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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十三章 四十人の大盗賊

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セイクリッドの休暇

「では、こちらが納品分の『トール・クイン・ビー』の蜂蜜です」

「おお!! ありがとうございます。いや~、これだけ上質な蜂蜜を採取するには『トール・クイン・ビー』の蜂蜜を狙うしかなくて……ここの冒険者たちにも依頼を出したのですが、み~んな受けてくれなくてねぇ。思い切ってハイベルグ王国に依頼を移動させたら、あんたたちが……あの『セイクリッド』がやってくれるとは!」


 歓楽街『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』・第一区画『カフェ・ストリート』にある有名な喫茶店、『カフェ・ドゥ・ミーツ』。

 他国にも支店がある有名カフェで、この歓楽街にあるのが本店だ。


「終わったねー……というか、すっごく寄り道したい!!」


 第一区画『カフェ・ストリート』は、世界各国にある様々な文化のカフェが揃った憩いの場。区画の七割がカフェで、他にも貸本屋なども並んでいる。

 ワクワクするロビン。周囲を見て目を輝かせている。

 いつもは諫めるタイクーンも、貸本屋のそばを通るたびに視線が泳ぐ。


「まず、宿にチェックインだ。依頼は完了したが、ここは『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』のクラン内……ギルドはないから、休暇を終えてからの報告になるが。まぁ、依頼自体は完了しているし、依頼主もギルドに報告するだろう。ボクらの依頼失敗と処理されることはないはずだ」


 なんとかそう言い、五人は滞在場所となる宿屋へ。

 まるで異国の宮殿のような、クラン内でも特に高級な宿屋へ到着した。


「「おおおおお~!!」」

「これは……すごいな」


 興奮するピアソラ、ロビン。

 宮殿のような宿屋を見渡すサーシャ。

 異国風建築。ハイベルグ王国とは文化が違う。絨毯の柄、装飾品はもちろん、宿屋の真ん中に噴水があり、どういう仕掛けなのか水が七色に輝いていた。

 歩く宿泊客たちも、異国の人たちばかり。人間はもちろん、獣人や翼人などの亜人種族も多い。

 

「来るもの拒まず。楽しい時間をともに……それがこのクランの方針だ。人間だろうと亜人だろうと、このクランで楽しむ時は、皆同じ……っおお!?」

「サーシャ!!」


 タイクーンがしみじみと言うと、ピアソラが「邪魔だボケ」と言わんばかりに突き飛ばしサーシャの正面へ。


「ここ、地下に温水プールがあるみたいなの!! くふふ、水着もいっぱいあるらしいから、あとで泳ぎましょう!! あ、男どもは来ないように!! サーシャの水着姿は私だけのもの!!」

「なんだそりゃ。男なら行くよな、タイクーン」

「興味ないね。それより、ボクは来る途中に見かけた貸本屋が非常に気になる。それにあのカフェ・ストリート……香りでわかった。ボクの知らない異国の紅茶を出す店も多い……ふふふ、読書をしながら紅茶を楽しむというのもいい」

「お前それでも男かよ……ったく」

「ね、早くチェックインしようよー」


 ロビンにせかされ、サーシャが代表してチェックイン。

 ピアソラが一切妥協しなかったので、最上層にあるスイートルームを五部屋、ひと月分の料金を支払う。

 カギは冒険者カードだ。宿にある専用の魔道具にカードを通すと、それ自体が鍵となる。冒険者カードなら無くすことはまずないし、ありがたい仕様だった。

 部屋に行く前に、宿の隅に移動……サーシャが言う。


「それでは、これより三十日の休暇となる。各々、好きな時間を過ごしリフレッシュしてくれ。気になることや、何かトラブルがあった場合、私のところへ報告を」

「おう、わかったぜ」

「了解した」

「はぁ~いっ!! んふふ、サーシャとプール……サーシャの水着……きわどい水着……ポロリ」

「ほーい。ね、サーシャ、あとでお茶しに行こうねっ!!」


 こうして、チーム『セイクリッド』の休暇が始まった。


 ◇◇◇◇◇◇


 部屋に入ったサーシャは、豪華な内装の部屋に驚いた。


「すごいな……広いし、キレイだ」


 ハイベルグ王城にある来賓室よりも立派だった。

 寝室に向かうと天蓋付きベッドがあり、浴室も広い。

 サーシャは、ふかふかな最高級ソファに座り、大きく伸びをした。


「休暇か……何をしようかな」


 仲間たちは、それぞれ考えている。

 レイノルドは『第二区画・飲み屋街』で酒を飲もうと計画。タイクーンは『第三区画・古美術ストリート』で古物や古本などを漁る予定。ロビンはこの『第一区画・カフェストリート』で食べ歩き。ピアソラは『第四区画・ショッピングモール』で化粧品や服を買うらしい。

 サーシャは、テーブルの上にあった『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジアマップ』に手を伸ばす。


