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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十三章 四十人の大盗賊

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201/422

あとしまつ

 『四十人の大盗賊(アリババ)』の壊滅。

 ハイセ、クレア、プレセア、ヒジリ、イーサン、シムーン……そして、ロビンとサーシャ。

 八人は集まり、周囲を確認……もう、敵はいなかった。

 ヒジリは、満足そうに腕をぐるぐる回す。


「あ~楽しかった。『四十人の大盗賊(アリババ)』、けっこう強いやついたし、あのワニ野郎……ビビらなきゃもっと楽しかったのになー」


 マッシモリッチは、ヒジリに殴り殺され転がっていた。

 シャーレイ、バーベナ、フレイズ、ホーキンス、アルクたち……そして、『四十人の大盗賊(アリババ)』の主要メンバーたちは、全員死んだ。

 だが、死ななかった者たちもいる。


「二人、逃がした」


 ハイセが言うと、ロビンとサーシャが俯く。

 そして、追い打ちをかけるようにハイセは言う。


「サーシャ、ロビン。俺たちの邪魔したんだ……あの男、そして連れ去った『四十人の大盗賊(アリババ)』の一人のことを教えろ」

「……わかった」

「サーシャ、いいの?」

「私も、正しいことをしたのか、ハイセたちの邪魔をしたのか整理がつかない。ロビン……お前の兄には悪いが、ハイセと敵対だけはしたくない」

「……うん、だよね」

「ね!! ロビン、あっちの部屋調べない? そういやここ、最上級のダンジョンだったわ。くふふ、このまま踏破しちゃうのもアリかも?」


 と、ヒジリがワクワクしながらロビンの手を引く。

 

「わわ、ちょっとヒジリ~……」

「ね、サーシャ、ハイセ。ロビンを借りるわよ、ほらアンタたちも行くよ!」


 そう言い、ヒジリはロビンを連れて、クレア、プレセア、シムーンと、他の部屋を調べに行った。

 サーシャはため息を吐き、ハイセに事情を説明する。


「……ロビンの兄が、S級冒険者序列五位か。で、そいつが『銀の明星シルヴァー・ヴェスペリア』とかいうクランに雇われている、か……」

「ああ。そのクランは序列二位、エクリプス・ゾロアスターの運営するクランであり『学園』だ。セイナは、そのクランの幹部らしい……お前が手を下すと、エクリプスが動く可能性があるとか」

