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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十六章 氷結王国フリズドにて

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氷雪の決意、フリズド王国④/魔獣討伐への参加

 フリズド王国冒険者ギルド。

 ギルドマスターの部屋に入ると、山のような書類に囲まれた顔色の悪い男がニコッと笑う。

 そして、フラフラしながら歩き、ハイセたちの前に座った。


「やあ……初めましてだね。S級冒険者序列一位の、ハイセくん」

「どうも」

「そして、キミは?」

「あ、師匠の弟子の……ダフネです」

「そっか。うん……ボクは、フリズド王国冒険者ギルドのギルドマスター、サイラスだ。ははは、こう見えてもS級冒険者でね……今は、書類に追われる毎日さ」


 サイラスは笑っていたが、今にも死にそうだった。

 ハイセは特に興味を示さずに言う。


「早速だが、ツンドラ山脈の魔獣狩りに参加させてくれ。そっちの主導に従うから、俺は個人のS級冒険者として扱ってくれ」

「……お、驚きだね。もちろん、参加は自由だが……でも、S級冒険者序列一位が、何故?」

「ダイナリザード、そいつに興味がある」


 もちろん噓。正確には、用事があるのはクレアで、ハイセはただ付いて行くだけだ。

 サイラスは「うーん」と唸る。


「ボクはいいけど、エアが何て言うかなあ」

「エア?」

「ああ、エアロ・スミスって言った方がわかりやすいかな? S級冒険者序列七位の子さ。いい子なんだけど、ちょっと問題児でね……ああ、ハイセくん」

「そいつのお守りをしろってのはお断りだ」

「だ、だよね……歳も近い者同士で、仲良くなれると思ったんだが」

「狩りはいつだ?」

「三日後。現在、百七十名ほどが参加表明している。ダイナリザードはBレートで、決して低くない等級の魔獣だからね」

「……数は?」

「正確には不明だ。でも、去年はツンドラ山脈に七百匹のダイナリザードがいたよ。全く、どこで繁殖して、どこに潜んでいるのか……」


 ちなみに、ツンドラ山脈はフリズド王国で最も気温の低い場所。一年に一度だけ、気温が通常の冬気温まで上がる日があり、その日に魔獣討伐をするのだ。

 

「あの!! ギルマスさん、その日にクレア王女は来ますか?」

「うん。冒険者の激励に来ることになっているよ。エアが迎えに行くことになっている」

「───!!」


 クレアはハッとなり、ハイセを見た。


「師匠……あの、お願いしたいことが」

「……はあ」


 ハイセはため息を吐き、サイラスに言う。


「サイラスさん。序列七位のお守り……引き受けてもいいぞ」

「ほ、本当かい? よかった……実は、あの子だけじゃ不安でね。本当はボクが同行したいんだが、タイミング悪く王家へ提出する書類が山のようになっててね」

「わかった。じゃあ、そいつに会いに行く……どこにいる?」

「この時間なら、ギルドの訓練場にいると思うけど」

「よし……じゃあ、一筆頼む」


 ハイセはサイラスに一筆頼み、その書状を持ってクレアと部屋を出た。


 ◇◇◇◇◇◇


「はーっはっはっは!! さぁさぁ、このあたいに触れることができたら、褒美をやろう!!」


 訓練場に行くと、背中から『光翼』を生やした少女が空を飛んでいた。

 すると、少女を追いかけていた少年、少女が叫ぶ。


「エアリアー!! いい加減降りて来いよーっ!!」

「そうよ!! お昼ご飯行きましょうよーっ!!」

「むー!! お前たち、根性が足りないぞ!! それとあたいはS級冒険者序列七位エアロ・スミス!! エアリアは偽名なのだっ!! ちゃんと呼べっ!!」


 歳は十六歳くらいだろうか。

 長い赤毛を振り回し、足には鉤爪のような具足を履いている。エアリアと呼ばれた少女はハイセたちを見ると、一気に急降下して着地した。


「レイオス、ハルカ!! 客人のようだぞ!!」

「客人? お……おい!? あれってS級冒険者序列一位、ハイセさんじゃん!! すっげー初めて見た、かっけぇぇ!!」

「きゃぁ!! 素敵なお方じゃない!! ね、ね、サインもらおっ!!」

「お前らうるさい!! ってかS級冒険者ならあたいもだぞ!! というかお前らそれでもA級冒険者か!! あたいのチームならもっとこう、威厳を出せっ!!」


 ハイセは、近づくのを正直悩んだ……かなり、めんどくさそうな子供である。

 だが、仕方なく近づき、サイラスから貰った書状を見せる。


「S級冒険者序列一位『闇の化身(ダークストーカー)』ハイセだ。今回、ツンドラ山脈のダイナリザード討伐で、お前の補佐をすることになった。確認を頼む、S級冒険者序列七位『空の支配者(スカイライナー)』エアロ・スミス」