「ほう、このクランは全七区画あり、来た者すべてを楽しませる楽園となっている……ん?」


 サーシャは、『第五区画・闘技場』というエリアに目を向けた。


「なになに……鍛え抜いた力で最強を目指せ。冒険者の熱き戦い、挑戦者募集……」


 それは、冒険者同士を戦わせる専用の闘技場。

 冒険者同士の私闘は厳禁だが、決闘は許可される。だが、決闘にはギルドマスターの承認や、国の許可が必要だった。

 が、この『夢と希望と愛の楽園ファンタスティック・ファンタジア』では例外。

 クランマスターであるメリーアベルが、特別な許可をもらい、めんどうな決闘の申請を全て省き、冒険者資格さえあれば誰でも参加できる。


「……面白そうだな。参加するのではなく、観戦するのも悪くない」


 と、マップをテーブルに置くと、いきなりドアが開いた。


「サーシャ!! プール、プールに行きましょう!! んふふ、水着も用意してありますわ!!」

「ぴ、ピアソラ……びっくりした。ドアを開けるときはノックをだな」

「水着!! ささ、行きましょ!!」

「わ、わかったわかった。水着……って、なんだこれは」


 ピアソラが持っていた水着は、どう見ても『紐』だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 宿の地下に、とても広い温水プールがあった。

 丸形のプールがいくつもあり、水着を着た男女が仲良く並んではおしゃべりをしたり、ビーチチェアに寝転んで昼寝をする男性や、マットを敷いてうつ伏せになる女性。

 シャンデリアがキラキラ輝き、プール内は神秘的な輝きに包まれていた。

 この場にいる女性は、全員が美人に分類される。人間だけじゃない、獣人や亜人たちもプールで楽しみんでは笑顔を振りまいている。

 男性たちは、水着の美女たちを見て笑みを浮かべていたが。


「むぅぅ、不埒な視線、不埒な視線!! サーシャは私が守りますわ!!」

「ピアソラ、騒ぐと目立つよ~?」


 ピンクのワンピースを着たピアソラ、タンクトップビキニのロビンがサーシャを守るように前に立つ。

 そして、白を基調としたビキニを着て、腰にパレオを巻くサーシャは、どこかもじもじしていた。


「や、やはり……胸を見せすぎじゃないか? ロビン」

「ピアソラのよりましでしょ? 紐のがよかった?」

「そ、それは嫌だ」

「じゃあよし!! お、いたいた」


 サーシャの登場で、プール内にいた男性の六割以上が、サーシャにくぎ付けとなった。

 すると、鍛え抜かれた身体を見せつけるように、レイノルドが出迎える。


「おう、場所取っておいたぜ」

「……なんでボクまで。ボクは読書をしたいと何度も言っただろうが」


 タイクーンもいる。タイクーンは水着ではなく、シャツにハーフパンツというスタイルだ。

 どうやら、レイノルドが無理やり連れてきたらしい。

 サーシャが前に出て、髪をかき上げながら笑みを浮かべて言う。


「すまないな、レイノルド。場所取りを任せてしまって」

「……お、おう」

「? どうした、顔が赤いぞ」

「いや~……まぶしいね、サーシャ」

「…………む!?」


 視線に気づき、サーシャは顔を赤くして何故かタイクーンの背に隠れた。

 一方、普段と何ら変わりのないタイクーンは、サーシャに言う。


「泳ぐなら好きに遊んでくるといい。ボクはここで荷物を見ている」

「よーし!! サーシャ、レイノルド、ピアソラ、あそぼっ!!」


 ビーチボール片手に、ロビンがプールに飛び込んだ。

 

「行きますわよ、サーシャ!!」

「お、おい!?」


 サーシャの手を引き、ピアソラもプールに飛び込む。


「ワリーなタイクーン、荷物頼むぜ!!」


 レイノルドもプールに飛び込むと、ロビンが投げたボールが顔面に直撃する。


「やったなこのっ!!」

「あははっ!! くらえピアソラっ!!」

「うぶっ!? いったぁぁ……おのれロビン!! サーシャ、やりますわよ!!」

「ふ……面白い!! 行くぞ!!」


 ビーチボールでのドッジボールが始まった。

 そんな仲間たちの様子を見ながら、ビーチチェアに座り読書をするタイクーン。


「やれやれ……子供の集まりだな。まぁ、休暇だし文句っぶふっ!?」


 サーシャの投げたビーチボールが高速で飛び、タイクーンの顔面に直撃するのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
ハイセとの対比が見事に描かれていますな
[気になる点] クラン放置して一ヶ月も休暇取って大丈夫か?サーシャ辺りがハイセとばったり遭遇ってことはありそう
2023/07/25 09:52 退会済み
管理
[一言] このバカンスの後にハイセ達とどう絡むのか?共闘するのか敵対するのか?個人的にはサーシャ達は騙されて依頼を受けハイセ達と知らずに敵対という感じが好みですが。もし共闘となってもシムーンが魔族なん…
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