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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十一章 魔界への道

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ノブナガを知る旅②/森国ユグドラへ

 ハイセたちは、森国ユグドラに向けて出発した。


「クレア、お菓子あるー?」

「あ、はい。ヒジリさんってお団子好きですか?」

「大好き!! ほらほら、リネットも」

「あ、ありがとうございます」

「神は言っています……『私も欲しい』と」

「そういえばハイセ、ユグドラへ行く道だけど、新しい森道が開拓されたの。『ガオケレナ森道』っていうんだけど」


 ハイセは、出発して十分でうんざりしていた。

 クレア、リネット、ヒジリ、プレセア、ラプラス。弟子二人だけならともかく、頼んでもいない同行者が三人……姦しいどころじゃない。

 だが、ヘタに断っても無視して付いて来るだろう。なので、ハイセは気にしないことにした……正直、そうしないと怒鳴ってしまいそうである。

 チラッとリネットを見て、ハイセは言う。


「新しい森道ってのは、険しいのか?」

「観光用の森道よ。私が開拓に関わった道だから、安全は保障するわ」

「じゃあ、そこでいい」

「ふふ……リネットを気遣った? 優しいのね」


 ハイセは無視。周囲を見ながら言う。


「クレア。まだハイベルグ王国近辺だから魔獣は少ないが、警戒はしておけよ」

「は、はい」

「ふん。魔獣なんてアタシが蹴散らしてやるわ」


 ヒジリは拳をパシッと合わせ、ハイセの隣に並ぶ。


「ねーねーハイセ。これからいろんな国を回るんでしょ?」

「森国ユグドラ、聖十字アドラメレク神国、ディザーラ王国、『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』の四つだ。二ヵ月以内には戻る」

