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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十七章 狂乱磁空大森林

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七大災厄『白帝樹ガオケレナ』②/空中戦

「「───……!!」」


 ヒジリとサーシャは、同時に振り返った。

 全く同じ動きだったのでクレアがビックリする。何かを察知した二人は一点を見つめ、動かない。

 そして、サーシャがヒジリに言う。


「……これまでにない気配を感じた」

「奇遇ね。アタシも同じ。隠れていたデカい気配が急に出てきたような……くふふ、ゾクゾクする」

「ハイセ、エアリアの二人が向かった方向……そしてこのタイミング。恐らく、二人が中心に到達し、何かをした」

「で……そのデカいのが現れて、バトル開始ってところね!! やっぱずるい!! アタシも参戦するっ!!」

「ああ。嫌な気配だ……さすがに、二人だけでは厳しいだろう」

「よっしゃ!! クレア、走るけど遅れないようにね!!」


 ヒジリが走り出す。

 そして、サーシャも言う。


「……なるべく配慮するが、ついてこい」

「馬鹿にしないでください!! 私だって体力には自信ありますから!!」


 クレアが走り出す。

 サーシャはその背中を見つつ、クスっと笑う。


「さて、ようやく本当の闘いになりそうだ。ハイセ、エアリア……すぐに向かう!!」


 サーシャは闘気を纏い、走り出した。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイセは、自動拳銃を右手に、左手で鎖を持ち銃を連射。

 弾丸を、飛んでくる『種』に命中させ地面に落とす。


「チッ……種と伸びる枝を落とすだけじゃ意味がねぇ!! おいエアリア、大丈夫か!!」

「ふん、問題ない!!」


 エアリアは、飛んでくる種、そして伸びる枝を躱しながら飛んでいる。

 ハイセは感心していた。エアリアの飛行技術は間違いなくS級冒険者に相応しい実力だ。ハイセの照準がズレないよう、鎖のブレを計算し自ら揺れることで、ハイセの揺れを最小限にしていた。

 そして、飛んで来る『種』を蹴り飛ばす。


(こいつ、脚力が尋常じゃない。それに動体視力……俺と同じくらい眼もいい)


