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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十五章 神の箱庭

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九つの試練『神の箱庭』③/八人目、九人目

 ハイセ、ヒジリ、プレセア、エクリプス。そしてクレアの五人は、クラン『セイクリッド』のハイベルグ支部へ向かい、待っていたサーシャたちの案内で地下会議室へ。

 クランの重要な話をする、専用会議室内。

 チーム『セイクリッド』の五人、そしてハイセたち五人の十名が会議室に揃い、始まった。

 進行はタイクーン。


「ではこれより『神の箱庭』攻略会議を始める。最初に、攻略に挑む九名のうち、確定したメンバーからだ」


 ハイセ、サーシャ、タイクーン、プレセア、ヒジリ、エクリプス、クレア。

 現在、七名まで確定。レイノルドは口笛を吹く。


「改めて聞くと、すげえメンバーだな。今ならこのメンバーだけで、スタンピードも食い止められそうだぜ」

「だよねだよね。みんなすっごいし。もちろん、あたしたちもだけどっ!!」


 ロビンが笑い、なぜかハイセの隣に移動した。


「ね、ね、ハイセ。クレアも連れてくの?」

「ああ。昨日、実力を確認したが、こいつはもうA級上位レベルはある。まだ甘いが、起用する価値はあるな」

「そうなんだ。いいな~」

「気になるなら、挑んでみたらどうだ?」

「う~ん。あたし、そういうのはちょっとなー」

「……話を戻そう。ロビン、私語は慎め」

「はーい」


 タイクーンに言われ、ロビンはハイセの腕を取りムスッとした。

 今は会議中。あまりベタベタされるのは嫌なハイセ。


「おい、くっつくな」

「いいじゃん別に」

「……ったく」


 それ以上言わず、ハイセは無視することにした。

 タイクーンが咳払いする。


「この中で、メンバーに不安を感じる者はいるか? 恐らく、九つの扉の先は完全な個人戦となる……チームの連携が期待できない以上、ソロでも戦えるメンバーだとボクは思う」

「ま、そうだな。オレの場合、守りは自信あるが、攻めはイマイチ。ガキの喧嘩と変わらねぇし……現状、クレアがベストだと思うぜ」

「ふん。個人ね……なら、そちらのエルフさんはどうなのかしら? 薬草採取ばかりで、戦闘が得意とは思えませんけど」


 ピアソラが、プレセアをチラ見しながら言う。

 その視線に気づいたプレセアが言う。


「『風よお願い(ゼピュロス)』」

「───っ、っく、っけ……」

「ピアソラ? おい、ピアソラ!?」


 ピアソラが、喉を押さえ口をパクパクさせた。

 プレセアが指を鳴らすと、ピアソラは涙目で思い切り深呼吸、顔を真っ赤にした。

 いきなりのことに、サーシャがプレセアを睨む。


「何をした!!」

「私の実力を疑ってるみたいだから、わかりやすく実演しただけ。その子の口と鼻に精霊をくっつけて、ちょっと呼吸できないようにしただけよ」

「ぷぁーっ!! っぜっぴぁ……ぐぇっほ、げっほ!!」

「それで、どうかしら? 私の実力……合格?」

「テメェ……!!」


 ピアソラが額に青筋を浮かべて睨む。再び指を鳴らそうとしたが、プレセアの隣に座っていたハイセがその指を掴んだ。


「やめとけ。話が進まねぇ……やるなら、会議終わってからにしろ」

「そうね。で、何だったかしら。残りのメンバーをどうするか、ね」


 タイクーンを見ると、ため息を吐きつつ「そうだ」と言う。


「残り二名をどうするか。いくつかボクも案を考えてきたが……まずは、全員の意見を聞きたい。まずはハイセ、キミの考えを教えてくれ」

「二人、アテはある。一人は確定、もう一人は……わからん」

「ほう、誰だ?」


 ハイセは、その『二人』の名前を言った。


 ◇◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇◇


 会議が終わり、サーシャはピアソラを連れ、とある場所に向かっていた。


「グギギ……あのエルフ、絶対泣かしますわ」

「やめておけ。煽ったお前も悪いぞ」

「むぅ……サーシャが言うなら」


 ピアソラは、久しぶりにサーシャと二人きりなので、プレセアのことで頭を沸騰させるのはもったいないと考え、すぐに思考を切り替えた。

 これからサーシャと『八人目』を迎えに行くところだ。

 ピアソラは嬉しそうにサーシャの腕を取り、自分の胸に押し付ける。


「おい、くっつき過ぎだ。歩きにくいぞ」

「だって、私はしばらくお留守番ですし、サーシャと一緒にこうして歩くことがしばらくできませんもの……ちょっとくらい、甘えていいでしょ?」

「……まあ、いいが」

「やった!! んふふ、サーシャぁ~」


 サーシャにべったりくっつき、髪をクンクン嗅ぎ、腕に頬ずり……さすがに気分が悪くなったのか、サーシャは腕を外す。


「調子に乗りすぎだ」

「あん、サーシャのいけず」

「それに、もう到着だ」


 到着したのは、ハイセがオーナーを務め『セイクリッド』が管理する劇場。

 その名も、『白銀の踊り子劇場ヴァイス・エトワール・シアター』だ。

 サーシャは共同責任者の特権として、劇場内に自由に出入り可能。さらにVIP席、超VIP席の二つが常に確保してある状態だ。

 