「ほうほう。面白そうねー」

「お前な、ヒマだから付いて来る気かよ」

「ふん。まあ毎日毎日依頼依頼で疲れたから、旅でもしてリフレッシュしたいのよ。まだ十八の若い女なのよ? 青春ってやつよセーシュン」

「アホか」

「アホじゃないし!! それよりアンタ、ちゃんとアタシの告白考えてくれたんでしょうね?」

「…………告白?」


 本気で意味不明だった。ハイセは首を傾げる。


「アタシを妻にするって話。今じゃなくて、まあ十年以内? 子供は欲しいけど、若いうちにいろいろ《経験》はしたいわねー……どう? 旅の間に経験しとく?」

「…………お前、本気でアホなのか?」

「あぁん!?」

「俺は、女に現を抜かすほど暇じゃない。都合のいい男が欲しけりゃ、それこそ旅に出てお前以上に強いヤツ探せ」

「むうう……」


 ハイセはシッシと猫を追い払うように手を振る。ヒジリは頬を膨らませ、ハイセの腕にしがみついた。


「言っておくけど、諦めないからね。アンタのところに押しかけてやる」

「…………」

「ま、そーゆーことで!!」


 ヒジリは離れ、プレセアの元へ。


「ほうほう。ダークストーカー様はヒジリ様に求婚されていると。モテモテですね」

「うるさい」


 いつの間にか現れたラプラスを追い払い、ハイセはため息を吐くのだった。


 ◇◇◇◇◇


 その日、『ガオケレナ森道』の近くで野営をすることに。


「いいですか!! リネット、テントの張り方は教えた通りです!! ささ、やってみましょう!!」

「は、はい姉弟子!!」


 クレアは、リネットに『野営の準備』について指導している。

 なんだかんだで、クレアは冒険者としての経験は積んでいる。一人で野営をしたことも何度もある……未だに、忘れ物をしたりすることはあるが。

 ヒジリ、プレセアはすでに支度を終え、ハイセも自分のテント近くで焚火を始める。


「クレア。リネットの世話は任せたぞ」

「はい!! って……師匠、一緒にご飯作らないんですか?」

「妹弟子を育てるのは姉弟子の役目だ」

「確かに!! よーし、リネット、私と頑張りましょう!!」

「は、はい姉弟子」


 姉弟子、という言葉にすっかり弱くなったクレアは、リネットと一緒に焚火の準備を始め、かまどを組んだり、火の熾し方を教えている。

 ヒジリは、デカい肉の塊を串に刺して豪快に焼き、プレセアはクッキーのような保存食を食べながら読書していた。

 思いも思いに夕食を取っていると、ラプラスがハイセの隣に。


「ダークストーカー様。私の食事は?」

「お前雇ったのは俺じゃない。プレセアからもらえ」

「もらいました。でも、ボソボソしたクッキーだけじゃ足りません……お肉」

「お前、アイテムボックスは?」

「寝具や着替えのみです。食事はダークストーカー様から」

「なんで俺なんだよ。ったく……ほら」


 ハイセは、アイテムボックスから肉串を何本か出しラプラスに押し付ける。

 すると、青い顔をしたクレアとリネットが来た。


「あの、師匠……野菜炒めを作っていたら、火力が強すぎてコゲコゲに……」

「ううう、私が火の加減を間違えたせいで……」

「……お前らなあ」


 ハイセはため息を吐き、アイテムボックスからホットサンドを出す。

 二人は顔をほころばせ、嬉しそうにハイセの隣で食べ始めた。


「ハイセ、私にもちょうだい……少し物足りないわ」

「アタシも!! 肉塊もう食べちゃったわ」

「…………」


 なんだかんだで、みんなで夕食を食べることになるのだった。


 ◇◇◇◇◇


 翌日。

 プレセアの案内で『ガオケレナ森道』へ。

 森道の横幅は広く、冒険者や観光客、さらにユグドラのエルフとすれ違う。


「なんかすごい人多いわね」

「ええ。ユグドラに続く道で最も広く、最も安全、最も近く、最も楽しい街道だもの。今までのユグドラは亜人種が住まう国として周知されていたけど、今では人間の移住者も増えてるし、流通も盛んになっているのよ」


 ヒジリの質問にプレセアが答える。

 ハイセは周囲を警戒するが、確かに魔獣の気配は感じない……恐らく、エルフの警備隊が周囲の魔獣を狩っているのだろう。

 半日ほど進むと、高台の大きな広場に出た。


「……ここは」

「アクパーラ広場。すごいでしょう?」


 広場から見えたのは、巨大な『亀の甲羅』だった…かつて彷徨ったその広大な甲羅、何処まで続くのか先は霞んでいる。

 甲羅の背には木が生えており、なんとも不思議な光景だ。


「師匠、あれってまさか」

「ああ。玄武王だったか……は、見世物になってるとはな」


 この世で最もすばしっこく臆病な亀。かつては『ガオケレナ』という七大災厄に操られていたが、自我を取り戻した瞬間、周囲の気配に怯えて顔や手足を引っ込めてしまったようだ。おかげで、あのまま動くこともできず、今では一部が観光名所となっている。

さらに、ユグドラのエルフたちから背中にある『森』が貴重な薬草の宝庫として報告され、ユグドラ王家が管理することにもなっている。


「アイビス様が、アクパーラをペットみたいに毎日可愛がっているわ。何十、何百年かかるかわからないけど、人前でも怯えないよう、心を開くって」

「気の遠くなる話だ。まあ、好きにやってくれ」

「わぁ~……」


 リネットは、初めて見る光景に目を奪われていた。

 同じくラプラスも「おお……」とアクパーラを眺めている。

 ハイセからすれば、苦労して攻略した禁忌六迷宮の一つで、ただのデカい亀の甲羅にしか見えない。

 ヒジリは、ウンウン頷いて言う。


「いやー、あの亀に寄生していたデカい木、楽しい相手だったわ。また戦いたいわねー」

「うう……私、もう戦いたくないですぅ」


 クレアはもう戦いたくないようだ。

 いつまでも眺めているわけにはいかないし、甲羅の向こう側にデカい『樹木』が見えた。


「数日中にクラン『神聖大樹』に行けそうだ。おい、行くぞ」


 こうして、なんだかんだで観光しつつ、ユグドラ王国沿いにあるクラン『神聖大樹』に向かうのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ハイセは、サーシャπを揉みしだこうとした時に、『』のタガが外れる事を怖れていましたね。 愛だの恋だのには葛藤はあるのでしょうから、内面描写を入れてからの「女に現を〜」なら、ヒジリに対してイ…
[一言] 葉霧ハイセは最強になるために愛を求めている人なので、彼女が本当に自分を好きになったとは信じていないのかもしれません。 そう、彼はサーシャを愛しており、彼女も彼を愛していると言っているので、彼…
[一言] ハイセはヒジリに塩対応なのもそうだけど、サーシャに甘々対応なのも読んでてよくわからない。ハーレムにしないなら主人公の周りに女性キャラどんどん追加する意味がわからない。
感想一覧
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