 現在、エアリアは『白帝樹ガオケレナ』の周囲を回転するように飛んでいる。

 伸びる枝、飛んで来る種が主な攻撃方法だ。現在は対処できるが……。


「このままってわけにもいかない。弱点を探す!!」

「ああ!、どこに飛べばいいんだ!!」

「とりあえず───さらに上空だ!! 頭痛いの我慢しろよ!!」

「う……わ、わかった。くふふっ」


 エアリアは笑い、一気に上昇。

 ハイセ、エアリアは頭痛に顔をしかめるが……ようやく、上空からガオケレナの全貌を見た。


「なんだ、この木……まさか、森全体に細い根を張ってやがるのか」

「木の真ん中、空洞だぞ!! なんか火山の噴火口みたいだ……」


 周囲にびっしりと白い根が張られており、木の幹の真ん中は空洞になっていた。

 ハイセは頭痛を堪え思考……そして、気付いた。


「ハイセ!! あれ、サーシャたちだぞ!!」


 エアリアが指さした先に、サーシャたち三人が走っているのが見えた。

 正確に、ガオケレナに向かって走っている。

 すると、なんと地面が動き、まっすぐ走っているサーシャたちが急に左方向へ曲がった。


「なるほど。地面そのものを動かして、木に近づかないようにしてたのか……森全体に張った根で大地そのものを動かすとはな……」

「おい、あのままじゃ近づけないぞ!!」

「ああ、だったら……やることは一つ!! エアリア、行くぞ!!」

「おう!! んふふ」

「……なんだお前? さっきもだけど、嬉しそうだな」


 ハイセは、エアリアが楽しそうに笑っていることに気付いた。

 エアリアは笑ったまま言う。


「だって……こんな『冒険』は初めてだからな!! あたい、すっごく楽しいんだ!!」

「はっ!……だったら、楽しみつつ本気で行くぜ!」


 ハイセは自動拳銃をクルクル回転させホルスターにしまい、右手を突き出す。


「来い、『RPG-7』!!」


 携帯対戦車擲弾発射器。

 ハイセは細長い『筒』を手にし、エアリアに言う。


「こいつは反動が強い。エアリア、しっかり支えて急降下だ!」

「お、おう!! くぅぅ、やっぱり最高だぞ!!」


 ハイセがロケットランチャーを構え、エアリアが急降下。

 すると、急降下する二人に気付いたガオケレナが地面を動かすのをやめ、二人に枝を伸ばし、種を飛ばしてくる。

 エアリアはハイセを支える鎖を揺らさないよう飛び回る。


「あたいだって……!! 『空の支配者(スカイライナー)』を舐めんなぁぁぁ!!」


 エアリアは、飛んで来る巨大な『種』に翼を生やすと、そのまま自分の意思で操作し、なんとガオケレナに向かって大砲のように飛ばす。

 種はガオケレナの幹に命中。幹に亀裂が入り、ガオケレナのしなる枝が一瞬だけ停止した。


「やるじゃねぇか!! ───喰らえ!!」


 ボシュッ!! と、ロケット弾頭が発射される。

 その勢いにエアリアが驚くが、ハイセをしっかり支えた。

 そして、種で傷ついた幹に弾頭が命中。爆発した。

 幹が大きく削れ、メラメラと炎が上がるが燃え広がることはない。


「っし、この調子で削っていくぞ!!」

「おう!! って……は、ハイセ、あれ」

「……あれは」


 削れた幹の中には、大量の人骨が埋まっていた。

 ボロボロと、削れた部分から人骨……そして、魔獣の骨がバラバラ落ちる。

 これまで森で死んだ人間たち。そして魔獣などの骨を吸収し続けた結果が見えていた。

 そして、ツノの生えた頭蓋骨が落下し、地面に転がったのをハイセは見た。


(魔族の骨……過去の魔族か。こいつに食われたようだな)


 ハイセは再びロケットランチャーを手にする……次の瞬間。

 なんと、ハイセとエアリアの下にある地面から、いくつもの『根』が飛び出してきた。


「何ッ!? エアリア!!」

「───っ!!」


 しなる枝だけでなく、根が鋭く伸びてきた。

 エアリアは辛うじて回避するが、上空に逃げると再び頭痛……しかも、痛みがこれまでの比ではない。

 ハイセも頭を押さえ、痛みに顔をしかめる。


「ぐっ……あの木、何か発してやがる……!!」

「う、うぅ……」


 木からバチバチと紫電の光が見えた。

 電磁波……エアリアの飛び方がフラつく、足元からは根っこが伸び、しなる枝が二人を叩き落とそうとし、さらに種が飛んで来る。

 まだ辛うじてエアリアが回避、ハイセが打ち落とすが……限界が近づいて来た。


「ぐぅ……は、ハイセ」

「頑張れ!! こんなところで……もう少しだ!!」

「もう、少し……?」

「ああ、もう少し」


 そして───ついに、根の一本がハイセの足に絡みついた。

 強力な力で一気に地面に引きずられそうになるが、エアリアが耐える。


「ぬぎぎっ……は、はいせ」

「そのまま耐えろ!! ───来たぞ!!」


 次の瞬間、ハイセの足に絡みついた根が切断された。

 そして、地面に落ちていた『種』が吹っ飛び幹に命中する。

 そして、飛ぶ斬撃がしなる枝をまとめて吹き飛ばした。


「遅くなった」

「何コレ木? すっごいじゃん!!」

「よーっし、反撃開始です!!」


 クレアがハイセに絡みついた根を斬り、ヒジリが落ちていた種を蹴り飛ばして飛び道具の代わりにし、サーシャが闘気を飛ばし枝をまとめて薙ぎ払った。

 ハイセ、エアリアが地上に降り、サーシャたちの傍へ。


「ふう……間一髪だぜ」

「すまなかった。急に大きな気配を感じてな……お前とエアリアが戦闘を開始したと判断し、追って来た。危ないところだったな」

「ああ。でも助かった、ありがとよ」

「気にするな。それでハイセ……敵はこの『木』だな?」

「ああ。間違いなくこいつが七大災厄の一体だ。こいつを倒して、禁忌六迷宮を踏破するぞ」


 ハイセは自動拳銃を二丁抜き、片方をガオケレナに向ける。

 サーシャは、ハイセに合わせるように剣を向けた。


「ふ……ハイセ、援護は任せるぞ」

「おう。任せておけ」

「ちょっと、勝手に盛り上がるの禁止!! アタシだっているわよ!!」

「私もです!!」

「あたいだっているぞ!! まだまだいけるし!!」


 S級冒険者たちと、七大災厄の一体『白帝樹ガオケレナ』の、最後の戦いが始まった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
いやいや、大型拳銃じゃ無理やてw
[一言] エクリプスがいればハイセは楽になるのに 天空城ではサーシャの存在によりハイセはヴァイスに全力で対抗できなかった 第五迷宮攻略にエクリプスを入れないのはサーシャの存在感を薄めないためだと思う …
[一言] 味方を巻き込まないようにちまちま攻撃するより ハイセ一人で超火力の兵器をぶっ放した方が強いのは神の箱庭でわかったから今の戦闘は縛りプレイに見える。 ハイセ&エクリプスのコンビは別だけど。
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