「関係ない。序列二位だろうが何だろうが、シムーンを攫った関係者に慈悲なんて与えない。サーシャ……お前の事情は理解した」

「……すまない。お前が『四十人の大盗賊(アリババ)』を追っていたことは聞いたが、まさかシムーンが誘拐されていたなんて。それを知っていれば、私も……」

「もういい。それより……『四十人の大盗賊(アリババ)』は壊滅した。ボスだけは逃がしたが……まさか、魔族だったとはな」


 そう言い、ハイセはイーサンを見た。


「イーサン。お前も、能力……いや、『スキル』に目覚めたようだな」

「は、はい……なんか、すごい『雷』が出ます」

「……その力は、シムーンを守ろうとして得た力だ。使い方を間違えるなよ」

「はい!! おれ、もっと鍛えて強くなります!! 雷使いの大工を目指して頑張ります!!」

「……あ?、ああ」


 雷使いの大工……聞いたことのない組み合わせに、ハイセとサーシャは顔を合わせるのだった。

 すると、奥の部屋からヒジリたちが来た。


「おーい!! すっごいお宝いっぱいあるわ!!」

「盗品ね」


 興奮するヒジリの手には、黄金の王冠があった。

 プレセアは冷静に言うが、ロビンが首をかしげて言う。


「ね、サーシャ。ダンジョンのお宝じゃないけど、こういう盗品って、見つけたらどうなるのかな~?」

「……まずはギルドへ報告だな。ダンジョンに隠されていたとはいえ、盗品に変わりない」

「だよねぇ。ヒジリ、残念だったね」

「うぅぅ……まぁ、いいか」


 ヒジリは残念そうにしていたが、すぐに切り替える。


「じゃ、さっさと帰りましょ。ここ、死体だらけで気分悪いわ」

「そうね。ダンジョンの死体は、放っておけばダンジョンに吸収されるはず」

「そうなんだ……イーサン、知ってた?」

「ううん、知らない」


 イーサン、シムーンも、普段通りに戻っていた。

 ハイセは、二人に言う。


「さぁ、帰ろうか。じいさんが心配してるぞ」

「はい!! おじいちゃん、会いたいな」

「おれも。あの、ハイセさん……」

「ん?」

「その、じいちゃんにお土産、買いたいです」

「……ふ」


 ハイセは少しだけ微笑み、イーサンの頭を撫でた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイセたちと別れ、サーシャとロビンは宿に戻ってきた。


「お、二人とも帰って来たか」

「あぁん!! サーシャってば、私を差し置いてロビンと二人でぇ!!」

「用事と聞いたが、もう済んだのか?」


 宿のロビーに併設されている喫茶スペースで、三人揃ってお茶を飲んでいたようだ。

 サーシャは、ロビンと顔を合わせる。


「……依頼のことは内緒だぞ」

「うん。ややこしいもんね」


 サーシャ、ロビンは三人がいるテーブルへ。

 紅茶を注文し、さりげなく話題を変えた。


「みんな、休暇は楽しんでいるか?」

「まぁな。というか、毎日酒飲んでるせいでダルいぜ……明日はマッサージでも受けようか考えていたんだ」

「私はサーシャと美容エステに行きますの。ふふふ……私のお誘い、受けてくれますわよね?」

「あ、ああ」

「ボクは図書館だ。ここの図書館には興味深い本が山ほどある」

「ね、ピアソラ、美容エステあたしも行きたいな~」


 いつもの日常。久しぶりの休暇、だが…。


「…………」

「サーシャ? どうしましたの?」

「……いや」


 サーシャは、今を楽しもうと、何とか笑顔を作るのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイセたちは、ハイベルグ王国に戻ってきた。

 そして、宿屋へと帰り、ドアを開ける。


「───……おお」

「おじいちゃん!!」

「じいちゃん!!」


 主人はカウンターを出て、シムーンとイーサンを抱きしめる。

 イーサン、シムーンは涙を流し……主人の胸に顔を埋める。主人も、顔をしわくちゃにして涙を流していた。いつの間にか、二人は本当の孫と同じくらい、大事な存在だったのだろう。

 すると、ハイセの隣にラプラスが。


「私の中の神が言っています……『お帰りなさい、留守番終わりました』と」

「……ほれ」


 ハイセは白金貨を一枚、ラプラスの手に落とす。


「おおお! よ、よろしいので?」

「金貨のがよかったか?」

「いえいえ。ではダークストーカー様、私はこれにて失礼。神が叫んでいます……『美味い酒飲め』と」


 ラプラスはダッシュで帰ってしまった。

 主人はシムーンたちを離し、ハイセに言う。


「……ありがとう。お前さんには」

「そういうのはいい。やって当然のことをしただけだ」

「……ふ、そうか。そちらのお嬢さんたちも、ありがとう」

「いえいえ。私、あんまり役に立ってないですけど……」

「シムーンは友達。当然よ」

「アタシ、戦えればなんでもいいわ。ま、楽しかった!!」


 こうして、ボロ宿に笑顔が戻った。

 ハイセは椅子に座り、シムーンに言う。


「シムーン。久しぶりに、お前のお茶が飲みたい……頼めるか?」

「はい!! お任せください。あ、おじいちゃん、お菓子の材料あるかな?」

「おお、あるぞ。ふふ……ワシも手伝おう」

『きゃんきゃんっ!!』

「わ、フェンリルちゃん。えへへ、ただいま。よーし、皆さんのお茶、淹れますね!!」

「はい!! シムーンちゃん、よろしくお願いします!!」

「ふふ、にぎやかね」

「シムーン、ケーキ食べたいわ!!」


 一気に騒がしくなり、ハイセはため息を吐く……が、どこか楽しそうに見えたのは、きっと気のせいではないだろう。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
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