた。

 だが、ハイセは別のことを考えていた。


(魔族が俺の武器……銃を知っていたのは、ノブナガ経由。魔界の国はノブナガが作ったってことでいいのか? 技術の発展はノブナガの仕業? 興味深いな……)


 考え込んでいると、アイビスは言う。


「すまんな。ワシにとってノブナガの思い出は、誰にも渡したくない、ワシだけの宝物じゃ……これ以上は、語りたくない」

「いえ、ありがとうございます……貴重なお話、感謝します」


 ハイセが頭を下げると、クレアとリネットも慌てて頭を下げた。

 アイビスは微笑み、ハイセに確認する。


「話を聞くのはワシだけか?」

「いえ。『ヒノマルヤマト』の全員に聞こうかと」

「なら、次はバルガンのところか。あいつは寡黙じゃが、お前の話は聞くだろう。さて、今夜は宴にしようかの。ダグラス、用意せい」

「はっ、すでに準備を始めています」


 こうして、ハイセはアイビスから貴重な話を聞くことができた。

 銃を知っていたのは、魔族がノブナガと関係があるから。 

 ハイセは、他の三人からどんな話を聞けるのか、今から楽しみになるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[一言] ヴァイスはアイテムボックスに入れる事が出来ると予想
[良い点] 人数の変更があったのは素直に良いと思う。 [気になる点] 作者様が最初にメンバー書いてるけどそのメンバーで確定で良いのかな?正直現時点で最高戦力のヴァイスを外すのには「?」ってなるけど。 …
[良い点] 作者さんがコメントを見ていたこと 今までどれだけ荒れても放置してたから よっぽど寛容なのかコメント欄を全く見てないから気にしてないのかと思ってた。 自由にコメントさせてくれる作者さんに感謝…
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