「何ぃ? お前が、あたいの補佐ぁ?」


 近づいて分かったが、エアロ・スミスはかなり小柄だ。

 クレアよりも小さく、ロビンと同じ程度の身長だろうか。

 仲間は二人。こちらは十八歳ほどで、ハイセとそう変わらない男女だ。


「フン!! ギルマスめっ、あたいの腕を信じてないのか!! まさか、永遠のライバル『闇の化身(ダークストーカー)』を補佐に付けるとはなっ!!」

「え、師匠のライバルなんですか?」

「ちが「その通りだ!! ふふん、今は序列七位だが、いずれあたいは一位になる!!」

「わぁ~!! ちっこくて可愛いのに、すごいですねっ!!」

「あぁん!? あたいはもうすぐ十八歳のレディだぞっ!! バカにすんなお前っ!!」


 ヒジリよりやかましい。

 ピアソラ、ヒジリを合わせて二で割ったような奴。それがハイセの感想だった。

 すると、クレアは首を傾げて質問する。


「あの~……エアロ・スミスさんって、本名ですか?」

「そうだ!!」

「あー、違う違う。それ、冒険者登録する時に決めた偽名なんだ。大空を翔る翼人とか、鳥の化身とか、あることないこと言いまくってね。実際はこんな感じのチンチクリンだよ」

「う、うるさいぞレイオス!!」

「あはは、本名はエアリアっていうの。あ、わたしはハルカ、こっちはレイオス。エアリアと一緒に、チーム『ウイングス』で活動してるの」

「へえ~……あ、あたしはクレ……だ、ダフネです」

「ダフネね。あなた、『闇の化身(ダークストーカー)』ハイセさんのお弟子さんなの?」

「はい!! 今回、ダイナリザードの討伐に参加しますので、よろしくお願いします!!」

「頼む。正直、今回の件オレとハルカだけじゃ、エアリアの暴走を止められないと思ってたからね。『闇の化身(ダークストーカー)』さんがいるなら安心だ」


 エアリア、レイオス、ハルカ。

 チーム『ウイングス』という冒険者チーム。

 ハイセは思う。


「……クランじゃないんだな」

「そう、クランだ!! あたいはクラン作りたいのに、二人がいいって言わないんだ!!」


 ハイセにしがみつき抗議するエアリア。

 すると、ハルカが言う。


「あのねー……クラン運営なんて、わたしたち三人でできるワケないでしょ。チームの応募したって、まともに運営できるとは思えないし」

「そうそう。オレらは三人でチームやるのが一番ってことだ」


 どうやら、ハルカ、レイオスはかなりまともらしい。

 見た感じ、エアリアという怪物を上手く飼いならしているようだ。

 S級冒険者序列七位。決して、弱いわけではない。


「とにかく、ダイナリザード討伐の補佐をする。レイオス、ハルカだったか……早速、情報を共有したい。どこか別室で話をさせてくれ」

「わかりました。レイオス、会議室借りれるよね?」

「ああ、ギルマスに頼んでみる」

「待った待った!! その前にごーはーんーっ!! ハイセ、ご飯食うから待ってろ!!」

「あはは、師匠、私もお腹空きました。せっかくだし、みんなでご飯にしませんか?」

「……まあ、いいぞ」


 こうして、S級冒険者序列七位『空の支配者(スカイライナー)』エアロ・スミスと、チーム『ウイングス』たちと共に、食事をすることになるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] エアリアの性格や雰囲気って⋯ウマ娘のウオッカを彷彿させる。
[一言] ウィングスの年齢が18才、サーシャが17になったのが大塩湖に向かう前だったから・・・ 認定されて1年半・・ハイセもサーシャも実年齢18になってるんでしょうね。王都の美少女3名も。 (プレセア…
[一言] クレアとダフネをどう展開させるかが気になるので、満を持して登場した7位さんが不憫······ ハーレム要員としても、ヒジリの戦闘狂成分を抜いたキャラで、ヒジリと喧嘩する枠にはエクリプスが先に…
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