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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十一章 三人目のソードマスター

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お疲れ様

 討伐を終え、ハイセとクレア、そしてラプラスの三人は森を出た。

 ちょうどいい感じにお昼なので、森を出た街道沿いの木陰で休憩。

 ハイセはアイテムボックスからサンドイッチの包みを出し、ラプラスへ渡した。


「ほら」

「おお、ありがたいです……神に感謝」

「俺に感謝しろっての」


 ちらっとクレアを見ると、青い顔をしてた。

 どうやら、装備関係ばかりに気を取られていたせいで、アイテムボックスに食料を入れてなかったらしい。ハイセは無言でサンドイッチの包みをクレアへ渡した。


「し、ししょぉ~……!!」

「ったく……今回だけだからな」

「はい!! ありがとうございます!! いただきます!!」

「天の恵みに感謝いたします……」


 二人はサンドイッチを食べ始めた。

 クレアは、サンドイッチを食べながらハイセがくれた剣を見る。


「あの、師匠……この剣、すごく高価な鉱石で作られているんじゃ」

「気にすんな。お前に二刀流をさせるってのは俺の指導方針だし、もう一本の剣を用意するのは俺の仕事だ。で……どうだ、二刀流は」

「すっごくしっくりして、その……たぶん、これが私の戦闘スタイルだと」

「だな。よし、これからは基礎訓練をしつつ二刀流の訓練、そして討伐依頼を受けて経験を積んでいくぞ」

「はい!! えへへ……」


 クレアは、にこにこしながら剣を見ている。

 ラプラスは、そんなクレアを見ながら言った。


「楽しそうですね、クレアさま」

「そりゃもう!! えへへ、ラプラスさんも楽しいでしょ?」

「いえ全然。まったく出番なかったので」

「そ、そうですか……」

「でもまぁ、ゴブリンオークがキモというのはわかったので、いい経験にはなりました」


 クレアは苦笑し、ハイセは黙々とサンドイッチを食べる。

 そして、アイテムボックスからアツアツの紅茶を出し、二人に注いだ。


「わ、ありがとうございます。師匠」

「神の紅茶に感謝を……」

「とりあえず、これ飲んだら帰るぞ。夕方までにはハイベルグ王国に帰れるだろう」


 こうして、クレア初めての討伐依頼は大成功で終わるのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ハイベルグ王国に戻り、冒険者ギルドで依頼完了の報告をし、報酬をもらった。

