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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十一章 三人目のソードマスター

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盗賊戦④

 カチン、と……サーシャは剣を鞘に納めた。 

 その様子を見ていたセキ、アカネは絶句する。

 時間にして約二分、サーシャは四十名以上いた盗賊団を一刀両断した。 

 手足を両断され失血死、首を両断され即死、胴を両断され苦しみながら盗賊たちは死んだ。

 サーシャは、両腕を切断され死にかけているオーエンを、冷たい眼で見下ろす。


「アジトはどこだ?」

「へ、へへ……」

「言えば楽にしてやる」

「ば、馬鹿が……言うわけねぇだろ。まだ、ボスがいる。知らねぇのか? ボスは元S級冒険者だ。オーガの群れをたった一人で壊滅させた男だぜ? 仲間殺しで冒険者を追放されて、オレらみてぇなはみだし者のボスだけどよ……あの強さはそこが知れ


 と、オーエンがここまで行った瞬間、民家が爆発し両腕が炭化したゲルニカが地面を転がり出て、オーエンの傍で停止した。


「ひ、ひ、ひぃぃぃぃっ!? う、ウデ、オレの、腕ぇ!!」


 ガシャッと、グレネードランチャーの薬莢を排出し次弾装填をするハイセとクレアが、ボロボロの民家から現れた。当然、無傷で。

 グレネードランチャーを向けたが、威力が強すぎると思ったのか銃を消し、腰にある自動拳銃を抜いてゲルニカの元へ。 

 ゲルニカを蹴り飛ばし、右足に向けて銃を連射した。


「っぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「まだ死ぬなよ? うちの弟子を苦しめた報いはこんなんじゃ済まねぇ……さぁ、楽しもうぜ」

「ハイセ、待て……どうやら、こいつらのアジトがあるようだ」

「あぁそれなら問題ない。こいつらの仲間を一人拷問して吐かせた」


 すると、ハイセたちの元へラプラスが来た。


「ダークストーカー様、ブリュンヒルデ様。村人の治療が完了しました」

「お疲れ。死者は?」

「いません。ふぅ、なかなかに疲れました」

「……よし、ラプラス、動ける住人たちを集めろ」

「はい」


 それから十分後、住人たちが集まった。

 集まったのは若い男が数名と村長、中年女性が数名だ。ハイセは止血をしたオーエンの首根っこを掴み、村長たちの前に転がす。


「そいつは盗賊の副首領だ。好きに拷問して憂さ晴らししな。ああ、最後は必ず殺せよ」


 クレア、セキ、アカネは絶句した。

 ハイセの感情の籠っていない瞳が、あまりにも恐ろしく感じた。

 住人たちも驚いていたが、ぶるぶる震えるオーエンを見て怒りがこみ上げたのか、青年の一人がオーエンを蹴る。そして、他の男も蹴り、村長が杖で殴り、中年女性が石を掴んで殴り……十五分ほどで、オーエンは肉塊となって死亡した。

 そちらを見もせず、ハイセはゲルニカの頭を掴み、眼球を一つ潰す。


「ほぎゃぁぁぁぁ!?」

「クレア。ついでにそっちの二人……これが、生きる価値のない存在だ」

「「「…………」」」

「最後は、お前たちでトドメを刺せ。それで、この依頼は完了だ」


 ハイセはゲルニカを三人の前に投げた。

 クレア、セキ、アカネの三人は剣を抜き───……。


「や、やめ───……」


 迷いなく、ゲルニカの身体に突き刺した。

 こうして、クレアたち初めての盗賊退治は、幕を下ろしたのであった。


 ◇◇◇◇◇◇


 後片付けは、『セイクリッド』から来た冒険者たちに任せ、ハイセたちはハイベルク王国へ戻ってきた。

 行きは徒歩だったが、帰りは高速馬車を使ったので一日で帰ってこれた。道中、クレアたちは無言……ギルドへの報告を済ませ、解散する。


「では、私はこれで。みなさん、お疲れ様でした」


 ラプラスはペコっと頭を下げ、冒険者ギルドの前で別れる。

 別れる直前、ラプラスはクレアたちに言った。


「冒険者。命と悲しみを背負い戦う使徒。私は、そのお手伝いができて光栄です……また、冒険に出るときはお誘いください。では」


 そう言い、クレアたちが何かを言う前に町へ消えた。 

 そして、ハイセはサーシャに言う。


「俺たちも今日は帰る。またな」

「ああ。お疲れ、ハイセ……あ、クレア」

「……はい」

「お前の闘気。見事な輝きだった……ふ、私も負けていられんな」

「…………」


 そして、セキとアカネがクレアの前へ。


「クレア。あんたと一緒に戦ったこと、忘れないから」

「またいつか、一緒に冒険をしましょうね。ああ……もしよろしければ、私たちのチーム『スカーレット』へ。いつでもお待ちしております」


 サーシャたちと別れ、ハイセとクレアは歩き出した。

 道中、クレアは無言……宿に到着し、ドアを開けると。


「あ、お帰りなさい、ハイセさん、クレアさん」

「おう」

「……シムーンちゃん」

「クレアさん、お疲れ様でした。えへへ……無事に帰ってくるって信じていました」

「…………うっ」


 クレアは、何かの栓が抜けたようにボロボロ泣き出し、シムーンを困惑させるのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日の夜。

 ハイセは自室で本を読み、眠くなってきたので本を閉じた。

 すると、見計らったようなタイミングでドアがノックされる。


「あの、師匠……いいですか?」

「……ん」


 ドアが開くと、クレアが枕を持って入って来た。

 すでに寝間着に着替えており、どこか緊張したように言う。


「ね、眠れなくて……その、一緒に寝ていいですか?」

「……ガキかお前」

「す、すみません……」


 クレアの手は、震えていた。

 初めて『人間』の『命』を『奪った』ということを、ようやく自覚したのだ。

 心で理解し、身体が極度の緊張で震えている。かつてハイセも、サーシャも通った道だ。

 クレアの顔色は悪い。怖いのだろう。


「わ、私……なんだか、眠れなくて」

「…………」

「し、師匠と一緒なら、寝られるような気がして……」

「…………」

「……お、お願いします」

「…………」


 ハイセは無言で、ベッドを見た。

 クレアがベッドを見ると、ハイセは言う。


「そこで寝ろ。不安なら、俺が傍にいる。だから、目を閉じていろ」

「……い、いいんですか?」

「一緒に寝るんじゃない。お前がそこで寝るだけ、俺はここにいる」

「……師匠」


 クレアはベッドに入り、ハイセの方をジッと見た。


「師匠……手を、いいですか?」

「……ガキか、お前」

「……お願いします」


 ハイセは仕方なく、クレアの手を握ってやった。

 すると、クレアは嬉しそうに笑う。


「ありがとうございます、師匠……」

「…………」


 クレアは安心したように微笑み、そっと目を閉じた。

 数分しないうちに、クレアの小さな寝息が聞こえ始める。


「……ったく」


 クレアの手は、ハイセの手を握ったままだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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