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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十三章 四十人の大盗賊

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白の騎士

 シャーレイは、荒い息で自分の右腕を見た。

 右肩、二の腕、手の甲に穴が開き血が止まらない。さらに、中指と親指が消失している。

 ハイセのアサルトライフルを躱しきれなかった結果が、ここにあった。


「はぁ、はぁ、はぁ……クソ、怪物め……!!」

「…………」


 一方のハイセは、無傷でカービン銃のマガジンを交換。

 あまりにも、強かった。

 シャーレイは、ハイセの能力が『地面を爆破物に変える』ことだと思っていた……が、爆破する地面以上に、ハイセの持つ『武器』が脅威だった。

 何か、小さな鉄が飛んでくる……それだけの武器が、こうも恐ろしい。

 躱すことも、視認もほぼ不可能。気づいたら腕が穴だらけ。


「ダーク、ストーカー……!! 初めてだ、この組織にここまで盾突いた男は」

「あっそ」


 ハイセは嗤った。

 シャーレイを嘲笑った。そのことに、シャーレイが青筋を浮かべる。


「別に、どうでもいいんだよ」

「……何?」

「お前らがどこで何をしようが、誰を殺そうが、何を盗もうが、俺には関係なかった」

「…………」

「だがお前らは、俺の日常に踏み込んだ。お前らが滅ぶ理由は、それだけだ」

「貴様ぁぁぁ!!」


 シャーレイは、氷で腕を凍結させ止血。左腕で氷の剣を構え、ハイセに向かって走り出し───……。


「バーカ」


 ボン!! と、踏み込んだ瞬間に爆発。右足が膝下から吹き飛び、地面を転がった。


「っぐ、ぁぁぁぁぁぁ!!」


 もう、立てない。

 ハイセがゆっくり近づいてくる。

 カービン銃を消し、手には大型拳銃を。

 引き金に指を添え、シャーレイに向ける。


「……謝れば、許してくれるか?」

「…………」


 引き金が引かれた。

 心臓に四発撃ちこみ、倒れたところで頭に三発。

 確実な死を与えるため、シャーレイが死んでもハイセは引金を引いた。


 ◇◇◇◇◇◇


「おぉぉぉぉッホッホッホォォォォォォッ!!」

「くっ……!?」


 ジョキジョキジョキ!! と、大きな鋏を両手で操りながらの攻撃。

 ホーキンスの猛攻。サーシャは剣で鋏を受けながら、鋭い攻撃を躱す。

 なんだ、こいつは。

 それが、サーシャが感じたホーキンス。

 正直、猛攻とはいうがサーシャにとって躱すのも受けるのも大した問題ではない。

 ホーキンスの鋏が、サーシャの髪に触れた。


「美しい髪ぃ!!」

「サーシャ!!」


 ロビンの援護。

 矢が飛び、ホーキンスの頭に矢が刺さる。


「んん、無駄ぁ!!」


 だが、矢が頭に刺さることはなかった。

 まるで、柔らかいモチのような皮膚が、矢を弾いたのだ。

 サーシャの斬撃も、餅を箸で撫でるような感覚……そう、斬れない。

 ホーキンスの能力『軟体(ラバー)』が、斬撃や刺突を無効化していた。

 そして、ホーキンスの鋏がサーシャの腕に軽く触れ、血が出た。


「くっ……」

「サーシャ、大丈夫!?」

「ああ、問題ない」


 ロビンが近づき傷を確認する。どうやら毒などは塗られていないようだ。


「ピアソラがいたらブチ切れてたね……」

「違いない。ロビン、奴は強敵だ。本気でいくぞ」

「うん!!」


 すると、ホーキンスは……サーシャの血が付いた鋏を舐め、口をモチャモチャと音を立てながら全身全霊で味わっていた。


「お、ォォォォォォ……───甘露」


 ぶるるっ、と震え、涙を流す。

 あまりの狂人っぷりに、サーシャもロビンもドン引きする。


「な、なにこいつ……」

「……気持ち悪い」

「いい!! 貴女、最高ですぞ!! 私が食らった肉の中でも最上級……クククっ、光栄に思いなさい。あなたの頭部は、我がコレクション棚の最上段に飾る!!」

「「…………」」

「くくっ、肉は刺身、ソテー、ああ……極上のワインを用意せねば。その柔らかそうな乳房はどう食しようか? おぉぉ……考えただけでも、もう、もう!!」

「「…………」」


 おぞましい生物。

 サーシャとロビンは顔を見合わせた。


「こいつ、キモくてヤバイよぉ」

「同感だ。食す? た、食べるというのか?」

「……コレクションとか言ってるけど」