 討伐した魔獣はすべて森の中。ゴブリンは動物やほかの魔獣が食べてしまうので問題はない。

 ギルドを出ると、ラプラスが頭を下げた。


「では私はこれで。何もしていないのに報酬もらえてラッキーでした……神よ、感謝します」

「そういうのは思っても言うな。ったく」

「あの、ラプラスさん!! ありがとうございました!!」

「ですから何もしていません。まぁ、見てるだけでしたが面白かったです。暇なとき、また付き合ってあげてもいいと神も言ってます」

「どんな神だよ……」


 ラプラスは「ではこれで」と言って帰った。

 その背を見送ることなくハイセは言う。


「さて、帰るか」

「はい!!」


 宿に戻ると、シムーンが出迎えてくれる。


「お帰りなさい!! ハイセさん、クレアさん」

「おう」

「ただいまです!! えへへ……なんか、シムーンちゃんを見たら安心しちゃいました」


 ぎゅるるる……と、クレアのおなかが鳴る。

 クレアはお腹を押さえ、シムーンがくすっと笑う。


「夕飯、準備できてます。さっそく食べますか?」

「ああ」

「いただきます。あの師匠……一緒に食べていいですか?」

「……まぁ、いいぞ」

「やった!!」


 テーブルには豪勢な食事が並び、冷えた麦酒も出てきた……シムーンが魔法で冷やしたそうだ。

 そのまま飲もうとしたが、クレアがソワソワしながらジョッキを出す。


「あの、師匠……かんぱいしません?」

「…………ほれ」

「やったぁ、乾杯っ!!」


 ジョッキを合わせ、乾杯した。

 ハイセは、肉と野菜の煮込みを食べる。


「ん、うまいな……この煮込み」

「えへへ。簡単な作り方を、ガポおじいさんから聞きました」

「ガポじいさんから?」

「はい。お昼におじいちゃんとお買い物行ったら、仕込みをしているガポおじいさんに会って、簡単な煮込みの作り方を聞いて試してみたんです。おじいちゃんもおいしいって」


 ハイセは主人を見ると、咳ばらいをしてそっぽむく……いつの間にか、孫にあまあまなおじいちゃんになっているようだ。

 すると、クレアがジョッキを一気に飲み干していう。


「師匠!! 剣、ありがとうございました!! 私……これから二刀流の剣士として強くなりますから!!」

「言っておくが、調子に乗るなよ。ゴブリンを討伐してハイになってるだろうけどな……お前はまだ、冒険者のことを何も知らない。試練はいくつもあるんだからな」

「はい!! これからもご指導、お願いします!! シムーンちゃんおかわり!!」

「はーい」


 新しい麦酒をジョッキでもらい、クレアは一気に飲み干した。

 気分がハイになっている。ハイセも初めて魔獣討伐をしたときは、興奮するサーシャと一緒に遅くまで語り合ったものだ。

 まぁ、今日くらいは……と、クレアが倒れるまで付き合うハイセだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 サーシャは、プレセアとヒジリの三人で、バー『ブラッドスターク』で飲んでいた。

 不思議なことに、この三人はよく集まって飲む。話題も決まっていた。


「ハイセのやつ、弟子のこと真面目に育ててるみたいねー……あむ」


 ヒジリは、ステーキ(七皿目)をもぐもぐ食べていた。

 プレセアはフルーツ盛り合わせ。チェリーを指でつまんで口の中へ。


「ハイセ、年下が好きみたいね。シムーンにも優しいし」


 サーシャは、ワインを飲みながらやや不機嫌に言う。


「別に、年下好きというわけじゃないだろう。クレアは年下だが、ひとつしか違わないし……むしろ、同い年だ」

「意味不明ね。まぁ……恋愛には発展しないと思うから安心したら?」

「べ、べつに気にしていないし」

「もぐもぐ……ヘルミネ、おかわり」

「はぁい」


 マスターのヘルミネが、八枚目のステーキを焼く。

 サーシャもワインをおかわり。気になったことを言う。


「それにしても、ソードマスターか……」

「何? 気になることあるの?」

「ああ。確か、三人目が確認されたのは、氷の国フリズドだ……クレアは、そこの出身なのか?」

「そうなの?」

「能力の確認がされた場所が、フリズドの冒険者ギルドというだけで、出身地は不明だがな」

「……氷結国フリズドね」


 氷結国フリズド。

 森国ユグドラ、砂漠王国ディザーラと並ぶ大国であり、ハイベルグ王国の属国でもある。

 一年を通して冬の過酷な国。だが、フリズドの万年氷は有名であり、フリズドの過酷な環境で育てられる野菜、果物は旨味がたっぷりで大人気だ。

 過酷な分、街道はしっかり整備されており、観光にも力を入れている国だ。貧しいということはなく、むしろ裕福な国だろう。

 プレセアは言う。


「一度、行ったことがあるけど……私には寒すぎるわ」

「私は、ディロロマンズ大塩湖の攻略で行った。正直、禁忌六迷宮のことばかりで観光なんて考えてもいなかったがな」

「アタシはあっついのも寒いのも平気だけどね。おかわり!!」


 いつの間にかステーキを完食。おかわりを頼むヒジリだった。

 プレセアは言う。


「ね、ヒジリにサーシャ。今度クレアを誘ってお茶でもしない?」

「なに?」

「なんで?」

「いろいろ聞いてみたいこと、あるでしょ? 例えば……ハイセのこととか」

「……」

「ハイセのこと気になるなら、本人に聞けばいいじゃん」

「……お子様にはわからないみたいね」

「あぁ!?」


 ヒジリがギャーギャー騒ぎ始め、話は終わった。

 サーシャは残ったワインを一気に飲み干す。


「まぁ……話はしてみたい、かな」


 ハイセとどんな修行をしているのか。サーシャはやっぱり気になるのだった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] 組む事は無いと思うがハイセ・クレア・ラプラスとで3人パーティーで何かしらの冒険の話が欲しい所。ラプラスのせいでハイセが精神的に疲れそうだが。後、ピアソラとラプラスの絡みの話も面白そう。 相…
[一言] ハイセは、剣の名前付けるにあたりピンと来るモノがあったんでしょう。 二刀流の剣技訓練って、道場破りとか(笑)
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