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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第十一章 三人目のソードマスター

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めんどくさい

 翌日。

 ハイセは一人で朝食を食べていた……が、当たり前のようにクレアが対面に座ってパンを食べている。

 無視してもよかったが、ハイセは言った。


「なんで俺の席で食ってんだよ」

「ダメですか?」

「ああ。別な席にいけ」

「でもでも、もう食べ終わりますから!! あ、シムーンちゃん、私にも紅茶をお願いします」

「はーい」


 シムーンが紅茶を淹れてクレアの元へ。

 ついでに、ハイセのカップにもおかわりを注いでくれた。

 クレアは言う。


「師匠。今日の予定は?」

「冒険者の仕事は一つだろうが」

「あ、そっか……あぁ!? 私、冒険者登録しないと!?」

「…………」


 どこまでもヌケている。ハイセはクレアをチラッと見て思った。

 白み掛かった空色のロングへアを揺らし、白と青を基調としたシャツとスカート、席の近くには剣が立てかけられている。

 鞘にも立派な装飾が施された剣だ。価値のある、先祖代々の品だろうか。

 そんな風に見ていると、クレアが立ち上がった。


「師匠、冒険者ギルドに行きましょう!! 私、冒険者登録します!!」

「勝手に行け」

「嫌です!!」

「…………」


 清々しい拒否に、ハイセは頭が痛くなりそうだった。


 ◇◇◇◇◇


 ハイセは、クレアを無視して歩き出した。

 だが、クレアはハイセの隣をぴったり歩いては話しかけてくる。


「あの、師匠。ハイベルグ王国の冒険者ギルドって、世界で最も依頼が多く集まる場所って聞きましたけど……そうなんですか」

「受付で聞け」

「わかりました。それと、登録したらF級からのスタートですよね。聞いた話によると、まずは下積みからのスタートで、冒険者チームに所属するのが普通なんですよね」

「ああ。わかったな、俺はソロだし、お前の指導は無理だ」

「嫌です。私は師匠から教わるって決めたので!! で……師匠にくっついて勉強します」

「…………」


 何を言っても無駄。

 ハイセは、この言葉の意味を真に理解できた……こんな女がいるとは。ある意味、ヒジリやプレセアよりもタチが悪い…、頭がズキズキした。

 そして、冒険者ギルドに到着。

 ハイセがギルドに入ると、視線が集まってきた。

 S級冒険者『闇の化身(ダークストーカー)』ハイセ。知らぬ者はいない有名人。

 だが……今日は、その様子がおかしい。


「師匠、視線を感じます!! みんな師匠を見ていますね!!」

「お前、マジで黙れ」

「はーい。あの、冒険者登録ですけど……」


 ハイセは無言でミイナのいるカウンターを指差す……が、こちらを見て興味津々のミイナと目が合い、初老のベテランシニア受付がいるカウンターを指差した。


「あの爺さん受付に行け」

「わかりました!!」


 クレアが行くと、「ちょ、ハイセさ~ん!!」とミイナが抗議。それを無視して依頼掲示板に行くと、ヒジリとプレセアが近づいてきた。


「あなた、また女の子を連れてるのね」

「ねーねー、あの子が言ってた師匠って何? まさかアンタ……アタシがイーサンの師匠だから、対抗してんの? ふふふ、面白いっ!!」

「…………」


 クソめんどくせぇ。

 ハイセは嫌そうな顔を隠さず、二人に向き直る。

 すると、冒険者登録を終えたクレアが戻ってきた……失策だった。ベテランシニア受付は優秀で、登録から説明まで完璧な速さで終わらせた。おかげで、さっさと依頼を受けてギルドを出ようと思っていたのに、できなくなった。

 しかも……プレセア、ヒジリがいる前で、クレアは言った。


「師匠、登録終わりました!!」

「……師匠、ね」

「ほほう、面白そうじゃん!! ね、アンタさ、ハイセとどういう関係?」

「あ、えっと」

「私はプレセア。こっちのうるさいのがヒジリよ」

「うるさくないし!! で、アンタは?」

「はじめまして。私、クレアって言います。師匠の強さに惚れて、弟子になりました!! これからよろしくお願いします!!」

「ふーん……あなた、いくつ?」

「十六です!!」

「年下、ね……シムーンもだけど、あなた年下には優しいのね」

「ハイセが師匠ねぇ。ねーねー、こいつ無愛想だし堅苦しいけど、だいじょぶなの?」


 ハイセは本気で頭痛がしてきた。

 三人寄れば姦しいと言うが、ハイセにとっては悪夢でしかない。


「…………」

「あ、師匠ー!!」


 ハイセは三人を無視し、依頼掲示板へ。

 当然、クレアはついてきた。ヒジリも、プレセアも。


「お、討伐依頼!! アタシこれにするっ!!」

「私は……採取依頼ね」

「薬草採取とかつまんなくない?」

「私が受けるのは、高難易度採取依頼よ。魔獣との戦闘もあるんだから」

「ふーん……クレアは?」

「私、たった今登録したばかりで、E級までしか受けられません……」

「あら。S級のハイセがいれば、どの依頼でも受けられるわ。ハイセから学びたいなら、討伐依頼を重点的に受けることになるわね」

「え!!」


 余計な事言いやがって……と、ハイセはプレセアをじろっと見た。

 そして、討伐レートS+級の討伐依頼を受けるため、依頼書を引っぺがす。

 そして、ミイナではない、別の受付で受理。


「あの……ハイセさん、ソロですか?」

「あ「いえ!! 私も一緒です!!」……おい」

「わかりました。では、S級冒険者ハイセさんに同行するという形ですね。その場合、等級の評価にはつながりませんが、よろしいですか?」

「はい!!」

「…………はぁぁ」


 こうして、ハイセはクレアと一緒に、討伐依頼を受けることになった。


 ◇◇◇◇◇


 ハイベルグ王国を出た二人。

 ハイセは、最初に言った。


「付いてくるのはまぁ許す。だけど……討伐依頼を受けた以上、自分の身は自分で守れ。俺に何か期待しても無駄だからな」

「は、はい!!」

「それと……俺が受ける依頼は、全て討伐系。さらに討伐レートもS以上がほとんどだ。お前、知らないと思うから教えてやる……Sレート以上の魔獣は化け物だぞ」

「だ、だいじょぶです!!」

「…………行くぞ」


 ハイセは歩き出す。

 クレアもその背を見て、腰にある剣に触れた。


「……私だって、できる。そうだよね、ダフネ」


 その名は誰の名なのか……ハイセは聞こえていたが、深く聞こうとは思わなかった。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
[気になる点] こういう奴に1発ズドンといかないもんかな 殺さなくてもいいから
[一言] 空中城ではサーシャが昔のハイセ的な立場を味わったわけだけど。 こんどはハイセが昔のサーシャの立場を経験することになるわけね。
[一言] 口では色々言ってるが、 付いてくるのはどう考えても自衛できるわけがない素人。 口は悪いが悪意のない相手なら人外すら切り捨てられないハイセが 自称弟子を捨て置けるわけないだろうし、 現実を認…
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