「……こいつの被害者がいた、ということか。ロビン、どうやらこいつは生かしておくわけにはいかないな」

「うん。サーシャ、マジでやっちゃって」

「ああ。───……こいつに使うのも癪だが、見せてやろう」


 サーシャは闘気で全身を覆う。黄金の闘気の輝きに、ホーキンスは歓喜した。


「美しい!! おお、美しい!!」

「美しい、か……貴様の言葉でなかったら、素直に喜べた」

「ほ?」

「どうやら貴様は、S級冒険者に匹敵する強さのようだ。だったら……見せてやろう」


 黄金が、変わる。

 白みがかった銀───……白銀色。

 黄金に変わる前の闘気は銀色だったが、こちらの色はクロスファルドが見せたプラチナ色に近い。だが、サーシャの闘気の色は、銀よりも白に近かった。


「え……さ、サーシャ?」


 ロビンも知らない色の闘気に、驚きを隠せない。

 サーシャは言う。


「二分───……今の私がこの闘気を使える時間だ」

「サーシャ、いつの間に……」

「なに、クレアが闘気の色を青に変えた時から考えていた。私にも、私の闘気の色があるのではないか、とな……私はどうやら、この色がもっともしっくりくる」


 剣を構え、白の闘気が剣を包み込む。

 ホーキンスは両手を広げ……歓喜の涙を流していた。


「ああ───……白の女神が、私の前に」


 サーシャは走り出す。

 そして、剣を振るった。


白帝剣(はくていけん)───『白帝神話聖剣エクスカリヴァー・ブライト』」


 四肢を、首を両断されたホーキンスは、とても澄んだ笑みを浮かべて言った。


「ありがとう───」


 サーシャは剣を収め、笑顔のまま転がっているホーキンスの首を見て言う。


「どうか安らかに、とは言わないからな」


 ◇◇◇◇◇◇


 カーリープーランは、周囲を見渡していた。

 主戦力はほぼ壊滅。シャーレイ、ホーキンスも死亡。マッシモリッチは生きているが、ヒジリに殺されるのは時間の問題。

 残った戦力は十にも満たない。


「終わりかねぇ」


 SS級盗賊団『四十人の大盗賊(アリババ)』は、壊滅寸前。

 ハイセを怒らせたのがまずかった。と、今更ながらに反省する。

 だが……収穫は、あった。


「……魔族の双子。くくっ……『四十人の大盗賊(アリババ)』壊滅を差し引いても、おつりのくる収穫。まぁ……ここでの回収は難しいねぇ」


 すると、聞こえてきた。


「うぎゃあぁぁぁぁ!?」

「さぁさぁ、まだこんなモンじゃないでしょ!? もっと、もっとヤろう!!」


 ヒジリが、マッシモリッチの腕を引きちぎった。

 マッシモリッチは、ヒジリに完全に恐怖している……負け犬の目をしていた。


「あれはダメだねぇ」


 イーサンは、フレイズと戦っている。

 ハイセは、残った構成員たちを始末し、クレアも戦いに参加、プレセアはシムーンを守るように周囲を警戒。

 ちなみに、カーリープーランは自身に『気配を希薄に』と言って、気配をできるだけ消していた。


「まぁ、だいぶ稼げたしね。私は、私のために動くとしようかねぇ。例えば……とある魔法学園に(・・・・・・・・)いる、お嬢様(・・・)に助けを求めようか。ちょうどいい手土産もある」


 カーリープーランの手には、一枚の羊皮紙があった。

 かなりボロボロの羊皮紙だ。それを装飾の施された木箱に入れ、紐をする。

 木箱には、文字が彫られていた。

 そこに書かれていたのは、『神の箱庭』


「さて、私はここで失礼しようか。ふふ……『四十人の大盗賊(アリババ)』の終焉を見届けられないのは、少しだけ残念かねぇ」


 そう言い、カーリープーランは消えた。

 ダンジョンから、自身の『スキル』を使い脱出した。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
あー完全敵対からの戦争突入ですね、分かります というかアーサーだと思ってたら嫁ネロだった?? いや、リリィなのかねぇ
[気になる点] ボス取り逃がしはいかんが、横取りされたモノと行き先が一緒なのはある意味幸運か? ついでに迷宮の手がかりも入りそうだし、裏ボス?後援者?も始末しとかないと画竜点睛を欠くし、そういう意味で…
[気になる点] カーリープーランの言う”とある魔法学園いる お嬢様に”とはエクリプスの事か、それともクラン『銀の明星』に別の協力者が居るのか?それとも他にも魔法学園がありそこの可能性もあるか? [一言…
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