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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十八章 七大冒険者の会合

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会合が終わって

 会合は、無事に終わった。

 バルバロスは満足したのか、ガイストと共に笑いながら退室していく。

 他の冒険者たちも満足したのか、やや浮足立って帰って行った。その様子をハイセは見ていたが「たかが話し合いの何が面白いんだ」と、最後まで会合をやる意味があったのか理解できない。

 すると、エクリプスの元に、王女ミュアネが近づいていた。


「あ、あの!!」

「何か?」


 完全に緊張しているミュアネ。そして、完璧なまでの外面のエクリプスだ。

 ミュアネはエクリプスをチラチラ見ている……王女と貴族令嬢なのだが、何も知らない者が見ればどちらが王女なのか悩むところだろう。


「あの……え、エクリプス様。わたし、ミュアネって言います。その……」

「ミュアネ王女殿下ですね。もちろん存じておりますわ」

「は、はい!! その、わたし……あなたに憧れてまして。その~……ぜひ、お友達に」

「もちろん構いませんわ。ふふ、しばらくはハイベルグ王国に滞在しますので、機会があればお茶会でも開きましょう。私、こちらではまだご友人が少ないので、お相手してくださるとうれしいですわ」

「ぜ、ぜひ!! 最高級のお茶を用意して待ってます!!」


 ミュアネは嬉しいのか、お付きのメイドを置き去りにして走り去った。

 なんとなく眺めていると、サーシャがハイセの元へ。


「エクリプス……ああして見ると、完成された貴族令嬢のようだな」

「確かにな。王女相手には外面で誤魔化すんだろ」

「ふ……さて、会合は終わった。私はレイノルドたちと食事に行く。お前は?」

「帰る」

「そうか。それと……近いうち、お前に話がある」

「…………」

「そう警戒するな。禁忌六迷宮、最後の一つと言えばわかってくれるか?」

「……ああ」

「ふ、ではまた」


 サーシャは微笑むと、レイノルドたちの元へ。

 その背中を見送ると、プレセアとクレアがハイセの元へ。


「師匠、お疲れ様です!! もう、私の質問ちゃんと答えてくださいよー」

「うるさい。ったく」

「ハイセ。お疲れ様……ね、ご飯に行かない? サンドイッチのお店知ってるんだけど」

「……ああ。そろそろメシだしな」

「ヒジリも誘ったのだけど、あの序列六位の格闘家と肉を食べに行ったわ。エアリアも一緒よ」

「絶対一緒になりたくない面子だな……まあいい。メシ行くなら案内してくれ」

「ええ。ふふ、ミートサンドイッチもあるから安心してね」

「…………」

「あ、師匠にプレセアさん、私も行きますー!!」


 こうして、七大冒険者会合は幕を閉じた。

 会合の意味は何だったのか? 質問をすることが目的だったのか? ハイセにはよくわからない。

 サーシャは、この会合が『冒険者たちのトップである七人の戦う理由を、他の冒険者にも知ってもらうため』と推測した。

 答えはわからない。だが……きっと、質問を聞いた冒険者たちや、自分の戦う意味を改めて理解できたことは、決して無駄ではないだろう。


 ◇◇◇◇◇◇


 サーシャたちは、レイノルドの行きつけである食堂へ向かい、久しぶりに五人で食事をしていた。


「なんか、五人でご飯って久しぶりだよね~」


 ロビンがニコニコしながら言うと、ピアソラも笑顔になる。


「ええ。うふふ、サーシャと一緒!! ね、サーシャ」

「ああ。クラン運営も落ち着いてきたし、こういう機会は増えるさ」


 そう言うと、タイクーンが眼鏡をクイッと上げる。


「確かに……今は所属チームを四百まで減らした。減らしたというか独立のために後押しした形だが……業務も楽になり、ボクら『セイクリッド』も依頼を受けることが増えた。前は八百以上のチームを抱えていたが、やはり無理があったようだ」