「んふふ、サーシャと劇場デートですわ」

「違う。もうわかっているだろう? 今日は八人目……ヴァイスに事情を説明しに来たんだ」

「でもでも、劇が終わってからでもいいでしょう? ね、一緒に観劇しましょう」

「む……まあ、確かに」


 仕方なく、サーシャはピアソラと一緒に超VIP席へ。

 べったりくっつくピアソラを甘やかしながら劇を鑑賞し、全ての演目が終わり閉場となったところで、ヴァイスのいる楽屋へ。

 楽屋はかなり広く、手入れの行き届いたドレスが綺麗にクローゼットにかけてあり、サーシャがよく知らない劇で使う小道具なども大量にあった。

 そして、巨大な檻の中にある豪華な椅子に座るヴァイス。サーシャに反応し、眼を開けると、瞳が緑色に輝いた。


『マダム。ようこそいらっしゃいました。申し訳ございません。本日の演目は終了となりました』

「観客席で見ていた。やはり、お前の踊りは美しい……魅入ってしまったよ」

『ありがとうございます』


 陶磁器のような顔には亀裂のような筋が入っており、この亀裂が表情を生んでいる。今は笑顔を浮かべ、綺麗なお辞儀をした。

 サーシャが理解できない技術で動く人形、ヴァイス。

 背中にある時計がカチカチと音を立てて動いており、ほんのわずかに首を傾げた。


『マダム。何か御用でしょうか?』

「ああ。お前に頼みがあってきた」


 サーシャは、禁忌六迷宮『神の箱庭』について説明する。

 ヴァイスは無言で説明を聞き、当然のように言う。


『畏まりました。お役に立てるよう、努力します』


 こうして、八人目……『機械人形オートマタ』のヴァイスが参加することになった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇◇


 一方ハイセは。

 ヒジリでも。プレセアでも、クレアでもない少女を連れ、城下町を歩いていた。


「ねーねーハイセ、九人目にお兄ちゃんってさ...もしかして~なんかあった?」


 ロビン。

 ハイセの腕に飛びつき、やや強く抱きしめる。

 最近、ロビンはハイセに甘える。年下とはいえ、ロビンも女だ。あまりベタベタされるのはハイセとしても落ち着かない。


「……お前の兄、ウルはソロのS級冒険者だ。それに……いろいろあったから俺とお前で頼めば、了承するだろ」

「なーるほどねっ、それであたしと一緒にお兄ちゃんのお店行くんだ。ねーねー、行く前にカフェでお茶しない? デートしよっ」

「するか。全く……」

「っていうか、お兄ちゃんの店なんてあったんだ……知らなかったよー」


 表情をコロコロ変えながらロビンは言う。

 そして、ロビンのくだらない話に適当に相槌を打ちつつ、ウルの店に到着した。

 店に入り、マスターに言う。


「ウル・フッドに用がある。取り次いでくれ」

「……何の御用で?」

「お前に関係ない。いいから会わせろ」

「……お引き取りを」


 マスターがハイセを無視。

 ハイセの眉がぴくっと反応したところで、ロビンがカウンター席を叩いた。


「ちょっと!! あたしが来たってお兄ちゃんに伝えて!! ロビン・フッドが来たって、かわいい妹が来たってね!! 伝えないなら別にいいよ。お兄ちゃんのこと、大嫌いになるから!!」

「待て待てマテ!! 大嫌いは勘弁してくれ!!」

 

 と───……カウンター裏のドアが開き、ウルが飛び込んできた。


「やっほ、お兄ちゃん」

「あー……」

「……いたのか、お前」

「いや、まあな……あーもう、わーったよ、二階で話すぞ」


 ハイセたちは二階個室に移動。座るなり茶も出さずにウルは言う。


「で、何か用か」

「用があるから来たんだし。ってかお兄ちゃん、こんな店やってたんだ」

「隠れ家の一つな。で、用事は?」

「仕事を頼みに来た」

「……は? お前が、オレに?」


 ウルは驚いていた。まさかハイセが仕事を頼みに来るとは考えてもいなかったようだ。

 ハイセは頷き、禁忌六迷宮『神の箱庭』について説明する。


「───……というわけで、お前に『扉』の一つを任せたい」

「……マジか」

「ああ。報酬は払う」

「あー……禁忌六迷宮か。まさか、オレに手伝えとはね。想定外だった」

「S級冒険者序列五位。お前なら任せられる。手ぇ貸せ」

「……んん-」

「お兄ちゃん、お願い。可愛い妹のお願い、聞いてちょうだい♪」


 ロビンが可愛らしくお願いすると、ウルは苦笑した。


「まあ、お前には迷惑かけた借りもあるしな。一応オレもS級冒険者だし、一つくらい偉業残してもいいか……わかった、その依頼受けてやる」

「よし。詳細は追って連絡する。準備をしておいてくれ」

「おう。あ、ロビン、久しぶりにメシでもどうだ?」

「奢りならね。あ、ハイセも!!」

「……まあ、いいけど」


 こうして、九人目が決まった。

 S級冒険者序列五位『月夜の荒鷲(ヴェズフルニル)』ウル・フッド。

 九人の挑戦者が揃い、禁忌六迷宮『神の箱庭』の攻略が、今始まる。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誰も突っ込んで無いのが凄いけど、プレセアの人選はどう考えても駄目やろ まず封印の中に精霊が居るかわからんし、おったとして使役できるかも不明 人間相手にはそりゃイキれるやろうけど、もとも…
[一言] まあプレセアもやりすぎな反応といえばそうかもだけど、そもそも先に突っかかって来たのはピアソラでしかもそれは今回が初めてとかではなく良くやってる行動ってのがダメすぎる。 ピアソラはそういうクソ…
[気になる点] 今回のサーシャについて突っ込む前に米欄見たら似たような感想が多くて安心した。 プレセアを煽ったピアソラを咎めずにプレセアを怒鳴ったサーシャは不快だったし、「煽ったお前も悪いぞ」の台詞…
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