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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十五章 神の箱庭

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九つの試練『神の箱庭』⑭/白い闘気

 サーシャはボロボロの状態で倒れていた。

 

「ぅ……」

『おい、どうした?』


 サーシャの傍にハイセがしゃがみ込み、サーシャの頭を掴んで無理やり起こす。


『ちょっと図星突かれた程度で、こうも情けなくなっちまうのか……つまんねぇな』

「……」

『何も言い返せねぇか。終わってるな……フン』

 

 そう言い、サーシャを仰向けにして、跨った。

 そして、サーシャの鎧をはぎ取り、胸に手を這わせる。


『滅茶苦茶にして、最後は殺してやる……それで、許してやるよ』

「……っ!!」

『なんだ? 文句あるのか?』

「───……どけ」

『あ?』

「どけ!!」


 ボッ!! と、サーシャの闘気が爆発。ハイセは弾き飛ばされたが、空中で態勢を変え着地。

 そして、腰のホルスターから自動拳銃を抜き、サーシャに向けて発砲した。

 が……剣を拾ったサーシャ。軽く剣を薙ぐと、銃弾が綺麗に真っ二つになり弾かれる。


『なんだ、まだやる気あったのか』

「……お前は、ハイセじゃない」

『あ?』

「お前は、私の罪悪感……何も言えなかった。何も言い返せなかった。でも、でも……ハイセは、ハイセは私を許すなんて、絶対に言わない!! お前は、私の弱い心が……ハイセに許してもらいたい気持ちが生み出した偽物!!」


 ようやく、自覚できた。

 それくらい、サーシャは打ちのめされた。

 

『チッ、くっだらねぇ』

「お前は、消えろ……!!」


 黄金の闘気が純白に輝き、サーシャの髪も真っ白になる。

 

『なっ……』

「白帝剣!! 『白帝神話真槍グングニール・ブライト』!!」


 サーシャが突きを放つと同時に、純白に輝く闘気が一気に伸びる。

 そして、ハイセの腹部を貫通……ハイセは崩れ落ち、存在が揺らぎ始めた。

 サーシャの闘気が消え、肩で息をし……ゆっくり、ハイセに近づいた。


『お前の勝ちだ。そして……出口だ』


 ハイセの後ろに、扉が現れた。


『お前が最も嫌がる、心の奥で一番恐れている者が敵として現れる試練。かつて、この試練に挑んだ大半の連中はビビッて死んだが……お前は乗り越えたな』

「……乗り越えていない。ただ、許せなかっただけだ」

『ふぅん。まあ、お前は俺を倒したんだ。先に進む権利がある』

「……この先に、何がある?」

『真の扉さ。ただし……扉に挑んだ者たちが揃わないと、先に進めない。ククク……何となく察してるだろ? そう、神の箱庭は、九人が揃わない時点で挑むことができない……つまり、九人が扉の先を攻略しないと、九人全員が脱出も、先に進むこともできないのさ』

「…………」


 サーシャはようやく剣を納め、呼吸を整えた。

 そして、落ちていた自分の鎧を装備し、消えかけているハイセに言う。


「それなら問題ない。私たちは全員、扉を攻略するからな」

『はっ、時間の流れも違う、試練もそれぞれ違うんだぜ? 一人くらい死んじまってるかもなあ? そうなれば、お前が俺を倒しても意味がねぇってことだ』

「ずいぶんとおしゃべりな奴だ。やはり、お前はハイセと似てもいない」


 サーシャはくだらなそうに言い、聞いてみた。


「せっかくだ。お前の知っていることを全て教えろ……この禁忌六迷宮『神の箱庭』とは、なんだ?」

『ほう、俺とお喋りね。そういうことをするのは、お前で三人目だ。せっかくだし答えてやる』

「……ここは、なんだ?」

『お前らが神の箱庭って呼ぶ空間……正確には、古の魔族が、戯れにスキルで生み出した空間だ。スキル『迷宮生成(クリエイトダンジョン)』……その名の通り、ダンジョンを作り出すスキル」

「古の、魔族……?」

『ああ。そいつが魔力で作り出した空間だ。試練は、ダンジョンに設けられたトラップみたいなモンだ。そこに、『七大災厄』の一体を無理やり封じ込め、檻にしたのさ』

「そう、なのか? ふむ……災厄は、そして魔族は……どれだけ昔から存在したのだ?」

『さあな。だが、ここは歴史上最も古いダンジョンだ。しかも、まだ踏破されたことのないダンジョン……つまり、ダンジョンの最奥には宝がある。その宝、なんだかわかるか?』

「知るわけがない……正直、あまり興味もない」

『はっ……じゃあ、楽しみにしてればいい。きっと、面白れぇことになる』

「……話は終わりだ」


 サーシャは扉の元に向かおうとした、が。


『おい、いいのか? 消えかけちゃぁいるが、俺はまだ存在できるぜ』

「扉は現れた。もう、お前に用はない」

『それはそうだ。が……お前が最初に扉を潜った時、俺はこの姿になった。つまり……お前の心を覗いたからこの姿になった』

「……何が言いたい」

『お前はこいつを恐れている。だが同時に、恐れ以上に深く愛───……」


 そこまで言った瞬間、サーシャの剣がハイセに突きつけられた。

 ハイセは驚いた。サーシャの顔が真っ赤になっていたから。

 そして、その顔を見てニヤリと笑う。


『お前が望むなら、まだ消えない。どうする? 何でも聞いてやるぜ?抱きしめてやってもいい、さっきの続きをしてもいい……ああ、ベッドはないがな。この身体にしたいこと、あるんだろ?』

「だ、黙れ!! ええい偽物!ハイセの顔と声で、それ以上不埒なことを言うな!!」

『堅物、生真面目。だが実は興味津々……か。お年頃だもんなぁ?』

「き、きき、貴様っ!!」

『おっと怖い。ハハハ!!』

「~~~っ!! もう行く!!」


 サーシャはハイセを無視し、扉を開けるのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 扉を開けた先にいたのは───……。


「……んっ、まぶしい」


 扉の先には、真っ白な空間があった。

 そして───聞こえたのは、ドアが同時に開く音。

 サーシャがドアを開けるのと同時に、残り八つのドアも開いたのだ。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[良い点] ハイセとの違いに気付いて踏破はしたけれど、 トラウマと言うか弱さを克服した訳ではない。 ハイセの関係ないところでハイセへの罪が解消されても困るし、 「サーシャの最後の困難」が残っているの…
[一言] 他の記憶系試練と違ってサーシャは結局本物よりは明らかに弱いし中身も小物悪党全開のあからさまな偽物を、精神面で何かを乗り越えたとか言う訳でもなく普通にぶっ倒して終わっただけだったな。 最後の会…
[良い点] 暫くの連日更新ありがとうございました。 今話では、内心を指摘されて自覚させられた点。 さてさて、ハイセと合流したらサーシャはどんな対応できるでしょうか…3人は積極的にアプローチしそうだけ…
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