「ってか、オレらは無理だったけど、おめーは普通に仕事してたよな」

「それはボクが優秀だからだ」


 レイノルドのツッコみに、当たり前のように返すタイクーン。ぶっちゃけその通りなのだからレイノルドも苦笑するだけ。

 サーシャは言う。


「五大クラン、か……チーム加入の申請は多いが、やはり今ほどの規模が私たちにはちょうどいい」

「同感だ。年に一度、加入申請の選抜でもすればいいだろう。今残っているチームはクラン立ち上げの予定がないS級冒険者たちと、初期から加入しているA級チームばかりだ。依頼の成功率も高く、我々が依頼を受けている間にクランを任せても何の問題もない」

「その通り。つまり……私たちも、最後の禁忌六迷宮に挑むことができるというわけだ」


 サーシャがそう言うと、レイノルドたちの空気が変わる。

 最後の禁忌六迷宮『ネクロファンタジア・マウンテン』だ。


「魔界にある山、だっけか」

「ああ。情報が全くないからどういう場所なのか未定。そもそも、魔界に行くことすらできないからお手上げ状態だ」


 レイノルドが肩をすくめ、タイクーンも悔しそうに言う。

 すると、ロビンが挙手。


「はいはーい。あのさ、魔界だっけ……あの子たち、ハイセのところにいる二人なら、なんか知ってるんじゃないの? ね、サーシャ」

「私も考えた。だが……魔界での生活は、あの二人には耐え難いものだったはず。今が幸せの最中である二人に、あまりつらい過去の話をして欲しいとは思わん……」

「サーシャらしいね。じゃあ、どうするの?」

「……ハイセに、話を聞く」

「むむむ……またあの男ですの?」


 ムスッとするピアソラ。するとタイクーンが察した。


「そういうことか。サーシャ」

「ああ。タイクーンは詳しく知っていると思うが、私たちは以前、魔族のカーリープーランと取引をした。私は何度か会話したくらいだが、ハイセはそれ以上に深く関係を結んでいた……もしかしたら、カーリープーランを通じ、魔界の情報を得ることができるかもしれん」

「それだけじゃない。もしかしたら……ハイセとカーリープーランを通じて、魔界へ行くことも可能になるかもしれないな」


 タイクーンが言うと、サーシャが「その通り」と言う。


「ハイセも、『ネクロファンタジア・マウンテン』を攻略することを見越して、カーリープーランとのつながりを作ったのかもしれん。一度、ハイセに詳しく話を聞いてみるべきだ」


 サーシャがそこまで言うと、一時的に会話が途絶えた。

 そして、ようやくサーシャたちのテーブルに、大皿料理がいくつも並ぶ。

 レイノルドが軽く手をパンと叩く。


「よし!! 話はここまで、メシにするか。ここは大皿料理専門で、量も多くて味付けも濃いのが特徴でな、腹いっぱいにまるまで食えるぜ!!」

「塩分過多……やれやれ、ボクは少しでいい。って、人の皿に勝手に盛るな!! なんだこの量は!?」

「つべこべ言うなって。ほれロビン、おめーも」

「やったー!! しょっぱいの好きかも~」

「私は自分でよそいますわ。塩分の取り過ぎはお肌に……ってサーシャ!! そんなにいっぱい食べるんですの!?」

「だ、だめか? お腹空いたし……」


 こうして、久しぶりに『セイクリッド』の五人は、楽しくも騒がしい食事をすることになるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] サーシャの口調&大食い、なんとなくウマ娘(シングレ)のオグリを彷彿させる。
[一言] ハイセの会合の感想と一致してるんだが作者は会合の内容を自覚してたのか・・・w 今回もお偉いさんに七大冒険者を利用された感が拭えない 害すとにはヘイト溜まるばかり それにしてもまたサーシャは…
[一言] 最強とか最高とか言ってるけどご都合展開(都合の良い助っ人が入る)と火力の力押しで迷宮攻略するハイセと彼に寄生して自力で攻略する気がないとしか思えないセイクリッドの面々。 普通迷宮攻略とか冒…
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