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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十九章 しばしの休息

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穏やかな時間

 ある日、サーシャはピアソラとロビンの三人で買い物に出かけていた。

 三人は私服であり、武器などは持っていない。

 ピアソラはニコニコしながらサーシャの腕を取り、何故か自分の胸に押し付けていた。


「うふふ。久しぶりのデート、楽しいですわね」

「ピアソラ。あまりくっつくな」

「ふふん。見せつけていますの。私とサーシャの仲の良さを!! こうすることで、余計な『ゴミムシ』がサーシャにくっつかないように!!」

「ゴミムシ……全く、お前と言う奴は」

「ねーねー、少しお腹空いたし、カフェでも行かない?」


 ロビンが新しくできたカフェを指さす。

 断る理由がないので、三人はカフェへ。

 それぞれ好きな物を頼み、サーシャは紅茶を飲んだ。


「こうして休日に三人で出かけるのも久しぶりだな」

「だよね。以前まですっごく忙しくてなかなか出かけられなかったけどー」

「ふふふ。デートの時間が増えるのはいいことですわ!!」


 所属チームが減り、クラン『セイクリッド』も余裕ができた。

 だが依然、加入申請は多く、持ち込まれる依頼も多い。だが『セイクリッド』の方針で、クランの規模はこれ以上大きくしないことにした。

 それでも、五大クランの一つとして規模は大きく、所属しているチームの練度も高い。

 クランを離れたチームは自らのクランを立ち上げており、『元セイクリッド所属のクラン』として信用されるなど、『セイクリッド』の影響はなお大きい。

 しばし、三人の時間を楽しんでいると……意外も意外。


「あれ、タイクーンじゃん」


 ロビンが、新たに入って来た客を見て驚いていた。

 その客はタイクーン。手には数冊の本を持ち、珍しく私服姿だった。

 タイクーンもサーシャたちに気付く。


「キミたちか。休日を満喫しているようだな」

「タイクーンの私服、珍しいね……なんでこのカフェに?」


 ロビンが聞くと、タイクーンはチラッと店内にある本棚を見た。


「ここは知り合いが開いた店でな。秘蔵の本を出すと聞いたので様子を見に来た」

「あなた、知り合いなんていましたの? てっきり分厚い本がお友達かと」

「図書館司書だ。ボクの好みをよく把握していてな……おっと、話はここまでだ。では」


 タイクーンはカウンター席に座ると、店主と会話を始めた。


「いい店だ」

「どうもありがとうございます。長年の夢が叶いましたよ」

「ふ……ところで、おススメの本があると聞いたが」

「ふふふ。私のコレクションは目の前に」

「……む!?」


 カウンター席の内側、キッチンの壁に本棚があり、そこには古い本がたくさん収めてあった。しかも『店主の判断で貸し出します』とプレートが提げられている。

 タイクーンは目を見開く。


「ルイス・グスタブの書いた幻の自伝……!? バカな、この世に一冊しかない幻の書。彼が死んだ時に一緒に埋葬されたのでは……!?」

「実は、彼の妻が偽物とすり替えたのです。ご本人に確認し、筆跡の鑑定もしましたので本物で間違いございません」

「ど、どうやって手に……くっ、読みたい!! ああ、この本は土産だ。くそっ、レアな古書を用意したつもりだが、その本を前にすると劣って見える……!!」

「ふふふ。タイクーンさんには特別にお貸ししましょう」

「───!!」


 と、カウンター席では楽しそうな会話が続いていた。


「タイクーン。本当に楽しそうだな……あんな友人がいたのか」


 サーシャが紅茶を飲みながら言う。


「全く。タイクーン、顔もスタイルも悪くないのに、女性に興味ないのかしら」

「だよね。稼いだお金も本につぎ込んじゃうし」

「以前、タイクーンにパーティーでエスコートされたが、礼儀作法は完璧だった。まあ、愛想はなかったが」


 と、三人でお喋りしていると、今度は別の客が。


「……げっ」

「あ、サーシャさんたち!!」


 なんと、クレアとハイセだった。

 二人とも私服。しかも、クレアはハイセの腕にしがみついている。


「おい、いい加減離せ。あと離れろ」

「わかりましたよー、師匠ってば照れちゃって」

「お前がベタベタするからだろうが。あと、俺は用事あるから好きにしろ」

「はーい。あの、サーシャさんたち、ご一緒していいですか?」


 クレアはサーシャの元へ、そしてハイセはタイクーンの元へ。


「よう、タイクーン」

「来たか!! 早速だがこれを見ろ」

「こいつは……へえ、ルイス・グスタブの自伝か。確か本人と埋葬されたはずじゃ」

「彼の奥さんがすり替えておいたそうだ。彼ほどの偉人の自伝、埋葬するには惜しいと考えたのだろう」

「フフフ。ハイセさん、あなたもこれを読む権利がありますな」


 ハイセもまた、自然に会話に加わっていた。

 ピアソラは言う。


「今更ですが、あの男と一番仲がいいの、タイクーンかもしれませんわね」

「確かにねー、二人とも頭いいし、本好きだし、気が合うし」

「むむむ……師匠も楽しそうです」


 確かに、ハイセは普段より楽しそうだ。表情も柔らかく、自然に口元を緩めていた。

 サーシャはそんなハイセを眺め、クスっと微笑む。


「あ!! さ、サーシャ!! 今、あの男を見て笑いましたわね!? クゥゥゥなんか悔しいですわああああ!!」

「な、何を言っている。というかピアソラ、あまり店内で騒ぐな」

「あっはっは。ねークレア、このクッキー食べる?」

「食べます!!」


 穏やかな時間は、静かに、ゆっくりと過ぎていった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[気になる点] なぜこういった平和な日常回でプレセア・エクリプス等のキャラとの仲を深める話をしないのか疑問しかない。別に恋愛方面でなくとも普通にハイセを言い含めて買い物につき合わせる等の話なんかも出来…
[一言] 大した期間所属してなかった連中がクラン立ち上げて元セイクリッド所属で信用云々とかなんか詐欺っぽい
[一言] せっかくの日常回ならハイセがエクリプス、ヒジリ、クレアにも塩対応では無い絡みが見たいです。 ピアソラはただのセクハラ女で、それだけならまだしもヒステリックで嫉妬深いから嫌い。 ついでにレイ…
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